友人や家族など大切な方と会うときは、中央線沿線ならではの手みやげを持っていこう。
地元の素材を取り入れていたり、その土地の個性が表れていたりと、中央線の手みやげには地域の話題がたくさん詰まっている。そんな一品を持参すれば、あなたが暮らす街の話題で盛り上がるかも。
中央線沿線にお住まいの方、中央線をよく利用される方必見の連載。
御茶ノ水駅
御茶ノ水で手みやげを買うなら、半世紀愛され続けるイチゴスイーツ/ポルトガルのまんまる菓子はいかが?
行楽に、フェスやスポーツ観戦など、外出する機会も増える5月。新年度の慌ただしさも少し落ち着いて、新しく出会った人との親交を深めるのに最適なシーズンだ。
今回ご紹介するのは、愛らしいフォルムにフレッシュなイチゴの酸味がアクセントになったスイーツと、ポルトガルの各地方で作られる伝統菓子をベースにしたユニークなお菓子。どちらも他では味わうことのできない独創的なスイーツだ。個性豊かなスイーツは、きっと新しく出会った人たちとの距離もグッと近づけてくれるはず。この季節にぴったりな手みやげを、御茶ノ水の駅からのんびり散策しながら探しにいこう。
長く愛される理由は愛らしさと独創性にあり
オザワ洋菓子店 [洋菓子店]
地元に住む人たちの特別な日を彩り続け、地域に根ざして58年。2代目オーナーシェフの小澤武志さんいわく「特別なことはしないよ、 うちは“町のお菓子屋さん”だからね」というこの店。だが、決定的に違うのは揺らぐことのない“金看板”がある点だ。創業まもない時期、初代が「ショートケーキ以外にもイチゴのお菓子を作りたい」と考案したのが「イチゴシャンデ」(小250円、大290円、特大380円)だ。
クッキー地の土台にイチゴをのせ、その上に生クリームを絞ってチョコレートでコーティング。その姿は森に生えるキノコのようで、半分に割ると真っ赤なイチゴが姿を現す。その形がシャンデリアのように見えたことから名付けられた名前も印象的だ。「最初の頃は、あんまり売れなかったのよ。お客様も見た目だけではどんなお菓子かわからなかったんでしょうね」と教えてくれたのは初代オーナーの妻 和子さんだ。そんな謎めいたお菓子の存在をガラリと変えたのは2000年頃、ある人気俳優がテレビで紹介したことがきっかけ。瞬く間に人気に火がつき、多くの著名人、タレントたちが愛する「楽屋みやげ」として定着した。
事前の予約枠は埋まってしまうことも少なくない。予約と別に店頭販売分があり、それを目指して訪れる人も後を絶たない。「今のお客様はグルメだから、チョコレートの品質には気を遣ってカカオの割合が高いものを使うようにしています」と小澤さん。あえて酸味のあるイチゴを使うのは昔ながらの味を守るため。初代の味を大切にしつつ、時代の変化にもしなやかに対応する。これこそが親子で紡ぐ愛されスイーツの所以なのだ。
DATA
異国を旅する気分が味わえるユニークな菓子
DOCE ESPIGA(ドース イスピーガ)[ポルトガル菓子店]
偶然出会ったポルトガル人の少年がきっかけで、ポルトガルに興味を持ち、1年限定でポルトガルに渡ったというオーナーの髙村美祐記さん。「ポルトガルはカフェ文化が発達していて、素朴なお菓子が多くて興味深い国でした」。
日本に戻るとポルトガル料理の店で働き、ポルトガル人の女性シェフから引き継いだデザートメニューを作り始める。その後、店舗を持たず、自転車でポルトガル菓子を売り歩いたという行動派の髙村さん。その間にも「ポルトガルの青い空が見たいな」とポルトガルを再訪したことも。
日本よりも小さな国ながら、それぞれの地方で特有のお菓子が作られているそうで、現在、店頭に並んでいるのも、髙村さんが現地で出合ったものがベースになっているそうだ。ポルトガルは大航海時代、世界一豊かな国だったという歴史的背景がある。そのため卵や砂糖など、当時の贅沢品だった食材を使ったものが多いそうだ。
この季節におすすめのお菓子は、「ごあいさつボール」。練乳と卵、バター、ココナッツなどを鍋でよく練って、さらにココナッツをまぶしてアクセントにアーモンドをトッピング。1つ180円と手頃なのもうれしい。2個入りの箱も用意されているので、新生活で出会った人への“ごあいさつ”にピッタリ!
「リス川のそよ風」(320円)というポルトガル中部を流れる河川にちなんだロマンチックな名前のお菓子も。卵、アーモンド、砂糖シロップを蒸し焼きしたもので、もっちりとした食感が独特だ。
取材・文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2024年4月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。