古本酒場を軸に広がりを見せるブック・コミュニティー
高円寺駅
本店・本屋の実験室/本の長屋/コクテイル書房 [高円寺駅]
高円寺北中通り商店街の一角はさながらブック銀座。その仕掛け人は古本酒場『コクテイル書房』の狩野俊さんだ。
「大正期の長屋を活用して、本を媒介にいろんな人たちが関われる共有書店を」と、クラウドファンディングを実施し、そして、奥に深い元美容室の両サイドに棚をぎっしり据えた「本の長屋」がうまれ、2023年4月に現在の形に落ち着いたという。一箱ごとに存在する函店主たちの気張らないブックライフにくすりとさせられる「長屋通信」を発行したり、数人単位での小さな読者会を催すなど、活動も盛んだが、「持続可能なあり方、本屋の未来のあれこれをもっと探って実験できる場を」と、狩野さんは2024年8月1日、『本店・本屋の実験室』を新たに始動した。
約200冊を収蔵する1列7〜9段ごとに棚主がいて、各々の裁量で本を陳列。管理も担当する函店主兼棚主「本屋フォッグ」の飯村さんは「ここは本屋をいつか始めたい人がトライできる場所」と目を細める。真ん中に大テーブルを置き、フェアやイベントなども開催していく予定だ。
締めくくりには、総本山の古本酒場『コクテイル書房』へ。古書に包まれる空間が圧巻で、酒を舐めながら本を漁れる夢の場所だ。檀一雄が執筆した「檀流クッキング」に掲載された大正コロッケ2個450円、武田百合子著の「富士日記」に登場した茄子にんにく炒め650円、トキワ荘名物のチューダー(焼酎&サイダー)600円もあり、文士、漫画家たちが愛する味にも心躍る。函店主や棚主たちとの語らい、居合わせた本好きが、ゆるやかに刺激しあう場にもなっている。
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DATA
JR中央線高円寺駅北口から徒歩5分。
☎03-3310-8130
⚫︎本店・本屋の実験室
12時〜20時、月休(祝の場合は火休)。
東京都杉並区高円寺北3-5-17
https://x.com/honten_booklab
https://note.com/honten_booklab/
⚫︎本の長屋
12時〜17時、月・火休。
東京都杉並区高円寺北3-8-13
https://www.honnonagaya.com/
https://x.com/honnonagaya
⚫︎コクテイル書房
18時〜21時、月・火休。
東京都杉並区高円寺北3-8-13
https://www.koenji-cocktail.info/
https://x.com/cocktail_books
取材・文=林 さゆり 撮影=オカダタカオ
上記の情報は2024年8月現在のものです。
※料金・営業時間・定休(休館・休園)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。