国立駅高尾駅
中央線には地元愛が詰まったクラフトビールがあふれている! 自分好みの1杯を見つけよう
これまで大手4社が大半のシェアを占めてきたビール業界。その勢力図を変えようしているのが近年、注目を浴びているクラフトビールだ。日本各地で小さなブルワリー(醸造所)を構え、自分たちの思い描いたビールを自由に設計。その味わいは、ビールらしい苦味を感じられるものから、これもビール!?と思うようなフルーティーな味わいのものなど、ひとつとして同じものはない。また、不思議とその地域の雰囲気が宿るのもクラフトビールの面白さだ。地元の食材を使ったり、街のストーリーをコンセプトやラベルに重ねたり。そして、ここ中央線沿線にもたくさんのブルワリーがある。街の雰囲気を感じながら各駅を巡って、自分好みのビールを探してみては?
この記事の目次
≪クラフトビールについての予備知識≫
ビールには大きく分けて3種類の発酵方法がある。
〇酵母が麦汁の上部に浮き上がってくる「上面発酵」
〇酵母が発酵とともに沈み、タンクの底に溜まっていく「下面発酵」
〇野生酵母を使った「自然発酵」
このうち、下面発酵のビールは「ラガー」と呼ばれ、大手メーカーで製造されるビールに多い。反対にクラフトビールの多くは、上面発酵で造られる「エール」に大別されるものが多い。ラガーの大きな特徴はスッキリとした喉越し。ゴクゴクと飲んだときの爽快感はラガービールならでは。
ラガーに比べ、エールは芳醇な味わいと華やかな香りを持つビールが多く、さまざまな表現ができるため、クラフトビールでは多くのエール系ビールが製造されている。
ラガーとエールそれぞれのグループは原材料や醸造方法によって、さらに細かく「スタイル」で分類されている。
ラガーのスタイルにはシュバルツ、ピルスナー、ボックなどがあり、エールにはペールエール、IPA(アイピーエー)、ヴェルジャンホワイト、ヴァイツェンなどのスタイルがある。それぞれのスタイルもさらに細かく分類することができ、クラフトビールの多様さを物語っている。
スタイリッシュなラベルをまとった、アートなビール
KUNITACHI BREWERY -くにぶる-[国立駅/ブルワリー]
2020年11月の初醸造から1年半。古いと新しいが混在する国立の街らしく「古いは新しい」をテーマに、伝統的な製法を大切にしながら新しいエッセンスを加えてみたり、革新的な挑戦をしてみたり。魅力あるビールへの探究心は底知れないパワーとなっている。
そんなKUNITACHI BREWERYの代表的なラインナップを3種ピックアップしてみよう。
ドイツのケルン地方で受け継がれている伝統的な製法・ケルシュを元にして作られたビール。繊細なビールで、酵母の出す香りとホップの香りが調和していて、麦の味わいも感じられる。味わいはすっきりしていて華やか。青リンゴや洋梨のような香りが穏やかに香る。
ピーチやマンゴー、グレープフルーツなどのトロピカルフルーツのフレーバーに、ココナッツのようなオイリーな味わいが印象的。煮沸しないRaw Aleという特殊な製法で製造している。煮沸しないことでビールの中に麦芽のタンパク質が残り、飲みごたえが生まれ、口当たりが柔らかくなる。
タップスタンドのある富士見通りを名前に冠し、このビールを飲みながら富士見通りを歩いて欲しいという思いを込めて醸造。柑橘のアロマフレーバーに樹脂っぽさを加えている。しっかりとした苦味も感じられる。Ver.Session IPAは通常よりアルコール度数は低く、飲みやすい仕上がり。(オリジナルはウエストコースト IPA)
高尾山愛好家による、高尾山に捧げる愛にあふれたビール
高尾ビール おんがたブルワリー[高尾駅/ブルワリー]
高尾ビールのフラグシップビール。山をテーマに、高尾山の中で感じる草木の香りなどを表現。山を降りたときに味わいたいビールをイメージして年に4〜5種類が作られている。夏なら気温が高く、低山で湿度もあるためドライに飲めるようすっきりした後味を意識。秋なら、麦の特徴を全体に感じられ、じっくり深く味わえるようにするなど、ホップの種類や投入するタイミングなどを変えながら、四季を表現している。
高尾近隣の農作物を使うシリーズで、年に10数種が順次製造されている。周辺地域で採れる梨や梅、柚子などを使い、フルーティな味わいが特徴的。高尾山に生息するムササビやサル、植物などをモチーフにした可愛らしいラベルが印象的。
東京薬科大学と共同で開発した、実験的な要素もあわせ持つビール。キャンパス内にある薬用植物園などで栽培する植物の酵母を用いたプロジェクトの一環で製造。八王子の市の花であるヤマユリから採取した酵母を使っている。ベルギーのスタイルに近く、華やかな香りを感じるビールに仕上がっている。これまでビールに使われたことのない酵母で作っているため、正式なビアスタイルが決まっていない。「やまゆり」の他にアザミ、ヤマモモなどの酵母を使ったシリーズもある。
DATA
中央線ビールフェスティバル
2022summer
~3年ぶりのカンパイ!多摩地域のクラフトビールが武蔵境に大集合~
あの「中央線ビールフェスティバル」が3年ぶりに開催!出店数は過去最多の15ブルワリー、今回の特集で紹介したブルワリーも出店する。多摩地域のクラフトビールを思い切り楽しもう。
【開催日時】
2022年7⽉21⽇(⽊)~7⽉24⽇(⽇)
平⽇ 17:00〜21:00(L.O. 20:45)
⼟⽇ 12:00〜21:00(L.O. 20:45)
※⼩⾬決⾏・荒天中⽌
【会場】
武蔵境駅 南口からすぐ!
第一会場:境南ふれあい広場公園
第二会場:nonowa Terrace武蔵境
【入場料】
無料
【特設サイト】
https://chuosuki.jp/event2/chuo-beer/
取材・文=篠原美帆 撮影=山田ミユキ・中村宗徳
上記の情報は2022年6月現在のものです。
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