2階建て車両は動く展望室! 中央線普通列車グリーン車から見える車窓の景色を紹介
オフィス街を駆け抜け、神田川や外濠に沿って進み、個性あふれる街を高架から見渡しながら多摩川を渡り、山々に迫る高尾まで。東京の真ん中を東西に横切る中央線は、起伏と変化に富む車窓の風景が大きな魅力のひとつだ。
そんな風景をよりじっくりと眺められるのが、2025年3月から導入される中央線普通列車グリーン車。なかでも2階席なら、普段の車両とは一味違う楽しみ方ができる。
中央線グリーン車の車窓から見える沿線の景色をピックアップして紹介。
2階建て車両の中央線普通列車グリーン車
※今回紹介する車窓の風景は、高尾方面行き(下り)、東京方面行き(上り)どちらからでもご覧いただけます。
この記事の目次
アーチが美しい、日本の鉄道橋の象徴的存在
松住町架道橋 [神田駅~御茶ノ水駅]
高尾方面行き(下り)なら、神田駅を出発した列車がぐっとカーブを曲がった後。東京方面行き(上り)なら、御茶ノ水駅を出て並走していた中央・総武線各駅停車と別れた後に、線路の北側に見えてくる緑色のアーチ橋。総武本線の秋葉原駅〜御茶ノ水駅間に架かる松住町架道橋だ。
関東大震災の復興事業の一環で1932(昭和7)年に竣工したこの橋は、道路を跨ぐことから橋脚を建てられないためアーチ式が採用された。両端の支点に力がかからない「タイドアーチ橋」としては日本初の事例で、当時の最新技術が取り入れられている。アーチのなかにトラス構造の三角形が連なるデザインの美しさも印象的。中央・総武線各駅停車の“黄色い電車”が通るところに出会えればなおうれしい。
関東大震災の復興事業の一環で1932(昭和7)年に竣工したこの橋は、道路を跨ぐことから橋脚を建てられないためアーチ式が採用された。両端の支点に力がかからない「タイドアーチ橋」としては日本初の事例で、当時の最新技術が取り入れられている。アーチのなかにトラス構造の三角形が連なるデザインの美しさも印象的。中央・総武線各駅停車の“黄色い電車”が通るところに出会えればなおうれしい。
<見える方向>
高尾方面行き(下り)の進行方向右
東京方面行き(上り)の進行方向左
高尾方面行き(下り)の進行方向右
東京方面行き(上り)の進行方向左
春には桜! 四季折々の表情の変化も
外濠(江戸城外堀跡) [御茶ノ水駅~四ツ谷駅]
かつて江戸城の周囲は「の」の字に水路が取り囲み、重要な防備の役割を担っていた。明治時代以降に埋め立てられた部分も多いが、中央線からは今も水をたたえる場所を目にすることができる。それが、神田駅~御茶ノ水駅間に流れる神田川と、御茶ノ水駅~四ツ谷駅間の線路に沿う外濠(江戸城外堀跡)だ。
なかでも車窓から水辺らしい景色を見られるのは、牛込濠、新見附濠、市ヶ谷濠などの外濠のところ。静かな水面に、土塁の斜面、沿道に茂る木々など、お堀独特の眺望が広がっている。緑生い茂る季節の青々とした風景はもちろんのこと、春には桜、秋には紅葉と、1年を通した変化にも注目したい。
2階席なら水面がよりよく見えて、手漕ぎボートや釣り堀で釣り糸を垂らす人の姿を眺めるのも楽しそうだ。
なかでも車窓から水辺らしい景色を見られるのは、牛込濠、新見附濠、市ヶ谷濠などの外濠のところ。静かな水面に、土塁の斜面、沿道に茂る木々など、お堀独特の眺望が広がっている。緑生い茂る季節の青々とした風景はもちろんのこと、春には桜、秋には紅葉と、1年を通した変化にも注目したい。
2階席なら水面がよりよく見えて、手漕ぎボートや釣り堀で釣り糸を垂らす人の姿を眺めるのも楽しそうだ。
<見える方向>
高尾方面行き(下り)の進行方向右
東京方面行き(上り)の進行方向左
高尾方面行き(下り)の進行方向右
東京方面行き(上り)の進行方向左
離れてもよく見える副都心の摩天楼
新宿超高層ビル群[新宿駅~中野駅]
新宿駅付近では、西新宿にそびえ立つ高層ビルが見える。中野駅との間で、少し離れた地点から望む摩天楼もまた格別だ。
戦後に淀橋浄水場の跡地を開発し、1971年に完成した「京王プラザホテル」を皮切りに次々と高層ビルが建設されてきた新宿副都心。ツインタワーの東京都庁第一本庁舎や、アーモンド型のモード学園コクーンタワー、うっすら緑がかった新宿グリーンタワービルなど、列車が進んで角度が変われば見える建物も刻々と変化していくのがおもしろい。晴れた日ならビルの窓に映る青空が鮮やかで、時間帯や天候によっては逆光でシルエットが浮かび上がったり、霞む空のなかにぼんやりと見えるさまもまた幻想的。都心の摩天楼と家々が立ち並ぶ街とのコントラストを楽しめる区間だ。
