頑張った日の後には、仕事帰りにふらっと寄り道して晩ごはんはいかが?
1人でご飯って少しハードルが高い? 実は、中央線沿線にはソロ客歓迎のお店がたくさんある。メニューの内容だったり、お店の雰囲気も優しい気遣いがいっぱい詰まっている。
毎日の通勤は中央線、きっとそんなあなたに役立つ連載だ。
高円寺駅
クラフトビール片手に、見知らぬ者同士でも自然と会話が弾むビアカフェ
夏の暑い日には「とりあえずビール」で喉越しゴクゴクっとやるのが最高! でも、夏の暑さも和らいで秋の気配が近づいてきたなら、おいしい料理と一緒にじっくり味わうビールも一興。
中央線沿線は多彩なクラフトビールを扱う店が多いが、ひとり飲みにはまだ少しハードルが高い? そんな時におすすめなのが、今回訪ねた『ビアカフェ 萬感』だ。
「ビアカフェ」という名前が入りやすさを演出?
中央線高円寺駅の南口から南に伸びる高円寺パル商店街。軒を連ねるカフェや飲食店、アパレルショップなどを楽しみながら路地を曲がると、やがて見えてくるのが『ビアカフェ 萬感』。よくある「ビアBar」、「ビアレストラン」ではなく「ビアカフェ」と名乗っていることに安心感や入りやすさがあり、ウェルカムな雰囲気が感じられる。
いざ店内に入れば、L字型カウンターの奥にビールタップが見える。また、テーブル席も数種あり、思い思いに時間を過ごせそうだ。確かに「カフェ」と言えそうな雰囲気で、ここなら女性ひとりでも気軽にソロ飯を楽しめそうな予感がする。
いざ店内に入れば、L字型カウンターの奥にビールタップが見える。また、テーブル席も数種あり、思い思いに時間を過ごせそうだ。確かに「カフェ」と言えそうな雰囲気で、ここなら女性ひとりでも気軽にソロ飯を楽しめそうな予感がする。
知識は豊富、でも語りすぎない
カウンターの中からにこやかに声をかけてくれたのは店主・野口礼於(のぐちれいお)さん。まだクラフトビールが一般的ではなかった頃から、クラフトビールの専門店として10年以上続くこの店。野口さんは元々常連として足を運び、定休日に間借りで営業を始めたのがそもそもの縁。
当初店を切り盛りしていたオーナーが大病を患い、店の今後を考えるようになったところから、2023年4月に野口さんが店を引き継ぎ、営業を続けることになったそう。
当初店を切り盛りしていたオーナーが大病を患い、店の今後を考えるようになったところから、2023年4月に野口さんが店を引き継ぎ、営業を続けることになったそう。
学生時代にクラフトビールにハマり、突き詰めていった野口さん。その魅力は「日本酒やワインに比べ、わかりやすかったこと」だと教えてくれた。お酒の世界はついついうんちくを語りたくなるイメージだけど、ビールはライトなカルチャー。奥深いけれど、気軽に楽しめるのが魅力なのだという。
そんな野口さんのスタンスも手伝ってか、この店にはクラフトビール好きの人たちが集まってくる。常連さんも多いが、初めて訪れた人にもみんな気さくに接してくれる温かいムード。「常連さんばかりで入りにくい店にはしたくないんです」という野口さんの思いが自然とそうさせているのだろう。
そんな野口さんのスタンスも手伝ってか、この店にはクラフトビール好きの人たちが集まってくる。常連さんも多いが、初めて訪れた人にもみんな気さくに接してくれる温かいムード。「常連さんばかりで入りにくい店にはしたくないんです」という野口さんの思いが自然とそうさせているのだろう。
ビールとのペアリングを考えながら、料理をチョイス
ビールのタップは15種類。まずは富山の城端麦酒というブルワリーの「アールグレイ」小850円。口にするとふわりと紅茶の香りが広がる飲みやすいビールで、特に女性に人気があるという。合わせる料理は、ピーマンとタコミート600円。肉厚のピーマンにピリ辛の挽き肉をたっぷり乗せてガブリ! ピーマンの苦味が爽やかなビールにぴったりで、箸もグラスもよく進む。
クラフトビールは全て野口さんがテイスティングしてラインナップを決めている。タップが空けば、順次新しいテイストのビールが追加されるが、このアールグレイは定番で飲めるという。
クラフトビールは全て野口さんがテイスティングしてラインナップを決めている。タップが空けば、順次新しいテイストのビールが追加されるが、このアールグレイは定番で飲めるという。
お次は神奈川・湘南ビールから「バーレーワイン2021」200ml 800円。ビールなのにワイン? とちょっと不思議な感じがするが、このビールは麦のワインとも呼ばれ、長時間かけて醸造するのが特徴だとか。確かに香りやコクもしっかりと出ていて、ワインのテイストにも少し似ているように感じる。合わせたのはスペイン風オムレツ600円。トマトのソースだけでなく、オムレツの中にも野菜たっぷり。チーズも良いアクセントになっている。
最初の2杯を飲み比べても、どちらも同じビールなのかと思うほど表情が全く違う。クラフトビールの自由さ、奥深さがよくわかる。
続いて「これもぜひ飲んでみてください。面白いビールなんですよ」と野口さん。泡を切るのはクラフトビールの味わいや香りをしっかりと楽しめるように。
続いて「これもぜひ飲んでみてください。面白いビールなんですよ」と野口さん。泡を切るのはクラフトビールの味わいや香りをしっかりと楽しめるように。
野口さんおすすめの最後の一杯は奈良醸造の黒ビール「YUGEN」小850円。チョコレートコーヒーミルクスタウトという、チョコレートのようであり、カフェオレのようでもある不思議な味わいだった。合わせた料理も個性が際立ったラム肉餃子パクチー乗せ800円。アールグレイからワイン、カフェオレ風味とビールの幅広い楽しみ方を体験し、野口さんや常連さんたちとのトークも弾んだ楽しいひとときだった。
そんな居心地の良さを表すように「うちはカウンターから埋まっていくんです。この前も気づいたらカウンター全員、女性のおひとり様で埋まっていたんですよ(笑)」なんてことも。
15種のクラフトビールは定番の味わいから個性派まで。気になるビールが多くて迷うなら、ラインナップから好きなビールを3種選べる「ビール3種テイスティングセット」各約100ml・1200円で色々試してみるのも良い。
気軽に色々なビールを楽しみたい時、ぜひ訪ねて欲しい店。素敵な出逢いに乾杯!
気軽に色々なビールを楽しみたい時、ぜひ訪ねて欲しい店。素敵な出逢いに乾杯!
間借り営業やイベントなどで、横のつながりが広がる
営業前にはビビンバの店が間借り営業。さらにはお笑いなどのライブから、耳ツボなどのリラクゼーションまで、さまざまなイベントが用意されている。「萬感」というハコを通して、横のつながりが広がっていくさまは、まさに中央線カルチャーそのもの!
DATA
取材・文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2023年8月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。