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さむ~い冬は、身体の奥からホットに! 中央線沿線で旨辛グルメを食べよう!
身を切るような冷たい北風に、ついつい背中を丸めて歩きがちなこの季節。身体の内側から熱を帯びるような、旨辛グルメはいかが? 程よい辛味が素材の味わいを引き立て、さらに旨味を増す、工夫に満ちた料理の数々。食べれば心もほんわかあたたまる、旨辛料理をご堪能あれ!
※文中では辛さレベルを★の数で紹介しています。
辛さレベル
★…辛さ控えめ
★★…旨味と辛味のバランス◎
★★★…しっかり辛さを感じる
この記事の目次
口中を埋め尽くすスパイスの芳香に、辛さが見え隠れ
SPICE飯店 [西荻窪駅/スパイス酒場]
店主の岡本大佑さんは大学時代にバックパッカーとしてアジアを巡り、スパイスの魅力に開眼。帰国後、イタリアンや中華など様々な店で修業を積み、2019年に開業した。15種以上のスパイスを料理ごとに使い分け、全ての品にスパイスの芳香が。それをつまみに日本酒やナチュラルワイン、クラフトビールを堪能できる。
「全体的にウチの料理は辛さがなく、香りがメインです」とは、岡本さん。しかし、その中で辛味もしっかり楽しめるのが牡蠣麻婆豆腐1200円だ。プリップリの牡蠣と豆腐、挽き肉を口に運べば、熟成豆板醤のコクある辛味がじんわり。追って、花椒の香りが弾けて痺れが走り、後味は意外やさっぱりだ。バスマティライス200円と合わせて一気に掻き込みたい!
また、酒のアテとなる品も見逃せない。Spice飯店的干豆腐和え600円。ズルッとすすれば、干しエビと焦がしネギの香りに紛れて自家製ラー油、干し高菜がピリリ。台湾ビール600円との相性は言わずもがな!
写真左の花椒、中央の熟成豆板醤が麻婆豆腐に。右端の自家製ラー油がSpice飯店的干豆腐和えの辛さの決め手だ。
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唐辛子の辛さが、エビ味噌ラーメンの奥深さをグッと引き出す
Re:唐唐郎(ととろう)[八王子駅/ラーメン]
店主の酒井孝司さんは、イタリアンやフレンチ、和食店などで腕を振るってきた料理人。友人が営む中目黒の居酒屋で「なにか新しいことをしよう!」と、居酒屋が閉まる昼の時間にラーメンを出したのが、始まりだ。「料理は化学である」という自身の考えを表すかのように、店内にはフラスコや試験管などが置かれている。
「僕自身、辛さが苦手なんです。そんな自分でも食べられるような味にしようと思って」と、酒井さん。看板メニューの唐唐郎らーめん800円は辛さがデカ、ヘクト、キロ、メガ、ギガ、テラの6段階で「旨辛がご希望ならヘクトがおすすめ」。中太の麺に絡むのは、西京味噌、麹味噌、赤味噌の3種が溶け込んだ甘エビ出汁と、白湯(パイタン)のダブルスープ。口中に含めば、スープに含まれた唐辛子の華やかですっきりした風味がこっくりした甘みを引き立てる。
使用しているのは、四川料理などでよく使われる朝天(ちょうてん)唐辛子だ。「キロやメガではタイ産のものすごい辛さのものを使っていて、まったく別の味になります」。激辛党のために用意しているのだとか。
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本場北海道のスープカレーは鶏とスパイスの風味が織り重なる
カレー処 ニューチェック [高円寺駅/カレー]
店主のチェックさんは、北海道出身のロックンローラー。地元でスープカレー店を営んでいたが、「俺はビッグになる!」と上京し、音楽活動に精を出していた。しばらくするとカレー好きの血も騒ぎ出し、高円寺のステーキ店『STEAK HOUSE KYOYA』に間借りして出店。そこで評判を呼び、晴れて2021年11月に自分の店をオープンした。
