
頑張った日の後には、仕事帰りにふらっと寄り道して晩ごはんはいかが?
1人でご飯って少しハードルが高い? 実は、中央線沿線にはソロ客歓迎のお店がたくさんある。メニューの内容だったり、お店の雰囲気も優しい気遣いがいっぱい詰まっている。
毎日の通勤は中央線、きっとそんなあなたに役立つ連載だ。

東中野駅
おひとりさまだって鍋を楽しみたい、そんな思いを叶えてくれる小鍋立ての店を発見!
冬になると恋しくなるのは鍋。普段は大勢で食べるものというイメージがあるけれど、たまには外出先でも鍋が食べたい! とはいえ、大抵の店では2人前から。おひとりさまなのにどうしても鍋モード! そんなときに訪れたいのが『小鍋立て専門 なべしろ』だ。
小料理屋のような外観にちょっぴり緊張

東中野駅の東口を出て南へ。目的地は東中野名店会の一角にある。商店街のフラッグを目印に歩くと、駅から6分ほどで『小鍋立て専門 なべしろ』に到着する。

いかにも和風な外観は、小料理屋のような雰囲気。女将さんが着物姿でカウンターに立っていそう……。そんなイメージの店構えにちょっぴり緊張してしまう。
それでもひとり鍋が食べたいという思いに押され、カラカラと引き戸を開ける。すると意外にも若い男性が二人、出迎えてくれた。
それでもひとり鍋が食べたいという思いに押され、カラカラと引き戸を開ける。すると意外にも若い男性が二人、出迎えてくれた。

接客を担当する林鷹成(たかなり)さん(左)、料理長の中島悠さん(右)のお二人は、以前同じ店で働いていた仲間。合羽橋に出向いて食器や道具を買い揃えるなど、二人で開店の準備を行い、2024年12月にこの店をオープンした。
自分たちの店をどんな店にしようかと考えたとき、ひとりで鍋を食べられる店がほとんどないことに気づき、小鍋立てというスタイルを思いついたそうだ。まさに今日の気分にぴったりのコンセプト!
自分たちの店をどんな店にしようかと考えたとき、ひとりで鍋を食べられる店がほとんどないことに気づき、小鍋立てというスタイルを思いついたそうだ。まさに今日の気分にぴったりのコンセプト!
周りを気にせずひとり鍋が楽しめるカウンター席がおすすめ

店内には3卓のテーブル席や小上がりがあり、カウンターも6席用意されている。店に入るまでは少し緊張したものの、林さんの柔らかな接客もあり、すぐに居心地の良さを感じ、リラックスできた。
店内のお客さんを観察すると、小上がりには家族連れ、テーブル席にはカップルや母娘の二人組、若い男性二人など、実にさまざま。思い思いに食事を楽しんでいる。
そして、カウンター席にはひとり鍋を楽しむ女性の先客がいた。今日初めてふらりとやってきたお客さんだそう。テーブル席を背にするように設えられたカウンター席は、周囲を気にすることなく、ゆっくりと食事が楽しめる空間だ。
店内のお客さんを観察すると、小上がりには家族連れ、テーブル席にはカップルや母娘の二人組、若い男性二人など、実にさまざま。思い思いに食事を楽しんでいる。
そして、カウンター席にはひとり鍋を楽しむ女性の先客がいた。今日初めてふらりとやってきたお客さんだそう。テーブル席を背にするように設えられたカウンター席は、周囲を気にすることなく、ゆっくりと食事が楽しめる空間だ。

店内のあちこちには何故か猫の置き物でいっぱい。林さんも中島さんも猫が大好きで、自分たちで買ったもの以外に、お客さんが持ってきてくれたものも。二人の猫推しは常連さんの間では有名なよう。
鍋を注文する前にまず一品

カウンターの横に掲げられた黒板には、本日のおすすめが並んでいる。まずはその中から女性人気が高いという一品、とうもろこしの岩石揚げ660円をオーダーした。

料理を待つ間にお通しとしてたっぷりの野菜サラダが提供された。ドレッシングは無添加の自家製。塩味、酸味、甘みのバランスが良く、葉野菜によく馴染む。このドレッシングをわざわざ買いに来る人もいるという。

サラダを食べ終わる頃に、とうもろこしの岩石揚げが提供された。卵黄を混ぜた厚めの衣がしっかりと表面を覆う。揚げることでとうもろこしの甘みが際立って、お酒が進む味だ。「最初はもっと軽い感じで揚げていたんですが、お客さんからしっかりした衣でも合いそうだというアドバイスがあって。この衣に落ち着いたんです」と中島さん。お客さんとのコミュニケーションで、メニューをブラッシュアップしたり、リクエストに応えた料理を提供したりすることも多いそうだ。
お目当ての鍋、さてどれにしよう??

さて、今宵のメインディッシュは「鍋」! 複数ある中から選んだのは「ふわふわ鶏団子の小鍋立て〜塩ちゃんこ風〜」1480円。たっぷりの野菜と鶏団子は、間違いのない組み合わせだ。

グツグツと湯気の立つ鍋が目の前に置かれると、林さんが蓋をオープン! フワッと立ち上る出汁と鶏団子の香りにもう食欲が抑えられない!

鍋のスープには昆布をぜいたくに使い、5種類の鰹節をブレンド。家ではなかなかここまで出汁の効いたスープを用意するのは難しい。このスープこそがこの店でひとり鍋をする醍醐味だ。また、きのこは一度冷凍して、細胞を壊して味が滲みやすくするなど、手間を惜しまず、丁寧に料理に向き合う中島さん。常連さんが多いのもうなずける。
鍋にはやっぱり日本酒が合う

中島さんは日本酒ソムリエの資格も持っているそうで、相談すればメニューに合う日本酒を勧めてくれる。日本酒とひとり鍋。これをお店で楽しめるなんて! ひとり鍋の需要に気づいてくれたお二人に感謝、感謝の晩ごはんだった。
定番鍋や変わり鍋、季節の鍋。時にはメニューにない料理も
今回オーダーした鶏団子鍋のほかにも、バラエティに富んだ鍋が用意されている。定番のたっぷり野菜の小鍋立てはみぞれ風、ねぎまみれの小鍋立てはすき焼き風、本格麻婆の小鍋立ては丸ごと一丁入った豆腐を崩しながら食べられる。また、季節の鍋は中島さんがその日の気分でメニューを決めるという「気まぐれ鍋」。足繁く通う人も楽しめる工夫がうれしい。お客さんのリクエストにはできるだけ応えたいと、鍋だけでなくほかの料理もフレキシブルに対応する。常連さんが持ってきた食材をその場で調理したり、メニューにない料理を提供したり。コミュニケーションから生まれる料理も楽しみの一つになりそうだ。
DATA
取材・文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2025年11月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。