戦後に淀橋浄水場の跡地を開発し、1971年に完成した「京王プラザホテル」を皮切りに次々と高層ビルが建設されてきた新宿副都心。ツインタワーの東京都庁第一本庁舎や、アーモンド型のモード学園コクーンタワー、うっすら緑がかった新宿グリーンタワービルなど、列車が進んで角度が変われば見える建物も刻々と変化していくのがおもしろい。晴れた日ならビルの窓に映る青空が鮮やかで、時間帯や天候によっては逆光でシルエットが浮かび上がったり、霞む空のなかにぼんやりと見えるさまもまた幻想的。都心の摩天楼と家々が立ち並ぶ街とのコントラストを楽しめる区間だ。
<見える方向>
高尾方面行き(下り)の進行方向左
東京方面行き(上り)の進行方向右
高尾方面行き(下り)の進行方向左
東京方面行き(上り)の進行方向右
中央・総武線各駅停車でおなじみの車両の寝床
JR東日本 三鷹車両センター [三鷹駅~武蔵境駅]
JR東日本 三鷹車両センターは、三鷹駅の西側にあり、日々車両の点検や清掃を行なう場所。このそばを通る際には、いくつも枝分かれする線路や、車両が整然と並ぶ様子を車窓から眺めることができる。おなじみの黄色の車両だけでなく、三鷹駅まで直通する地下鉄東西線の青いラインの車両が見えることも多い。武蔵境駅に近いほど高架化するため、さらに視線が高くなって全体を見渡せる。
三鷹車両センターを含むこのあたりの線路沿いでは、フェンス越しに線路や電車を興味津々で見つめる子供の姿を見かけることも多く、中央線沿線の人々に愛される風景となっている。
三鷹車両センターを含むこのあたりの線路沿いでは、フェンス越しに線路や電車を興味津々で見つめる子供の姿を見かけることも多く、中央線沿線の人々に愛される風景となっている。
<見える方向>
高尾方面行き(下り)の進行方向左
東京方面行き(上り)の進行方向右
高尾方面行き(下り)の進行方向左
東京方面行き(上り)の進行方向右
名峰連なる雄大な山々を彼方に望む
丹沢山地・富士山 [国立駅~立川駅]
中央線の車窓から南西方向に富士山を見つけたことがある人は少なくないはずだが、その手前に見える丹沢山地もまた美しい。
神奈川県の北西部に位置する丹沢山地は、県の面積の約1/6を占める山地。標高1500m 以上の山が9座あり、“神奈川の屋根”と呼ばれることもある。日本100名山でもある丹沢山や神奈川県最高峰の蛭ケ岳などがあり、高い建物が比較的少ない国立駅〜立川駅間の車窓からは特に見やすい。空気が澄んだ時期や逆光にならない午前中の時間帯なら山肌もより鮮明にわかるし、冬は雪化粧の富士山と併せて楽しめるのもうれしい。
神奈川県の北西部に位置する丹沢山地は、県の面積の約1/6を占める山地。標高
<見える方向>
高尾方面行き(下り)の進行方向左
東京方面行き(上り)の進行方向右
高尾方面行き(下り)の進行方向左
東京方面行き(上り)の進行方向右
一気に視界がひらける広々とした河川敷
多摩川 [立川駅~日野駅]
山梨県と埼玉県の県境にある笠取山を源流として、東京都の西から南へと流れ東京湾に注ぐ一級河川。立川崖線や国分寺崖線など、中央線沿線の南側に見られる河岸段丘はこの多摩川が長い歳月をかけて作り出した地形だ。
多摩川を渡る多摩川橋梁に列車が差し掛かると、ぐっと視界がひらけて遠くまで見通せるのが心地よい。2階席の大きな窓だと、その開放感をより堪能できる。河川敷には緑地が広がり、下流側には野球場や運動場、その奥に多摩モノレールの橋梁も見える。
また、多摩川の前後ではその支流を渡る地点もある。下りなら多摩川の直前、上りなら直後で残堀川ののどかな流れが見えるほか、豊田駅~八王子駅間では浅川も渡るので、あわせて注目したい。
多摩川を渡る多摩川橋梁に列車が差し掛かると、ぐっと視界がひらけて遠くまで見通せるのが心地よい。2階席の大きな窓だと、その開放感をより堪能できる。河川敷には緑地が広がり、下流側には野球場や運動場、その奥に多摩モノレールの橋梁も見える。
また、多摩川の前後ではその支流を渡る地点もある。下りなら多摩川の直前、上りなら直後で残堀川ののどかな流れが見えるほか、豊田駅~八王子駅間では浅川も渡るので、あわせて注目したい。
<見える方向>
左右どちらも
左右どちらも
同じ景色でも楽しみ方はいろいろ
車窓の景色は、朝夕で見え方が変わったり、上りか下りかでも印象が違ったりと、乗車するたび発見があるのもおもしろいところ。視線が低くなる1階席もまた臨場感があって楽しめる。何が見えるかな?と注目するもよし、ぼんやりと眺めてリラックスするもよし。電車での時間に彩りを添えてくれる中央線の車窓へ、ぜひ目を向けてみよう。
取材・文=中村 こより 撮影=村上 悠太
上記の情報は2025年1月現在のものです(撮影は2024年12月)。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。