
友人や家族など大切な方と会うときは、中央線沿線ならではの手みやげを持っていこう。
地元の素材を取り入れていたり、その土地の個性が表れていたりと、中央線の手みやげには地域の話題がたくさん詰まっている。そんな一品を持参すれば、あなたが暮らす街の話題で盛り上がるかも。
中央線沿線にお住まいの方、中央線をよく利用される方必見の連載。

四ツ谷駅
四ツ谷で手みやげを買うなら、餡がぎっしりの鯛焼き/クリームがたっぷりのシュークリームはいかが?
甲州街道の要所として栄えた“四谷見附”の面影が残る四谷エリア。周辺には古くから地元に親しまれてきた寺院も多く点在している。一方で海外からの要人を迎え入れる迎賓館赤坂離宮や、110年以上の歴史を誇るミッション系の上智大学などがあり、国際色豊かな側面もあるのが特徴的だ。街の中心を貫く新宿通りから一歩脇道に入ると、個性豊かな店舗が点在している。今回はそんな四ツ谷駅周辺で、手みやげを買っていきたいときにおすすめの店舗をご紹介したい。
創業以来変わらない味が人々を魅了。行列必至のたい焼き専門店
たいやき わかば [たい焼き専門店]
鯛を模した生地の中に餡がぎっしり。愛くるしくて癒し成分高めな「たい焼き」は、今も昔も愛される人気手みやげのひとつだ。一尾一尾丁寧に手焼きする、昔ながらの製法「一丁焼き」で作るたい焼きを、ファンは愛を込めて「天然もの」と呼んだりする。なかでも“たい焼き御三家” のひとつとして、高い人気を誇るのが「たいやき わかば」だ。四ツ谷駅から新宿方面に伸びる賑やかな大通りから脇道に入れば、整然と並ぶ行列が目に入る。
もともと駄菓子屋の商品として販売していた「たいやき」を、店の近くに住んでいた演劇評論家の安藤鶴夫さんが新聞コラムで紹介し、たちまち評判を呼んだ。新聞に掲載された昭和28(1953)年を創業年として、駄菓子屋から「たい焼き専門店」へと生まれ変わり70年。現在は4代目店主の伊藤巧真さんが店を切り盛りしている。
甘さの中にほんのり効かせた塩気がコクを引き出す自家製餡は、初代から変わらない製法。同じく自家製にこだわる生地が、たっぷりの餡を包み込む。社訓となっている「たい焼きのしっぽにはいつもあんこがありますやうに」という安藤さんの言葉通り、しっぽの先までぎっしりと餡が詰まっている。店頭では複数の職人が一丁焼きする姿が見られるので、順番待ちの間にも期待が膨らんでいく。
手みやげ需要も多く、7~10個入る簡易箱70円や、5~6個用から17~20個用まで進物用箱4種(120円〜)を用意。また手提げも4種40円〜。電話での予約も受け付けている。
DATA
手みやげの定番はクリームたっぷりのシュークリーム
MOCHI(モッチ)[洋菓子店]
シェフパティシエと、接客を担当する妻が二人三脚で営む“おかしとパンの店”。店は住所の町名(四谷坂町)の通り、坂の途中にある。木枠のガラス扉を開くと、右手にケーキ、左手にはパンのショーケースが並ぶ。出窓や壁には花やドライフラワー、小さな動物の置き物たちなどが飾られ、絵本のコーナーも。ホッとする温かな空間が広がっている。
ショーケースに並ぶケーキは常時7~8種類ほど。手みやげの定番はシュークリームだ。ザクザクとしたアーモンドが乗ったシュー生地に、カスタードと生クリームを合わせてバニラビーンズを効かせたクリームがたっぷり。ずっしりとボリューム感があるが、クリームが軽やかに仕上げられているため、あっという間に完食できてしまう。
シェフのおすすめは、日本ではまだ出合うことの多くないムラングシャンティ。メレンゲ生地にたっぷり絞った生クリームをサンドした、フランスでは定番のケーキなのだとか。雲のような形もユニークで、友人とのティータイムが盛り上がりそうだ。また、さっくりと香ばしいタルト生地に、旬の果物のフレッシュさ、生クリームの優しい甘さを詰め込んだフルーツタルトも外せない。シンプルだが丁寧に絞ったクリームの美しさが上品な一品だ。
「四谷は個人経営のお店が意外と多くて、皆さん個性的。路地裏のお店巡りが楽しいエリアです。そのひとつとして、ぜひうちにも寄っていただければ嬉しいです」。夕方以降は商品がなくなり早じまいしてしまうこともあるので、お早めに。ケーキは3日前までに連絡しておけば取り置きも可。
DATA
取材・文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2023年4月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。