カレーは、鶏ガラと丸鶏を長時間煮込んだスープをベースに10種以上のスパイスを配合。選べる辛さは12段階で、バイクの排気量で記されている。「旨辛だったら250だね」と、チェックさん。一番人気の鶏野菜カレー1200円は、眼前にお目見えした瞬間、スパイスの香りが鼻腔を抜ける。丸ごと一本横たわる鶏レッグは、ホロリとくずれ、素揚げの野菜も香ばしい。口に運ぶと、鶏の力強い旨味とスパイスの華やかな香りがぶわっと広がり、追って心地よい辛さが舌に残る。
写真左の皿の自家製辛味スパイス、中央の粗挽きチリで調整。辛味スパイスには写真右のバーズ・アイをはじめ、3種の唐辛子が配合されている。
アチャール(インドの漬物)も人気だ。写真左上から時計回りにエビ、イカ、ヤマイモ各300円。それぞれ異なるスパイスを使用していて、これまた旨辛。左下のポテシャケ350円やラッシー500円もいい箸休めに。
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コク深き辛さにハマる、辛味味噌タレのマジック
ピリカラ榮(さかえ)[ピリ辛料理/立川駅]
上海の五つ星ホテルの日本料理店でシェフをやっていた店主のトンさん。和食だけでなく中華や韓国料理にも精通しているその手腕を活かし、2017年にピリ辛料理専門店として開業した。
「料理によって違う辛味を楽しんでもらいたいの」とトンさん。自家製の辛味味噌ダレを何種類も用意して、料理ごとに使い分けている。写真左は、人気の麻辣香鍋(マーラーシャンゴウ)1520円。霜降りの豚バラやエビ、イカなどの海鮮、たっぷりの野菜の炒め物だ。辛味味噌ダレは唐辛子の香りが強く、素材の旨味にコクを加え、後引く辛さを生み出している。一方、写真右のピリカラ貝炒め610円は豆味噌ダレを使用。焦がした風味が香ばしい。さらに、柑橘風味のオリジナルドリンク「辛さ抑え」500円が、見事に口中をリセット。次の旨辛に挑む。
写真左が貝炒めの豆味噌ダレ。右が麻辣香鍋の辛味噌ダレ。どちらもトンさん秘伝のレシピで作られている。
〆のピリカラ塩焼きそば770円は、打って変わってペッパーの爽やかな辛味。「貝炒めで残ったタレと合わせてみて!」と、トンさん。試してみると、アサリと豆味噌の風味でググっと辛さと旨味が増し、乙な味に。
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旨味あふれる味噌スープに、山椒の痺れと唐辛子の辛さが後を引く
鬼金棒(きかんぼう)神田本店[神田駅/ラーメン]
店主の三浦正和さんが神田の地で店を開いたのは2009年。当時はまだ、ラーメンに山椒を用いるのは稀有だった頃。「山椒を使うなら、唐辛子の辛味が入ればさらに引き立ててくれるなと。まさに“鬼に金棒”じゃん!」と、コンセプトが決定。鬼の面や金棒の形をしたライト、イスは鬼のパンツ柄、器やレンゲに至るまで、“鬼と金棒”尽くしに。
看板のカラシビ味噌らー麺1030円は、辛さと痺れをそれぞれ「抜き」「少なめ」「普通」「増し」「鬼増し(200円)」の5段階から選べる。「もっとも本領発揮をするのは、どちらも『増し』!」と、三浦さん。ラーメンがお目見えすると、山椒の香りがぶわっ。スープをすすってみると、こっくり深い甘みが口中を包み、追って唐辛子の辛味、山椒の痺れが広がる。10時間炊いたトンコツと鶏ガラの動物系出汁と煮干しや節系がたっぷり入った魚介系出汁、信州白味噌をベースにチーズやナンプラも加えた特製味噌が旨味の秘訣。中太、中細、細の3種の太さが混在している麺も、スープがよく絡みつき食感と味わいを楽しめる。
写真左から4種の唐辛子の辛味パウダー、山椒オイルで「普通」の味付け。さらに3種の唐辛子の辛味パウダーと粉末山椒、鷹の爪を加えることで辛さを調整している。
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取材・文=高橋健太(teamまめ) 撮影=オカダタカオ
上記の情報は2021年12月現在のものです。
※料金・営業時間・休園(館)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。
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