あったか空間でのんびりくつろぎたい。こたつ・暖炉のあるカフェ

住宅地に建つ築約50年の一軒家。「ここは祖母の家で、縁側は近所の人が自然と集まってくるような場所でした。祖母が亡くなった後も、当時の和やかな雰囲気を残したかったんです」とは、お店を始めた孫のふみさん。知り合いの家に遊びに来たような気分になるのか、中に入るときは「お邪魔します」と言う人が多いそう。冬になるとこたつが置かれる縁側は、さりげなく整えられた庭ののどかな眺めにも癒やされる。天気のいい日は降り注ぐ陽の光が暖かく、鳥の巣箱にシジュウカラやスズメなどが遊びに来ることも。一度腰を下ろすと、居心地がよすぎて立ち上がるのがひと苦労だ。ランチは一汁三菜が基本。ご両親が栽培する無農薬の野菜を中心に、季節の食材を用いた料理が楽しめる。ふみさん曰く、「食材は決めておいて、前日より気温が下がった日はあんかけにするなど、天気に合わせて調理法を考えています」。ランチ以外にお茶だけの利用もできるほか、夜は要予約のおまかせコースも。こたつ席は人気なので、事前予約がおすすめ。

暖炉のやわらかい温もりがじんわり広がる店内。野菜がたっぷり使われた料理もやさしい味で、店主の廣田總子（さとこ）さんの野菜への愛情が伝わってくる。この店のオープンも、「武蔵境や三鷹、小金井などの地元野菜のおいしさを伝えたい！」と思ったから。看板メニューのたっぷり野菜と雑穀ごはんには、生産者が届けてくれる新鮮な野菜がたっぷり使われている。スーパーではあまり見かけない野菜が登場することもあり、この日はサツマイモのパープルスイートロードやハヤトウリ、キクイモなども。それぞれの状態に合わせて焼いたり、蒸したり、マリネにしたりと調理法を変え、ニンジンは30分かけて低温で火を通す。タマネギ麹ソースやネギ辛ソースを付けて味わってもいいし、野菜の味わいが濃厚だからそのままでも十分おいしい。廣田さん曰く、「１食で約15種類、一日必要量の半分にあたる850gもの野菜が食べられる日もあります」。夜営業は現在は土曜のみだが、野菜料理をつまみに自然派ワインなどが楽しめるのでぜひ訪れたい。