八王子の古民家ダイニングの庭先で、キャンプ気分を満喫できる夜ご飯はいかが？

さり気なく置かれた看板の脇に目をやると、石畳の小径が奥へと続いている。両脇の鉢植えやツタのグリーンが心地よく、その先に見える庭へと誘ってくれる。

小径の先に広がっているのは自然にあふれた開放感のある庭。そして三角屋根の民家風の建物が目に入る。ついさっきまで歩いていた商店街の喧騒から切り離され、まるで別世界に紛れ込んだような異空間に心が躍る。

庭の片隅でくつろいでいたのは、この店のオーナーシェフ藤田佳久（よしひさ）さん。柔らかな笑顔が印象的だ。普段はキッチンで腕をふるう藤田さんは、『となりわ』をはじめ、アウトドアショップや燻製工房、厨房用品の販売など複数の事業を展開しているそう。

「この建物は50年ほど前に建てられて、増築を重ねたんです。住んでいた方が亡くなってからしばらく空き家になっていたんです。そこで、まちづくり事業の一環で、人が集まる場所として有効活用しようとこの場所をお借りして、2016年7月にダイニングをオープンしました」と藤田さん。釣りなどのアウトドアが好きで、その雰囲気を味わえるようにと店づくりをしたという。

建物の中のダイニングフロアにも緑がいっぱい。テーブルやカウンター、棚などは、残されていた家具や廃材を使用し、セルフリノベーション。梁をそのまま活用した天井にはハンモックが吊られていて、山小屋を訪れたような気分にさせてくれる。
驚くことに庭は11時から16時まで無料で開放（定休日は除く）。ダイニングのランチを楽しむことはもちろん、お弁当などを持ち込んだり、犬の散歩の休憩でまったりするのもOKだという。
ディナー時にはダイニングのガーデンテラスとして活用されるということで、今回は風が心地よいお庭での晩ごはん。

アウトドアをイメージしているのは店構えだけではない。メニューを開くとスキレットを使った料理や燻製料理など、キャンプ飯を彷彿とさせるラインナップ。

ドリンクにはワインも豊富に揃っていたが、今回はビールをチョイス。アルコール類をオーダーすると、お通し418円がついてくる。バゲットとポテサラ、そして食べるオリーブオイル。これが口開けとして、なんともクセになる。
燻製好きとしては外せないのが、自家製スモークのカテゴリーにある3種の盛り合わせ玉手箱1408円。そのユニークなネーミングも気になる！　とオーダー。

運ばれてきたのは飯盒（はんごう）。蓋を開けると、ヒッコリーと桜のチップのスモークが立ち上る。まさに玉手箱！

煙の中から現れたのは、鳥レバー、チーズ2種、ウズラ卵の3品。これはビールで正解だ……。

メインにオーダーしたのはデミグラス、トマト、カレーの3種のソースから選べるオムライス1078円。十六穀米のチキンライスを地元・八王子産の卵でふんわり包み、スキレットに盛りつけ。こちらもキャンプ飯の雰囲気満点だ。