頑張った日の後には、仕事帰りにふらっと寄り道して晩ごはんはいかが?
1人でご飯って少しハードルが高い? 実は、中央線沿線にはソロ客歓迎のお店がたくさんある。メニューの内容だったり、お店の雰囲気も優しい気遣いがいっぱい詰まっている。
毎日の通勤は中央線、きっとそんなあなたに役立つ連載だ。
阿佐ケ谷駅
シンプルでどこか懐かしい。阿佐ケ谷の路地裏に佇む、街の洋食店
阿佐ケ谷駅南口から中杉通りを5分ほど歩き、信号を右手へ。それまでの賑やかな街並みから、ガラリと雰囲気が異なる路地に佇む「洋食 タン・ド・タン」。ハンバーグにオムライス、カニクリームコロッケなどのメニューが並ぶ洋食店だ。前もって確認した店のホームページには“頑固で優しい街の洋食屋さん”とあった。「頑固」の文字にちょっと背筋を伸ばしながらも、いざ扉を開けて、店の中へ……。
この記事の目次
路地裏にひっそりと佇む“頑固で優しい”洋食屋さん
忙しなく車が行き交う中杉通りからほんの数メートル。閑静な住宅地へと続く路地に掲げられたシンプルで控えめな青色の看板が目印だ。
店正面に配された大きな窓には、黙々と作業に取り組む男性の姿が。初めて訪れる店は中の雰囲気がわからず躊躇することもあるけれど、この窓からは中の様子が一目瞭然。カウンターで寛ぐ先客の姿も見え、自然と足が店内へ。
カウンターの中でフライパンを振るのは、マスター・末野孝之さん。なんとなく、洋食のシェフって無骨で無口なイメージ。末野さんもそんなタイプなのかも、と恐る恐る話しかけてみた。言葉数は決して多くはないけれど、声色は穏やかで温かい。「厨房の中はダクトの音がするから、みんなが思うほどカウンター越しの声が聞こえないんですよ」と笑う。なるほど、無口の理由がわかったところで一気に心が打ち解けた。
ゆるりと時間が流れる空間で、料理を待つ時間もまた楽しい
カウンターの先にはテーブル席が3つ。ゆったりとした配置で、ソロ飯でも居心地が良い。店内に流れていたのは女性ジャズヴォーカル。しっとりとしすぎず、明るすぎず、これまた絶妙に心地よい。
前菜はサラダと合わせ10種以上あり、その中から3種盛り合わせ850円をオーダー。自家製サーモンのマリネ、ナチュラルチーズのムース仕立て、6種類の野菜のサラダ オリジナル和風ドレッシングをチョイスした。どれも素材の味を大切にした仕立てで、するっと胃に落ちる優しい味わいだ。
前菜のお供選びを迷っていると「食前酒にはスパークリングワインを飲まれる女性のお客様が多いんですよ」と助け舟。声の主はマスターとともに店を切り盛りする後藤重子さん。接客から裏方までを担当する心強いパートナーだ。
前菜のお供選びを迷っていると「食前酒にはスパークリングワインを飲まれる女性のお客様が多いんですよ」と助け舟。声の主はマスターとともに店を切り盛りする後藤重子さん。接客から裏方までを担当する心強いパートナーだ。
スペイン産のスパークリングワイン(CAVA)はグラスで500円。ほかにも自家製サングリアや有機レモンサワー各500円、アップルワイン550円や日本酒各種などが揃っている。
さて、メインディッシュ。ここはやっぱりハンバーグでしょう
洋食といえばやっぱりハンバーグ! ということで自家製デミグラスソースのハンバーグステーキをメインに。そして、盛り合わせメニューを発見。すかさずカニクリームコロッケの盛り合わせ1470円をオーダーした。
料理を待つ間、心地よい音楽に身を委ねていると、合間に “ペチペチ、ペチペチ”という音。オーダーを受けてから丸めてフライパンで火を通し、オーブンへ。手間ひまをかけたハンバーグに期待が高まる。
自慢のデミグラスソースは牛すじやたくさんの香味野菜をグツグツ、コトコト。丁寧に濾してはまた煮込むを繰り返し、丸2日かけて仕上げる渾身の味。まろやかで深いコクのあるソースがハンバーグを包み、味を引き立てる。コロッケのベシャメルソースもクリーミーで、デミグラスソースをつけて食べると、より味に広がりが出る。そして嬉しいのが付け合わせの人参グラッセ。甘くてバターが効いていて「そうそう! この味」と、思わずひとり肯いてしまった。
料理を待つ間、心地よい音楽に身を委ねていると、合間に “ペチペチ、ペチペチ”という音。オーダーを受けてから丸めてフライパンで火を通し、オーブンへ。手間ひまをかけたハンバーグに期待が高まる。
自慢のデミグラスソースは牛すじやたくさんの香味野菜をグツグツ、コトコト。丁寧に濾してはまた煮込むを繰り返し、丸2日かけて仕上げる渾身の味。まろやかで深いコクのあるソースがハンバーグを包み、味を引き立てる。コロッケのベシャメルソースもクリーミーで、デミグラスソースをつけて食べると、より味に広がりが出る。そして嬉しいのが付け合わせの人参グラッセ。甘くてバターが効いていて「そうそう! この味」と、思わずひとり肯いてしまった。
温かい人たちのもてなしが最高の調味料なのだ
気づけばカウンターにはソロ飯の女性が3人。常連のお客さんはマスターと親しげに会話が弾んでいた。席を立ってお会計を済ませた後、スッとドアを開けて見送ってくれた後藤さん。さり気ない気遣いが嬉しい。
そして、気づけば窓の向こうでマスターがこちらを向いていた。メガネの奥の瞳が笑っている。「あぁ、また来よう」。そんな言葉が思わず口をついて出た。
手間ひまをかけてコツコツ仕込んだ洋食は至福の味
メニューの数は決して多くはないが、どの料理もマスターがひとりで丁寧に仕込んでいる。手をかけた料理はどれも味わい深い。冷凍肉は使わず、フレッシュな味わいを大切に、野菜も学校給食にも提供される安心・安全なものを使っている。後藤さんのおすすめは、国産若鶏もも肉のソテー ブルーチーズソース1400円。次回はぜひこちらを食してみたい。
DATA
取材・文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2022年3月現在のものです。
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