武蔵境駅国分寺駅西国分寺駅
オンリーワンを発見! 中央線沿線のこだわりパン屋
沿線の駅ごとに、かぐわしいパン屋が林立。種類豊富な店、フランスをはじめとした欧州の技に肉薄する店、稀有な味を目指す店と、ひと口に言えぬほど、タイプは実にさまざま。食事パンに、惣菜パン、おやつパン、果てはワインと味わいたくなるものまで揃え、小麦の配合や焼き方など、随所に工夫が満載。ちょっと足を延ばして、プチ贅沢なパンを買いに出かけよう。
この記事の目次
カレーパンなど具材も手作り。50種以上揃う街のパン屋さん
le fournil(ルフォーニル) 木もれび[国分寺駅]
国分寺駅から少し離れた閑静な住宅街。店頭に記された焼き上がり時間になると、目当てのパンを目がけて客がひっきりなしに訪れる。
店に入ると、ショーケースに目が釘付けに。「街のパン屋をやりたくて」と、店主の田中浩一さんは気張らない普段使いを心がけ、50種余りを用意。それでも、午後にはどんどん品薄に。
フィリング(具材)はほぼ手作り。なかでも焼きカレーパンは、挽き肉にスパイスを加えたキーマカレーで思いのほかスパイシー。大人の辛さだ。
ふと見ると、厨房脇にカボチャが山積み。「季節感も伝えたくて」と、8〜10月には妻の麻里さんが幼少のころから愛食する北海道森町産が登場。キッシュにタルト、かぼちゃあんぱんにと大活躍だ。ほかに、こくベジ(国分寺市産の野菜)もふんだん。
手前右から時計回りに、かぼちゃのキッシュ421円、自家製カレーパン237円、マロングラッセがゴロリと入るマロンフランス259円、湯種食パン1斤291円、天然酵母のフィグノア518円。フィグノアはドライイチジクの赤ワイン煮とクルミ入りで、ワインのお供にぴったり。
国産小麦10種をパンごとにブレンドし、香り、味わいは千差万別。まずは、一番人気の湯種食パンを。生食で味わえば、みっちりした生地が弾力あり、歯切れよく、抑えた甘みと素朴な香りが立ちのぼる。日常の食卓を、格別なひと時に変えてくれる。
国産小麦10種をパンごとにブレンドし、香り、味わいは千差万別。まずは、一番人気の湯種食パンを。生食で味わえば、みっちりした生地が弾力あり、歯切れよく、抑えた甘みと素朴な香りが立ちのぼる。日常の食卓を、格別なひと時に変えてくれる。
フランス伝統の長時間発酵バゲットの芳香に惚れる
Passage à niveau(パサージュ ア ニヴォ)[武蔵境駅]
JR武蔵境駅南口から高架沿いを行くと、ひときわ目を引く赤い壁が目に入る。風にたなびく旗を見れば、マスコットキャラ「バゲットくん」がお出迎え!
オーナーの大和(おおわ)祥子さんは、フランス旅行で口にしたバゲットの奥深さに心奪われ、帰国後「この味を、日本でも多くの人に知ってもらいたい」と決意。再度渡仏して本格的に修業を積み、2008年に開業した。
看板は、イースト少なめの生地を前日からじっくり発酵させ、高温で一気に焼いた長時間発酵のバゲット(写真下)300円。「現地では『トラディション』と呼ばれ、短時間発酵のバゲットとは別物とされているんです」。外カリ中モチの食感と口中に広がる小麦の芳香、追って感じる深い甘みに、頬が緩む。ほかにも、バゲット生地をドーナツ状の型で焼いたファハンドール(写真左)820円やカンパーニュ(写真右)780円などのハード系、厚めの生地でザクザク食感のクロワッサン(写真中央上)220円、食パン生地に栗の渋皮煮を練り込んだ正方形のパン・チビクリ(写真中央下)290円など、豊富なバリエーションに心躍る。
ショーケースには、バゲットを使った惣菜パンやサンドウィッチなども並ぶ。しかも、フィリングやマヨネーズまで自家製。「できるだけ手作りにこだわりたくて」。ひと口食べれば、やさしくも後引く味わいに病み付き。リピート確実の名店だ。
常に試作と改良を重ねる。3種のレーズン食パンが看板
パン屋志茂[西国分寺駅]
店頭に、この案内板が下がっていたらラッキー。パンセットの予約販売が中心だが、「多めに焼くので当日来店でも手に入ります」と、店主の志茂大輔さん。
熱風の循環で加熱するコンベクションオーブンと石窯オーブンを駆使して焼くパンは、季節で顔ぶれを変えながら、毎回約12種用意。国産小麦6種をブレンドし、天気次第で捏ね方を変え、新作・改良の試作にも余念なし。「理想の味になるように」と真摯に語る傍では、妻の小夜子さんが「パンを食べだすと途端に黙って、味の分析にのめり込んじゃう」と、朗らかに笑う。
手前右は、ラム酒漬けを使う黒豆ラムあんぱん170円で芳醇かつ生地がもっちり。中央のコーンブレッド260円は素朴でほろほろ。左のカカオ160円は、チョコ生地の中にチョコブロックを仕込んだリッチっぷり。
そして、外パリ中フワの食パンと並ぶ二大看板のひとつが、奥のレーズン食パン380円だ。
そして、外パリ中フワの食パンと並ぶ二大看板のひとつが、奥のレーズン食パン380円だ。
使うのは、ハラール認証のブラック、グリーン、レッドの3種のレーズン。それぞれに甘み、酸味、香りが際立ち、水で戻して食感を変えたり、味が直感的に伝わるようそのまま使ったり。噛むたびに表情が変わり、驚く。
漆工芸家の小夜子さんと友人たちの手による店構えが、手仕事の温もりに満ちる。当日分は昼頃には売り切れ必至なので、午前中に出かけよう。
DATA
取材・文=佐藤さゆり・高橋健太(teamまめ) 撮影=オカダタカオ 加藤熊三
中央線沿線のベーカリーが大集結!中央線パンまつりで美味しさも楽しさもテイクアウトしよう。
【日時】
2021年11月13・14日/各日10時~17時
【場所】
武蔵境~東小金井駅間の三か所
– nonowa武蔵境テラス
– ぽっぽ公園
– コミュニティステーション東小金井
上記の情報は2021年9月現在のものです。
※料金・営業時間・定休(休館・休園)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業休止や営業時間・形態の変更、イベントの延期・中止など、掲載内容と異なる場合があります。