コーヒーがおいしいのはもちろん、喫茶店やカフェでは一緒に味わう甘いものも欠かせない! SNSでは、ビジュアルが映えるスイーツが度々話題になるが、中央線沿線には、ビジュアルだけでなく、味にもとことんこだわった喫茶店スイーツが楽しめるお店も集まっている。その中から、一度食べたら虜になると噂の絶品フレンチトースト、黒いチーズケーキ、くるみパイや台湾カステラに注目!
やさしい味わいのスイーツと本をゆるりと楽しんで
胡桃堂喫茶店[国分寺駅]
西国分寺で“子どものためのカフェ”として人気の『クルミドコーヒー』の2号店として、2017年3月にオープン。こちらは、大人がゆったり過ごせる空間がテーマ。扉を開けると棚にずらりと並ぶ本が見え、「ここは本屋さん?」と思ってしまう。それも間違いではない。ここはカフェであり、書店でもあるのだ。
店名の胡桃にちなんだ看板スイーツが、美唄(びばい)ぐるみのタルト750円。サクッと軽やかなタルト生地の中はしっとりとして、たっぷりトッピングされたクルミのザクザク感がアクセント。ホイップ仕立ての餡クリームをキャラメルのほろ苦さが引き締め、甘みのバランスもちょうどいい。
アジアなエッセンスを取り入れたメニューもあり、スタッフのアイデアから生まれたのが、台湾カステラ630円。ふわふわで、かつきめ細かいしっとりとした生地で、口の中でスーッと溶けていく。餡とホイップクリームが添えられているので、日本茶とも合いそう。
2階は、ほどよい懐かしさがちりばめられた、ゆったりとした空間。外の景色がぼんやり見える昔の手作り風のガラスになっていて、視界が遮られることでコーヒータイムに没頭することができる。季節の定食やカレーなどランチ目当てのお客さんも多く、適度なおしゃべりの声やクラシックの音楽も心地よい。
コーヒーの胡桃堂ブレンド780円は、西国分寺の『TakaiTOCoffee』から届けられるオリジナル。コクのある落ち着いた味わいの中に酸味と苦みが広がる複雑さがあり、後味はすっきり。また、店内で販売されている本を持ってきて、読みながら過ごすこともできる。中には、近所の人たちが持ち寄った本が並ぶコーナーも。クルミド出版という出版社も運営していて、オリジナルの本も発行しているのだが、胡桃堂喫茶店と関わりのある人たちが書いた「喫茶の文体」もその一つ。この冊子と好きな飲み物のセット850円(写真)もある。ここに来れば、普段は本をじっくり読む時間がない人も、気軽に読書を楽しんでみたくなる。
コーヒーを格上げさせる、絶品フレンチトーストが話題
WISE MAN COFFEE(ワイズマンコーヒー)武蔵小金井駅南口店[武蔵小金井駅]
このお店を訪れる多くの人のお目当てが、フレンチトースト550円。バゲットを半日ほどアパレイユに浸しておき、注文があると仕上げに焼き色を付けて完成。途中で焼くのを止めた半形成バゲットを使うことで、まわりがカリカリになり過ぎずに内側のとろとろ感を保つことができるという。「こんなにヒットすると思いませんでした」と、代表の木山岳大さんも驚く大人気メニューだ。
ひと口食べると、キャラメルソースの中に潜むほろ苦さがたまらない! バニラアイスを合わせると、まろやかな甘みがプラスされ、温かいフレンチトーストとひんやりとした冷たさとのバランスも最高だ。時間が経つにつれてバニラアイスがキャラメルソースに溶け出し、たっぷり絡めて食べるともう止まらない。カフェラテ480円などコーヒーをひと口飲むと、コーヒーの苦みやコクが味わいに深みを与え、それぞれのおいしさがさらに高まっていく。
代表の木山さんは、興味を持ったカフェにはすべて足を運んだという根っからのコーヒー好き。カナダ・トロントでバリスタとして活躍し、コーヒー豆の卸しも経験した。常にいい豆を探し、コーヒー豆も都度カッピングやプロファイルするなど、妥協は一切ない。「常に何が最適なのかということを考えるのですが、お客さんが喜んで満足してくれたらいいんですよね」というが、その思いはリピーターの多さに表れている。
2023年2月には、本店に続いて、2号店となる武蔵小金井駅南口店がオープン。より広くなり、くつろぎとクールさを併せ持つ空間がかっこいい。実は木山さんは内装業も営んでいて、デザインや施工は自社で行っているのだ。駅に近くなって足を運びやすくなった分、本店よりはもう少し落ち着いた雰囲気を目指す。今後に乞うご期待!
黒いチーズケーキや穴場感などわくわくがいっぱい
コマグラ カフェ[吉祥寺駅]
人通りの多い通りから1本入った路地に位置し、階段をモチーフにした小さな看板が好奇心をかきたてる。店の入口まで階段を上っていくときのわくわく感も楽しい。目立たないので穴場かと思いきや、お客さんが次々とやってくる。Instagramで情報をキャッチした外国人のお客さんも増えているそう。
特に話題なのが、黒いビジュアルでガトーショコラのように見えるが、実はチーズケーキという、その名も「黒いチーズケーキ」700円。実際に訪れて、「本当に黒い!」と驚くお客さんも多いとか。ブラックココアの苦みとクリームチーズの塩味によって生まれたという、複雑な深みのあるコクがおいしい! 生地に練り込まれたカカオニブの粒々が食感のアクセントになっている。
コーヒー600円は、千葉・九十九里で営む『KUSA.喫茶』が『コマグラ カフェ』のためにブレンドしたオリジナル。中深煎りの焙煎で、こっくりとした深みのある味わいが、黒いチーズケーキにもぴったりだ。
もともと「こまぐら」という名前で、この場所で長く続いていた店を受け継ぎ、2016年に現在のカフェとしてスタート。それまで積み重ねられてきた空間の味わい深さに加えて、引き継ぐ前からここで使われていた歴史を感じさせるイスのほか、アンティークのミシンや棚などが置かれ、レトロ感漂う温かい雰囲気がとても落ち着く。
窓際は、バーだった時代を彷彿とさせるカウンター席。吉祥寺の街並みを見渡せるのも楽しい。黒いチーズケーキのほか、季節で替わるパフェも人気。5月中旬まで提供予定の「いちごとチャイのパフェ」1400円は、カラメルソースの苦みと黒コショウをきかせた大人の味で、チャイを好みでかけて味変も。カレーやルーロー飯の食事も好評だ。週末は混み合い、予約も受け付けていないため、早めの時間帯に入店するのがおすすめ。
中央線コーヒーフェスティバル 2023 Spring
~東小金井に中央線沿線を中心としたこだわりのコーヒー屋さんが集結~
中央線沿線や多摩地域のコーヒー屋さんを中心として、お店自慢のコーヒーの飲み比べが楽しめる「中央線コーヒーフェスティバル 2023 Spring」を開催します。本イベントでは、コーヒー以外にも焼き菓子や珈琲関連雑貨など、約30店舗が日替わりで出店するほか、コーヒーをテーマとした親子でも楽しめるイベントを実施します。
個性豊かなコーヒーとともに、優雅な春のひとときをお楽しみください。
【開催日時】
2023年4⽉22⽇(土)・23⽇(⽇)
11:00~17:00
※小雨決行・荒天中止
【開催場所】
コミュニティステーション東小金井
【入場料】
無料
【特設サイト】
https://chuosuki.jp/event2/chuo_coffee/
取材・文=井島加恵 写真=オカダタカオ
上記の情報は2023年3月現在のものです。
※料金・営業時間・定休(休館・休園)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。