飲み屋街・スターロードの起点近くに、静けさをまとう喫茶が隠れるように立つ。店主の山城隆輝さんから「どうぞ2階へ」と促され、縄のれんをくぐり抜けて細い階段を上がれば、思わずため息。「僕が好きな空間を作りたくて」と、山城さん。お手紙セットや本、ランプ、地球儀が置かれたデスクは特等席だ。棚にはぎっしりと本が詰まっていて、「お客さんが置いていくのか、いつの間にか増えています」と、静かに微笑む。酔い覚ましにうってつけなのが、ラムネ750円、メロン850円、ホワイト900円の3種あるクリームソーダだ。目の前で注がれたソーダが泡立ち、飲めばすっきりとした甘み。とろりと冷たいアイスがクールダウンしてくれる。飲み足りない人にはお酒もある。ラムネハイ600円は喉を心地よく滑り落ちるが、ウイスキーやブランデーなど、濃いお酒を舐めるように飲むのもいい。銀皿盛りのナポリタン800円は小腹が空いたときの救世主。まろやかな酸味が後を引き、お酒との相性も抜群だ。読書空間の2階席とは打って変わり、１階は阿佐ヶ谷らしい飲み屋カウンター。「常連になると、下で落ち着かれる方が多いですね」と、山城さん。ラジオの音に入り混じるように、地元話、喫茶話に花が咲くことも少なくない。