
友人や家族など大切な方と会うときは、中央線沿線ならではの手みやげを持っていこう。
地元の素材を取り入れていたり、その土地の個性が表れていたりと、中央線の手みやげには地域の話題がたくさん詰まっている。そんな一品を持参すれば、あなたが暮らす街の話題で盛り上がるかも。
中央線沿線にお住まいの方、中央線をよく利用される方必見の連載。

市ケ谷駅
市ケ谷で手みやげを買うなら、鍛錬された職人の手仕事を味わい尽くせるパウンドケーキやレーズンサブレはいかが?
新宿区と千代田区の境に位置し、複数の路線が乗り入れる市ケ谷駅。中央線・総武線のプラットホームは皇居の外濠沿いにあり、都心にありながら周辺は豊かな緑があふれている。多くの企業や大使館、大学なども集まる活気あるエリアだ。駅前からは靖國神社へと続く靖国通り、かつて日本テレビ本社があった日本テレビ通りなど、賑やかな大通りがあり、多くの飲食店やスーパー、商店が並んでいる。今回出合った手みやげは、どちらもこの街で長く愛される名店の味。大切な人たちとの時間に、職人の手仕事が温もりを添えてくれるだろう。
この記事の目次
創業90余年、親子3代で大切に受け継ぐ伝統の洋菓子
洋菓子ゴンドラ [洋菓子]
神田淡路町の凮月堂(ふうげつどう)で修業した細内善次郎さんが1933(昭和8)年に創業。まだ“洋菓子”が一般に普及する前のことだった。
2代目の進さんは現在86歳。修行のため21歳で渡欧したが、ビザの関係で1カ国に3カ月しか滞在が許されない時代。フランスやスイスを渡りながら洋菓子作りを学び、日本に技術を持ち帰った。
洋菓子界の発展に大きく寄与した二人は、親子2代で “現代の名工”に選ばれ、黄綬褒章(おうじゅほうしょう)を受けるなど、それぞれ高い評価を得ている。お店を支える3代目・滋之さんもべルギーやドイツ、フランスなど海外修業の経験も豊富。親子3代に守られてきた名店の味は多くの人を惹きつける。
ゴンドラの代名詞といえば丸缶入りのパウンドケーキだろう。純度が高く高品質なカルピスバターを使用した生地は、甘さ控えめでしっとりとしていて滑らか。口溶けが良い。最高級のラム酒「DILLON」にしっかり漬けたレーズンは小さく切って底に敷き詰めているため、生地の食感を邪魔せず、生地の味わいもしっかり感じられる。
賞味期限は冷蔵庫保管で約2週間。冷蔵庫内の匂い移りなどで風味を損なわず、おいしさを保つため缶入りに。そんな心遣いも手みやげ向きだ。直径15cm 3000円、18cm 4300円、21cm 6500円と3種。姉妹品には、ショコラゴンドール、オレンジケーキも。
「ゴンドラサブレ」も創業当時からの人気商品だ。フランス語で砂を表す「サブレ」は、口に入れるとホロホロと崩れてしまうほどに繊細。生地は混ぜる加減が難しいため、毎日必ず進さんが担当する。素材それぞれの風味が余韻として残る印象的な1枚だ。
DATA
芳醇なラムレーズンと風味豊かな発酵バターのクリームがたっぷり
パティスリーモンテーニュ(Patisserie Montaigne)[洋菓子]
車の行き交う靖国通りから徒歩1分ほど、静かで落ち着いた環境に佇む店。オーナーシェフの中嶋喜吉(きよし)さんが、今から約40年前に市谷薬王寺町にて開業。現在の場所に移転して20年ほどが経つ。ビジネス街・市ヶ谷で週末も営業していて、急な手みやげが必要になった際にもありがたい存在だ。
この店の看板商品は、自身の名を冠した「中嶋さんのレーズンサブレ」。牛乳を加えた卵黄を表面に何度も塗って焼き上げた、ツヤツヤと美しい上品な姿が印象的なサブレ生地に、バタークリームをたっぷりとサンド。レーズンは50度のラム酒に1カ月漬け込み、とろけるような舌触りで、バタークリームによく馴染むように仕上げられている。サブレ生地、クリームで使用するバターは発酵バター100%。口に含むと発酵バターとラムレーズンの芳醇な香りが豊かに広がるぜいたくな味わいだ。おいしいものをよく知る著名人たちも、これを求めてふらりと訪れるという。
大人向けのプレゼントなら、フランス産クーベルチュールチョコレートを使用した5種のトリュフチョコレートも。ジャマイカラムやコアントロー、ブランデーなどの洋酒をふんだんに使用したガナッシュに、ダークやミルク、ホワイトチョコなどをコーティング。5種類5個入り2214円、10個入り4212円。
ワインやウイスキーにもよく合うので、大人たちの時間を楽しみたいときに。
文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2025年8月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。


                    

                    



















