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- 徳川吉宗も訪れた新宿十二社熊野神社。600年以上、新宿の発展を見守ってきた鎮守様

御朱印やかわいらしいお守りが目当ての神社巡りが趣味という人が増加中。神社はそれぞれに伝わる由来があり、街の歴史との関係も深い場所だ。神社からお散歩をスタートすると、何度も訪れている駅も、初めて降りる駅も、これまでとは違う景色が見えてきそう。
気分も晴れ晴れ、中央線から神社さんぽに出かけよう!

新宿駅
徳川吉宗も訪れた新宿十二社熊野神社。600年以上、新宿の発展を見守ってきた鎮守様
新宿中央公園に組み込まれたように存在する新宿十二社熊野神社(じゅうにそう くまのじんじゃ)は、西新宿が今のように発展した背景に欠かせない存在だ。600年以上前から鎮座する神社の主祭神は、商売繁盛と厄除けの神である櫛御気野大神(クシミケヌノオオカミ、別名 須佐之男大神=スサノオノオオカミ)と、家内安全や縁結びを司る伊邪奈美大神(イザナミノオオカミ)。時代と共にまちの様子が変わっても、人々の普遍的な願いを聞いてきた2柱の神様に、今の気持ちを打ち明けてみよう。
この記事の目次
伝説の中野長者が創建。約600年間で様々なエピソードの舞台に

場所柄、外国人観光客も多く訪れる。

拝殿は昭和9(1934)年築。

境内には小さな滝と池があり、往時が偲ばれる。
歌川広重が池の景色を浮世絵に描き、8代将軍・徳川吉宗は鷹狩りのときに神社を参拝したともされる。また、当時の歌舞伎役者が千客万来を祈願したことから、今も芸能関係者がお参りに訪れるなど、静かな神社は実は華やかさも併せ持つ。
一方、現在に至るまで近隣住民は信心深い人が多く、新宿を戦火が襲ったときには氏子衆が拝殿を火の手から守ったそうだ。周辺の様子が変わり続ける中で、人々は心の拠り所として大切にしてきたのかもしれない。周囲の変化に戸惑うときに参拝すると、心を落ち着かせられそうだ。
導きの神としても信仰される伝説の鳥、八咫烏(やたがらす)のおみくじ

八咫烏みくじ 初穂料500円。座布団 初穂料300円。

おみくじはトレーから選ぶ。

手水舎のデザインに八咫烏が採用されたことも。(写真提供=新宿十二社熊野神社)
八咫烏は紀州で道に迷った神武天皇を先導したと日本書紀に書かれ、熊野三山のシンボルとなった。導きの神としても信仰されているので、何かに迷ったときに八咫烏のおみくじを引いてみると、方向性のヒントが見つかるかもしれない。
【立ち寄りスポット】『MORETHAN BAKERY(モアザン ベーカリー)』でホットなフォカッチャサンド

店内は外国のような雰囲気。
ベーグルを使ったサンドイッチや、ヴィーガン仕様のドーナツやメロンパンもファンが多いが、フォカッチャサンドは気温の低い日にうれしいホットサンドだ。

フォカッチャサンド 1200円、ハーフサイズ 600円。

いい音をさせてかぶりついてみて!
変化に富んだ西新宿をたっぷり歩こう
新宿十二社熊野神社はまちの発展や変貌に巻き込まれながら歴史を繋いできた神社だ。十二社の地域は神社創建から約600年の間に農地から花街になり、戦争に巻き込まれた後は高層ビルが建つビジネス街に。近年は外国人観光客も多く訪れる観光地でもある。新宿駅西口から神社までの道も、高層ビルに野外彫刻、緑の公園などが目に入り、歩きがいもある。拝殿で手を合わせる頃には、これからの変化を楽しむ余裕が湧いてきそうだ。
取材・文・撮影=野崎さおり
上記の情報は2024年12月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。
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