頑張った日の後には、仕事帰りにふらっと寄り道して晩ごはんはいかが?
1人でご飯って少しハードルが高い? 実は、中央線沿線にはソロ客歓迎のお店がたくさんある。メニューの内容だったり、お店の雰囲気も優しい気遣いがいっぱい詰まっている。
毎日の通勤は中央線、きっとそんなあなたに役立つ連載だ。
阿佐ケ谷駅
長野県出身のシェフが手がける丁寧で優しい料理で、野菜のおいしさを再発見
阿佐ケ谷駅北口から東に延びる商店街を経由して徒歩5分ほど。賑やかな街並みから静かな住宅地に景色が移り変わった先にあるのが今回の目的地『百瀬食堂』だ。路面店のように通りすがりでふらりと出合える場所ではないにもかかわらず、根強いファンが少なくないことから、その人気ぶりがうかがえる。今回はこちらでディナータイムを楽しみたい。
印象的な外観のビル2階に広がる、温かな空間
住宅地をしばらく歩くとインパクトのあるビルが突如現れる。外壁にあしらわれたオブジェが異彩を放つこのビルの2階にあるのが『百瀬食堂』だ。
右手にある階段を上ると見えてくる入口。ナチュラルな木の扉にデザインされた「百」の文字が印象的だ。
扉を開けるとフロアにゆったりと配置されたテーブル席が目に入る。厨房はオープンキッチンになっており、その周りをカウンター席が囲っている。広いスペースながら、どこかアットホームな雰囲気が漂う。
カウンター手前のスペースにはピアノが設置されている。ここでは月に1回程度、ジャズやクラシックのコンサートや落語上演会などが開催されるという。
人気有名店での長いキャリアを活かして腕を振るうシェフ
厨房で腕を振るうのはオーナーシェフの百瀬壽郎さんだ。人気店『レストラン KIHACHI』で創業者の熊谷喜八さんの元で腕を磨き、25年間レストラン部門のシェフとして活躍。その後も店舗開発、商品開発に携わってきた。その経験を活かし『百瀬食堂』のキッチンのレイアウトや簡単な施工は百瀬さん自身が手がけたという。
カウンターの隅に置かれた野菜の山が目に留まる。百瀬さんは長野県の農家で生まれ育ったそう。近隣から仕入れる野菜以外にも、百瀬さんの兄・一郎さんが育てる米や大根、ピーマン、ジャガイモ、ニンジン、玉ネギなどの季節ごとの野菜、2軒隣の農家さんから送られてくるリンゴなど、新鮮な長野の味が料理やデザートを彩るという。
野菜を主役にした定食スタイルで楽しむ
本日のおすすめメニューは肉、魚、野菜の3種。日替わりの肉・魚メニューも魅力的だが、今回は定番人気の焼き野菜と豆腐ステーキ1298円をオーダー。小鉢2品とごはん、みそ汁に食後のコーヒーまたは番茶もついたごはんSET660円と一緒に注文し、定食スタイルの晩ごはんに。
お酒を楽しむならワインも良いが、ここでしか飲めない日本酒があるという。「第六」100ml/880円〜という銘柄は元々、兄の一郎さんを中心とした10人ほどの仲間が自分たちで楽しむためのプライベートブランドとして発案。メンバーは数年かけて酒造りを学び、酒米の田植えから稲刈り、脱穀といった一連の作業を自分たちで行い、地元の酒蔵・大信州酒造が醸造しているという。流通はしておらず、造り手以外では百瀬食堂でしか飲めないという、まさに幻の酒なのだ。
待つことしばし。きつね色に焦げ目のついた木綿豆腐のステーキと、多彩な焼き野菜が運ばれてきた。野菜は長野から届いた山芋やカブなどをはじめ、くわいや百合根、ズッキーニやナス、エシャロットなど、13〜14種はあるだろうか。冬に旬を迎える根菜類など、バラエティに富んだラインナップだ。
シンプルな料理ゆえに、皿の上でひしめき合う野菜たちの個性が際立つ。野菜によって異なる味わいや食感を堪能しながら、さすが野菜の魅力を熟知するシェフ! と感服してしまう。さらに、豆の味が濃い木綿豆腐のステーキでタンパク質も補給。
ごはんSETの小鉢は甘辛い玉こんにゃくと、百瀬さんのお姉さんが漬ける野沢菜の浅漬け。兄・一郎さんが栽培する長野県松本市波田町産コシヒカリのごはんと、ダシがきいたみそ汁が優しく胃に落ちていく。バランスの良い晩ごはんだ。
シンプルな料理ゆえに、皿の上でひしめき合う野菜たちの個性が際立つ。野菜によって異なる味わいや食感を堪能しながら、さすが野菜の魅力を熟知するシェフ! と感服してしまう。さらに、豆の味が濃い木綿豆腐のステーキでタンパク質も補給。
ごはんSETの小鉢は甘辛い玉こんにゃくと、百瀬さんのお姉さんが漬ける野沢菜の浅漬け。兄・一郎さんが栽培する長野県松本市波田町産コシヒカリのごはんと、ダシがきいたみそ汁が優しく胃に落ちていく。バランスの良い晩ごはんだ。
食後の〆は自家製スイーツで
体に優しい野菜中心のディナーの後なので、デザートも心置きなく味わいたい。今回選んだのは、定番人気のタルトタタン バニラアイスクリーム添え770円。甘く煮詰めたリンゴの柔らかさと、キャラメリゼしたパリパリ食感が絶妙で口福。幸せな冬のディナータイムの締めくくりになった。
野菜たっぷり、丁寧で優しい料理
ディナータイムは本日のおすすめメニューのほか、アラカルトもある。また、ランチ、ディナーともに、コースメニューも用意。長年の経験で培った手法で作るイタリアンやフレンチ、中華などをベースにした料理を楽しめる。カニや牡蠣など旬の食材をぜいたくに使うディナーのおまかせコースは前菜2品+魚料理+肉料理+デザート+アフタードリンク7700円〜。記念日やお祝いディナーにもおすすめだ。
DATA
取材・文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2022年12月現在のものです。
※料金・営業時間・定休(休館・休園)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業休止や営業時間・形態の変更、イベントの延期・中止など、掲載内容と異なる場合があります。
※表記されている価格は税込みです。