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- 時代を反映し、新しい伝統をつくる神社。神馬あかりちゃんにも会える神田明神
御朱印やかわいらしいお守りが目当ての神社巡りが趣味という人が増加中。神社はそれぞれに伝わる由来があり、街の歴史との関係も深い場所だ。神社からお散歩をスタートすると、何度も訪れている駅も、初めて降りる駅も、これまでとは違う景色が見えてきそう。
気分も晴れ晴れ、中央線から神社さんぽに出かけよう!
御茶ノ水駅
時代を反映し、新しい伝統をつくる神社。神馬あかりちゃんにも会える神田明神
御茶ノ水駅から徒歩約5分の場所にある神田神社、通称神田明神。
隔年5月に日本三大祭の一つである神田祭が行われるほか、毎年仕事始めに商売繁昌を祈願しようと職場の仲間と訪れる人も多い。都心にありながら、広い境内には、極彩色が印象的な社殿のほかに、資料館、みやげ物のショップやカフェ、休憩スペースもある。観光スポットとしてもにぎわう神田明神は気分転換にもってこいの場所だ。
仕事始めのお参りを最初に呼びかけた神社
神田明神は神田、日本橋、秋葉原、大手町や丸の内といった広い地域の氏神様。創建は天平2(730)年で、2024年現在1294年という長い歴史を持つ。
現在祭られている神様は3柱。出雲大社にも祭られ、だいこく様として親しまれる大己貴命(オオナムチノミコト、大国主命=オオクニヌシノミコトとも)、えびす様としても知られる少彦名命(スクナヒコナノミコト)、そして平安時代の豪族だった平将門命(タイラノマサカドノミコト)が除災厄除の神として祭られている。
現在祭られている神様は3柱。出雲大社にも祭られ、だいこく様として親しまれる大己貴命(オオナムチノミコト、大国主命=オオクニヌシノミコトとも)、えびす様としても知られる少彦名命(スクナヒコナノミコト)、そして平安時代の豪族だった平将門命(タイラノマサカドノミコト)が除災厄除の神として祭られている。
当初は現在の大手町にある平将門の首塚付近に創建し、江戸時代初期の元和2(1616)年に現在の場所に移転した。江戸時代には、まだ異端の存在だった歌舞伎を祭りに取り入れるなど、斬新なアイデアを実現させてきたことも神田明神の特徴だ。
神田明神は、正月休み明けに商売繁昌を願う参拝者でにぎわうことでも知られる。実はこの習慣が生まれたのは、昭和30年代のこと。当時の神田明神は、お祭りのとき以外は静かな神社で、1月も三が日以外はほとんど人が訪れずひっそりとしていたとか。そんな状況を変えようと当時の宮司が発案したのが、仕事始めの初詣だ。年始に会社の皆さんで参拝に訪れてほしいと、神職さんたちが手分けして近隣の企業を訪ねて呼びかけたというから本気度がすごい。現在は都心の企業からはもちろん、新幹線に乗って遠方からやってくる人もいて、三が日よりも仕事始めの数日間のほうが境内はにぎわっている。
実は男性にも人気! うさぎモチーフのレース御守
そのときどきの流行や時代のニーズを先んじて取り入れてきた神田明神。平成30(2018)年には境内に複合施設、神田明神文化交流館EDOCCOが作られた。館内にはカフェやみやげ物店、ホールなどのほか、神札授与所もあって、お守りやお札をゆっくり選べるのもうれしい。
令和4(2022)年ごろ、かわいらしいお守りを作ろうと、巫女さんを中心に考えられたのがレース御守だ。藤の花とうさぎがモチーフになった繊細なデザインがかわいいと、奉製待ちになることもある人気ぶりだ。モチーフにうさぎが選ばれたのは、主祭神のだいこく様がうさぎを救った因幡の白うさぎの故事にちなんでいる。お守りは桐の箱に入れられていて、その箱にもうさぎのモチーフが描かれている。
レース御守のご利益は、開運招福、身体健全とされているが、レース素材のおかげで「将来の見通しが良くなるお守り」という声も挙がっている。そんな中、2024年1月にレース御守を授かった人のSNS投稿が話題になった。素材のレースではなく、競馬などのレースの意味だろうと勘違いしてレース御守を求めたというもので、レース好きにずいぶん注目された。それ以来、勝負事のお守りとして男性の間でも評判だというからおもしろい。勝負事やスポーツが好きな人と、かわいいものが好きな人でお揃いにすると2人の運も開けていくかも?
レース御守のご利益は、開運招福、身体健全とされているが、レース素材のおかげで「将来の見通しが良くなるお守り」という声も挙がっている。そんな中、2024年1月にレース御守を授かった人のSNS投稿が話題になった。素材のレースではなく、競馬などのレースの意味だろうと勘違いしてレース御守を求めたというもので、レース好きにずいぶん注目された。それ以来、勝負事のお守りとして男性の間でも評判だというからおもしろい。勝負事やスポーツが好きな人と、かわいいものが好きな人でお揃いにすると2人の運も開けていくかも?
神田明神のアイドル! 神馬あかりちゃん
神田明神を訪れたら、たとえ柵越しでも会ってほしいアイドルがいる。それは神馬(しんめ)、あかりちゃんだ。あかりちゃんの本名は神幸号(みゆきごう)。平成22(2010)年5月15日、神田祭の日に生まれたメスのポニーだ。
そもそも馬は神様の乗り物。昔々は神社に馬を奉納する習わしがあったが、実際の馬を奉納するのは難しいと、絵に描いた馬、絵馬が奉納されるようになったという歴史がある。
そもそも馬は神様の乗り物。昔々は神社に馬を奉納する習わしがあったが、実際の馬を奉納するのは難しいと、絵に描いた馬、絵馬が奉納されるようになったという歴史がある。
あかりちゃんは、当時の宮司が知り合いから譲り受けた。そのころ神田明神には、馬の調教師として働いた経験を持つ神職さんが在籍していて、あかりちゃんを迎え入れる態勢が整っていたことが決め手になったようだ。
現在あかりちゃんは14歳。まだ幼かった平成28(2016)年に単独で境内を抜け出し、湯島聖堂付近まで疾走して、神職さんたちをハラハラさせたという逸話を持っている。すっかりレディになった今は1日に2回、早朝と夕方に境内を散歩するのが日課だ。あかりちゃんの厩舎は御神殿のすぐそばにある。つぶらな瞳のあかりちゃんの姿を見て、しばし癒されよう。
新しい一歩のヒントを探しに
近年はアニメや芸能、プロレスなどとのコラボレーション企画を実施することもある神田明神。そもそも江戸時代に歌舞伎を祭りに取り入れたという歴史もあり、神社に仕える神職さんたちの間にも「今を生きている人のために神社はある」「伝統は作っていくものだ」という考えが浸透している。これまでのやり方を変えたいとき、新しいことを始めたいときに神田明神を訪れて境内を見回してみると、次のステップへのヒントが見つかるかも。
DATA
取材・文・撮影=野崎さおり
上記の情報は2024年10月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。
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