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- 新生活のスタートにぴったり。「ことはじめ」にご利益ありの日本橋室町福徳神社

御朱印やかわいらしいお守りが目当ての神社巡りが趣味という人が増加中。神社はそれぞれに伝わる由来があり、街の歴史との関係も深い場所だ。神社からお散歩をスタートすると、何度も訪れている駅も、初めて降りる駅も、これまでとは違う景色が見えてきそう。
気分も晴れ晴れ、中央線から神社さんぽに出かけよう!

神田駅
新生活のスタートにぴったり。「ことはじめ」にご利益ありの日本橋室町福徳神社
古くから商業が盛んだった日本橋室町は、2010年代の再開発を経て、ますますにぎわいを見せている。再開発によってできたビルとビルの間に挟まれるように、福徳神社の新社殿が建ち、今やまちのシンボル的存在だ。買い物や観光で日本橋を訪れる人が社殿前に行列をつくり、近隣で働く人はランチタイムにご祈祷に立ち寄ることもある。
福徳神社は、江戸時代に「芽吹稲荷」とも呼ばれるようになり、“芽吹く”から「ことはじめ」のご利益があるとされている。年度が切り替わった今、新生活がスタートした人、なにかを始める人は、その決意表明を福徳神社の神様に聞いてもらおう。
「ことはじめ」のご利益は驚きの故事に由来

社殿前には参拝を待つ人たちの行列が。

社殿前に並ぶ人たちが、ちょっと列を外れて手水舎へ。
時代が下って江戸時代になると、徳川家康が何度も参拝。その跡を継いだ2代将軍・徳川秀忠も慶長19(1614)年の春に参拝。当時、福徳神社の鳥居には古くからの慣例で皮つきのクヌギの木が使われていたが、鳥居に生まれ変わったクヌギの木から小さな芽が出たというから驚きだ。さらに、その芽を見つけた秀忠が「芽吹稲荷」と別名を付けたと伝わる。

芽吹き守(初穂料 800円)。
富くじ販売の歴史から金運のご利益が。今ではスマホにご祈願も

再開発の一環として再建した社殿。

三宝に宝くじなどを置いて鈴を鳴らす。

福徳吉報守(初穂料 500円)。
ひっそり存在していた神社が再開発を機に現代のニーズに対応

道路を挟んで大通り側にあるスペースにはベンチもある。
密かに存在していた歴史ある神社は、日本橋の再開発を行う企業との協力で、現在のような誰もが立ち寄りたくなる神社に生まれ変わった。鳥居が角度をつけて設置されていることで広い範囲から見え、南側と西側、どちらの道からも入りやすい。東側には「福徳の森」という公園があり、道を挟んだ西側には小さなお社や絵馬掛け、ベンチも設置されていて、敷地の境が曖昧になっていることも、ちょっとお参りして行こうと思わせてくれる。

自撮りスタンドは境内に全部で3台。

本宮。こちらにもごあいさつしてみよう。
リスタートの希望を感じる春に
木材として切り出されて鳥居になったクヌギの木から、新たに芽が出たエピソードと、ビルの上にひっそり存在していた福徳神社が再開発によって再び多くの人に親しまれるようになったことは、リスタートの成功という点で共通している。この春、社会人デビュー、入学、異動や転職など大きなスタートがある人はもちろん、諦めかけたこと、休んでいたことをもう一度始める人も、福徳神社を訪れてみよう。想像を超えた新しい展開への希望を感じることができそうだ。
取材・文・撮影=野崎さおり
上記の情報は2025年3月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。
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