頑張った日の後には、仕事帰りにふらっと寄り道して晩ごはんはいかが?
1人でご飯って少しハードルが高い? 実は、中央線沿線にはソロ客歓迎のお店がたくさんある。メニューの内容だったり、お店の雰囲気も優しい気遣いがいっぱい詰まっている。
毎日の通勤は中央線、きっとそんなあなたに役立つ連載だ。
国立駅
これが本当にノンミート!? 老舗の台湾式菜食レストランで味わう「酢豚風丼」
昨今の健康志向の高まりから注目されている菜食料理。ヘルシーだということはわかっていても、普段から動物性タンパク質を摂っている人にとっては、「物足りない」イメージだろう。でもその「物足りなさ」がなかったら、食べる喜びを噛み締めながら、カラダをリセットすることができるはず。今回訪ねた『中一素食店 健福(なかいちそしょくてん チェンフウ)』なら、ヴィーガンやベジタリアンはもちろん、ノンベジタリアンでも満たされるディナータイムが楽しめる。店名にある「素食」とは、台湾風精進料理。菜食を表す言葉だ。
日本における台湾式菜食店の草分け的存在
国立駅から富士見通りをまっすぐ8分ほど歩くと、右手に見えてくるのが『中一素食店 健福』。1986年のオープンから40年近く、台湾式菜食料理専門店として草分け的存在の老舗だ。
ゆったりとしたスペースにテーブルが配置された店内。
レジ奥には販売スペースが設けられ、店オリジナルのスープやカレー、台湾直輸入の食材やドリンクなどが並んでいる。
日本とは異なる台湾の菜食事情
店のオーナーを務めるのは、台湾出身の李健福(リ チェンフウ)さん。ご自身もベジタリアンで、動物系の食物を食べることはないのだとか。
台湾では、「素食」といって環境問題や宗教上の理由(殺生をしない)などから菜食を習慣にする人が多く、人口の12%ほどの人が菜食主義なのだそう。菜食レストランも町中にあるという。今でこそ日本でもヴィーガンやベジタリアンは増えたものの、その割合は台湾に比べるとまだまだ少ない。
台湾では、「素食」といって環境問題や宗教上の理由(殺生をしない)などから菜食を習慣にする人が多く、人口の12%ほどの人が菜食主義なのだそう。菜食レストランも町中にあるという。今でこそ日本でもヴィーガンやベジタリアンは増えたものの、その割合は台湾に比べるとまだまだ少ない。
「日本では同様の菜食として精進料理がありますが、台湾ほど一般に根付いたものではありませんね。日本の食文化は欧米に近いと感じます」と語る李さん。台湾の食文化として根付く素食を紹介したレシピ本も出版している。
予想外のボリューム感に驚きが隠せない!
料理メニューを開くとカレーや焼き餃子、ルーロー飯など、イメージしていたものとは違う料理が並んでいる。今回はその中でも一番意外に感じた酢豚風丼のセット1180円をオーダー。ポイントは酢豚ではなく酢豚「風」。一体どんな料理が出てくるのだろうか。
料理が運ばれてくる前に提供されたのは「決明子」(ケツメイシ)。何やら聞いたことのある名前……。実はお茶の名称だったというのは初めて知った。決明子は豆科の植物の実を使ったお茶で、整腸、利尿、涼血作用があるとされ、高血圧や消化不良、目の不調などに良いと言われているそう。
料理が運ばれてくる前に提供されたのは「決明子」(ケツメイシ)。何やら聞いたことのある名前……。実はお茶の名称だったというのは初めて知った。決明子は豆科の植物の実を使ったお茶で、整腸、利尿、涼血作用があるとされ、高血圧や消化不良、目の不調などに良いと言われているそう。
お茶を味わいながら、待つことしばし。酢豚風丼のセットが運ばれてきた。メインの酢豚風丼のほかに漬物とスープ、デザートの杏仁豆腐がセットになっている。
野菜たっぷりのスープはショウガとカレーの香りが食欲をそそる。
そしてこれが酢豚風丼! ご飯は白飯か玄米かを選べたので、玄米をチョイスした。どう見ても“普通の酢豚”に見える“酢豚風”。そしてボリューム満点なことにも驚いた。
豚肉に見立てているのは大豆ミート。大豆を搾り、熱や圧力を加えて乾燥させることで、まるで肉そのもののような見た目、味わいを表現できる加工食品だ。しっかりとした食感で、甘酢の味付けもあり、本当に豚肉を食べているような感覚になる。
豚肉に見立てているのは大豆ミート。大豆を搾り、熱や圧力を加えて乾燥させることで、まるで肉そのもののような見た目、味わいを表現できる加工食品だ。しっかりとした食感で、甘酢の味付けもあり、本当に豚肉を食べているような感覚になる。
大豆の油分を取り除いた大豆ミートは、高タンパクで低脂肪。鉄分や亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルも豊富に含まれている栄養価の高い食品なのだとか。
素食では、匂いが強くスタミナの素となる五葷(ごくん=長ネギ・玉ネギ・ニンニク・ラッキョウ・ニラ)を使用しないのも特徴。それでも梅などを味のアクセントに使用した甘酢はメリハリのある味わいで、物足りなさは全く感じられない。ピーマンとパプリカの色味も美しく、見た目からも食欲をそそられる。
「素食」という言葉のイメージからシンプルで味の薄い料理を想像していたが、実はボリュームも味わいもしっかりとあるのが台湾素食。毎日は難しくても、時にはカラダのために素食を取り入れることができそうだ。ベジフードのイメージが大きく変わったディナーになった。
素食では、匂いが強くスタミナの素となる五葷(ごくん=長ネギ・玉ネギ・ニンニク・ラッキョウ・ニラ)を使用しないのも特徴。それでも梅などを味のアクセントに使用した甘酢はメリハリのある味わいで、物足りなさは全く感じられない。ピーマンとパプリカの色味も美しく、見た目からも食欲をそそられる。
「素食」という言葉のイメージからシンプルで味の薄い料理を想像していたが、実はボリュームも味わいもしっかりとあるのが台湾素食。毎日は難しくても、時にはカラダのために素食を取り入れることができそうだ。ベジフードのイメージが大きく変わったディナーになった。
大豆ミートは購入も可能
「これが本当にノンミート!? 」と思ってしまうほどの、しっかりした食べごたえの菜食料理を味わえる。店内には大きな冷凍庫も設置されており、大豆ミートをはじめとした製品も多く販売している。ハンバーグやミートボール、エビや魚に見立てた製品など、家庭での調理に手軽に取り入れることもできそうだ。
取材・文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2024年5月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです