友人や家族など大切な方と会うときは、中央線沿線ならではの手みやげを持っていこう。
地元の素材を取り入れていたり、その土地の個性が表れていたりと、中央線の手みやげには地域の話題がたくさん詰まっている。そんな一品を持参すれば、あなたが暮らす街の話題で盛り上がるかも。
中央線沿線にお住まいの方、中央線をよく利用される方必見の連載。
神田駅
神田で手みやげを買うなら、神田の名が入った最中/自家製寒天のあんみつはいかが?
駅周辺にはたくさんのビルが立ち並び、多くのビジネスパーソンが行き交うオフィス街・神田。その一方で、神田須田町周辺のレトロな街並みをはじめ、街のあちこちに長い歴史が息づく街でもある。街を散策すれば、点在する老舗に出合うことができるこのエリアでの手みやげ探し、せっかくだから老舗の味を選びたい。
今回ご紹介する2軒どちらも創業100年を越える名店だ。古き良き日に思いを馳せつつ長い歴史が紡ぐ味を楽しめば、大切な人たちとの時間が心温まるものになるだろう。
三代にわたり大切に守られ続ける最中
神田三原堂[和菓子店]
1922(大正11)年創業。100余年の歴史を紡ぐこの店があるのは、神田駅東口からすぐ。創業からずっとこの場所で、移ろいゆく時代と人々を見つめてきた。
店の看板は最中だ。なかでも定番なのが、北海道産小豆を使った粒餡がぎっしり詰まった「大最中(おおもなか)」1個350円。伝統的な製法で手づくりするコクのある餡をパリッと香ばしい最中種(最中の皮)にはさんだ、初代から続く名刺がわりの一品だ。
「最中種はほとんどの場合、和菓子店が作るのではなく、専門の種屋(たねや)さんのものを使うんです。うちも六代続く浅草の種屋さんの最高級種を使っているんですよ」と、店の看板を守る三代目・野見朗子さんが教えてくれた。この大最中をひと回り小さくしたのが「神田っ子最中」1個230円だ。神田の名を冠した最中は、神田の手みやげにちょうど良い。
また、「塩せんべい」1枚50円も人気が高い。うるち米の粒感を残した薄焼きの醤油味のせんべいで、伯方の塩とドイツのクリスタル岩塩をブレンドした塩気がアクセントに。
神田っ子最中と塩せんべいを組み合わせた「神田っ子最中セット」2040円〜や最中3種をセットにした「三代最中」、塩せんべいは可愛らしい巾着入りの10枚セットから最大132枚化粧箱セット7420円まで、多彩な組み合わせで幅広い用途の贈答用セットが用意されている。
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寒天ひと筋の専門店ならではの涼やかなあんみつ
福尾商店[甘味処]
1886(明治19)年の創業以来、代々受け継がれてきた寒天製造の専門店。しっかりとしたコシがあり、風味が良い寒天を使ったあんみつや豆かんをはじめ、わらび餅や団子などの販売もしている。
寒天の原材料は、伊豆諸島や伊豆半島の仁科や八木沢などで採れる上質な天草をブレンド。コシの強さや風味は、使用する天草によって大きく異なるそうで、天草の選定眼やブレンドの塩梅、製造技術などによって、“うち(福尾商店)の味”が守られている。「最近は地球環境の変化によって海水温が上がり、質の良い天草が採れる地域や量が年々減ってきています。長い付き合いで問屋さんが確保してくれていますが、それでも厳しくなってきていますね」。上質な寒天づくりの要である天草の確保に苦労が多いと4代目の福尾聡恵さん。自然と向き合いながら丁寧につくられる寒天だからこそ、多くの人を惹きつけてやまない。また、あんみつに欠かせない餡や赤えんどう豆、黒蜜も自家製。添加物を極力使わず、素材そのものの味が堪能できるよう心がけているそうだ。
出来立ての寒天はコリッとした歯応え。まずは蜜をかけずにそのまま一口。ほんのりと天草の香りが感じられる。その後、別添えの黒蜜をかけて頂く。黒糖の風味を控えめに仕上げた黒蜜は、小さな子どもでも食べやすいマイルドな味わい。赤えんどう豆のほのかな塩味がアクセントになっている。
夏の手みやげにぴったりの梅寒天は、涼感あふれる一品。紀州の南高梅を加え、ほんのりと梅の風味が感じられる寒天が爽やかだ。シロップ漬けの梅もまるごとひとつ。甘酸っぱさがクセになる。通年販売のため、リピートするファンも多いそうだ。
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文・撮影=篠原美帆
上記の情報は2024年6月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。