梅の花と学問の神様に背中を押されたい。中野・新井天神 北野神社で、努力の実りを祈ろう

新井天神 北野神社の創建は天正年間（1573～1592年）と伝わり、400年以上も新井の里で鎮守社として大切にされてきた。

主祭神として祭られているのは菅原道真と保食神（ウケモチノカミ）の2柱だ。保食神は日本書紀に食物をつかさどる女神として登場する。神社のある地区、「新井」の名は、戦国時代に井戸が掘られて村が発展したことに由来する。その水を利用して暮らし、田畑を耕していた人々から厚い信仰を受けていたのだろう。

新井天神 北野神社を参拝すると、拝殿がガラスを多用した新しい建物であることに気が付くはずだ。それもそのはず、現在の拝殿が完成したのは令和2（2020）年。その前にあった拝殿は、終戦から間もない昭和23（1948）年に、資材が不足していた中、地域の人たちの強い思いで建てられた。それから70年以上が経って、老朽化が進んだため建て替えられた。

現在のモダンな美しい拝殿は、靴を脱がずに、また車椅子でも祈祷を受けられるようになっている。七五三参りに訪れる家族から、高齢の祖父母世代も一緒に祈祷を受けたいという声があり、中野区が「健康福祉都市なかの」をうたっていることも後押ししたそうだ。

新井天神 北野神社で頒布されているお守りの一つ、合格御守には梅の形をした小さな鈴が付いている。鈴の色は赤と白の2種類があり、お守り本体も小ぶりでビニールに入っているので汚れにも強い。大きさも色合いもさりげない合格御守は、資格試験を控えている大人も持ちやすい。応援している気持ちを伝えるために、頑張っている人にプレゼントするのも良さそうだ。

梅は、幼い頃から神童ぶりを発揮した菅原道真が愛した花だ。わずか5歳で「うつくしや 紅の色なる梅の花 あこが顔にも つけたくぞある」と詠み、太宰府に左遷されることになったときに詠んだ歌にも梅が登場し、さらには可愛がっていた梅が道真を追って太宰府に飛んでいったという伝説まである。

菅原道真がこれほどまでに梅を愛したことから、菅原道真を祭る各地の天満宮では梅をかたどった紋、梅鉢の紋が使われている。新井天神 北野神社にもあちこちに梅鉢の紋が見られ、境内に平成15（2003）年に新設された撫で牛にも梅鉢の紋が付いている。なお、撫で牛は、自分の体の悪いところと同じ部位を撫でると良くなると言われるもので、各地の天満宮でもよく見られる。

『Kyle's Good Finds』は中野駅から新井天神 北野神社まで歩く途中にあるアメリカンホームベーカリーのお店。ペンシルバニア州出身のカイルさんが作るお菓子がおいしいと評判だ。

カイルさんは若いころニューヨークに住んでいたが、お寿司に出会って日本食や日本に強い興味を持ち、28歳の時に来日。英語講師をしながら趣味でケーキを焼いていたところ、そのケーキを食べた友人たちからお店を開くべきだと強く勧められた。35歳でお店をオープンして30年以上が経つ。平成20（2008）年には看板メニューのキャロットケーキが中野の逸品グランプリの最優秀逸品賞にも選ばれ、地元中野の人たちにすっかりお馴染みのケーキとなった。

たっぷりの人参と、シナモン、オールスパイスを使ったキャロットケーキは、ふんわりした食感。甘さも控えめで、キャロットケーキ好きはもちろん、スパイス入りの焼き菓子が初めての人でも食べやすい。ショーケースにはほかにも、チーズケーキやブラウニー、ズッキーニブレッドなどアメリカンな焼き菓子が並ぶ。勉強を頑張る受験生へのおみやげにもおすすめだ。