頑張った日の後には、仕事帰りにふらっと寄り道して晩ごはんはいかが?
1人でご飯って少しハードルが高い? 実は、中央線沿線にはソロ客歓迎のお店がたくさんある。メニューの内容だったり、お店の雰囲気も優しい気遣いがいっぱい詰まっている。
毎日の通勤は中央線、きっとそんなあなたに役立つ連載だ。
阿佐ケ谷駅
手作りチーズや香辛料の香りに気分はすっかり地中海! 阿佐ケ谷駅の南イタリア食堂
“旧中杉通り”とも呼ばれる松山通りは、阿佐ケ谷駅から北へ伸びる商店街。ベーカリーや茶舗、古書店などが軒を連ねるなか、青を基調にした店構えに目が吸い寄せられる。空と海と太陽を思わせる扉を開けると、そこはイタリア南部へと通じている場所だった……。
この記事の目次
青い壁にタイル……扉を開ければそこは南イタリア!?
ブーツにたとえられるイタリアの、つま先にあたる部分の先にあるのがシチリア島。現地に出向き、1年みっちり修業を積んだ店主の齊藤純さんは、妻の夏子さんとともに2016年12月、店を構えた。
店に入ると、今度は一面に広がる淡い青い壁が。そこに飾られているのは、現地の写真と、シチリア島産のマヨリカ(マジョリカ)焼きのタイル。色鮮やかでユーモラスな絵付けに、思わず頬が緩む。
前菜は自家製チーズがポイント
テーブル席が2卓あるが、キッチンに沿ってカウンターが伸び、女性の一人客も少なくない。早速メニューを眺めれば、前菜だけで15種類以上あり、迷うばかりだ。すると夏子さんから「チーズも自家製なんですよ」とアシストが。横浜の牧場から低温殺菌牛乳を仕入れ、ブッラータ、モッツァレラ、リコッタなど、4〜5種類のチーズを手作り。さらに、副産物のホエー(乳清)を「捨てるに忍びなくて」と、試行錯誤の末、ホエー酵母へ育て上げたという。
タルトゥファータ(写真奥)510円なら、リコッタチーズの爽やかさと、刻んだトリュフの塩気、ホエー酵母で焼き上げたパンの香ばしさがたまらない。また、鹿肉のポルペッテ(ハーフ2粒)550円は、レモンの葉で香り付けしたミートボール。鹿肉と香辛料の重層的なコクに、レモンの爽やかな風がふわりと吹き抜け、ワインを誘い込む。
よく見る姿とは異なるナポリ風のジェノベーゼ
カウンター越しにひょいっと手渡されたジェノベーゼ1540円を、思わず二度見してしまった。見知ったバジルソースのパスタとは異なる色と姿だ。
「ナポリではジェノバの人が広めたパスタとして、これでもかとタマネギを入れた肉塊の煮込みを使うんです」。ゴロゴロの豚肉のうまみとトロトロのタマネギの甘みを吸い込んだパスタに、ますますワインがクイクイ進む。
酒のつまみにもデザートにもなる焼き菓子
夏子さんお手製のイタリア菓子も見逃せない。アーモンドクッキーでキャラメルをサンドしたバーチ ディ ダーマ アル カラメッロには、くだんのホエーが練り込まれている。また、ゴマたっぷりでザクザクのシチリア名物ビスコッティに、ムチッとしたパスタ ディ マンドルレなど、歯触りが賑やかだ。しかも、1個50〜100円というお手頃価格。「コーヒーと一緒にいかが? あ、食後酒にも合うんですよ、これが」。
締めの焼き菓子でほっこり満足。夫妻との会話も楽しい
ほかにも、手作りのクスクスや、三重の漁師から仕入れる魚を使った料理などを多彩に用意。食前酒、食後酒も揃っているので、気分に合わせてあれこれ楽しめるのもうれしい。齊藤夫妻も朗らかで、つい立ち寄りたくなる。
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=鈴木奈保子
DATA
上記の情報は2021年5月現在のものです。
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