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プチ旅コンシェルジュへようこそ。
いつも通勤・通学など、日常の生活で利用する中央線の沿線や中央本線・青梅線。その先の沿線には、日帰りで楽しめるスポットがたくさんある。
この連載では、毎回さまざまなテーマで駅から日帰りで楽しめるおすすめコースを紹介。よく利用する駅にも、少し歩けば知らなかった魅力が見えてくる。
次の休日は中央線に乗ってプチ旅しよう!

高尾駅
高尾駅からバスで裏高尾へ。小仏峠をぐるり散策
裏高尾から高尾山に入れば、混雑を避けられるうえ、水のせせらぎと木漏れ日が心地いい。幾重にも山が連なるなか、今回は小仏城山・小仏峠をぐるっとコンパクト周遊。低山だけど山の醍醐味はめくるめく。
この記事の目次
目的地までのアクセスと歩き方
新宿駅から中央特快で約45分、立川駅から快速で約20分の高尾駅下車。駅北口から「小仏」行き京王バスで約9分の裏高尾バス停で下車後、日影沢林道、小仏城山、小仏峠を経由し、小仏バス停に至る約8kmのトレッキングコースだ。虫寄け、クマ鈴必携。水分補給も忘れずに。
1.
珈琲自家焙煎の店 ふじだな[高尾駅/コーヒー専門店]
登山前に、一杯のコーヒーで体を目覚めさせる

裏高尾バス停で降りると、山里風情にひょっこり現れる木造テラス。
その先でネコのイラストが愛らしい木製看板が道ゆく人を誘う。
ここは自宅を改装したコーヒー専門店。
店主の峯尾祥弘さんが丁寧にハンドピックした豆を自家焙煎し、ハンドドリップする。
その先でネコのイラストが愛らしい木製看板が道ゆく人を誘う。
ここは自宅を改装したコーヒー専門店。
店主の峯尾祥弘さんが丁寧にハンドピックした豆を自家焙煎し、ハンドドリップする。

ストレートの他、深煎りでコクと甘みを醸す高尾ブレンド、看板商品のふじだなブレンド各100g 800円など、店頭販売する焙煎豆は黒光りしてツヤッツヤ。

ふじだなブレンドのコーヒーを啜ると、くいっくいっと喉を通る飲みやすさ。
「お茶代わりに飲めるように、胃に負担をかけず、舌に残らず、水を飲まなくても次にいけるような味を目指しているんです」と峯尾さん。
それでいて、コーヒーの芳しい余韻がふんわり口中で漂う。
フジとウメの木の下のテラス席でいただけば、黄葉に染まり始めた川向こうの山のカツラが目を和ませ、鳥声が際立たせた静寂にも癒される。
「お茶代わりに飲めるように、胃に負担をかけず、舌に残らず、水を飲まなくても次にいけるような味を目指しているんです」と峯尾さん。
それでいて、コーヒーの芳しい余韻がふんわり口中で漂う。
フジとウメの木の下のテラス席でいただけば、黄葉に染まり始めた川向こうの山のカツラが目を和ませ、鳥声が際立たせた静寂にも癒される。

店内では地元常連客を交えたおしゃべりも楽しい。
月替わりで山野草の写真や絵、高尾山の花暦が飾られ、山登りの前に見ていくのもいい。
秋も冬も、山は彩り豊かだと気づかせてくれる。
月替わりで山野草の写真や絵、高尾山の花暦が飾られ、山登りの前に見ていくのもいい。
秋も冬も、山は彩り豊かだと気づかせてくれる。
2.
日影沢林道[高尾駅]
待ち受けるのは、美しき沢と眺望

日影バス停の目と鼻の先にある日影沢林道に入った途端、木々が鬱蒼と繁り、木漏れ日が点々と沢に落ちる。ところどころ、せせらぎと戯れられる場所もある。
高尾山の森はとても豊か。
1600種以上の植物、70種以上もの鳥たちに加え、大阪の箕面山、京都の貴船山と並ぶ日本三大昆虫生息地の一つ。
4000〜5000種の昆虫が棲むと言われ、ひらひらと蝶やトンボが案内を買って出てくるひとときも楽しい。
高尾山の森はとても豊か。
1600種以上の植物、70種以上もの鳥たちに加え、大阪の箕面山、京都の貴船山と並ぶ日本三大昆虫生息地の一つ。
4000〜5000種の昆虫が棲むと言われ、ひらひらと蝶やトンボが案内を買って出てくるひとときも楽しい。

沢から離れてしばらく行くと、ほら貝の音が風に乗って山を駆け上ってきた。高尾山薬王院の護摩行の知らせだろうか。
さらに進むと樹木が途切れてパッと視界がひらけた。
東京方面が遠く見渡せ、清々しいこと。ここまでくれば、小仏城山はすぐそこだ。
さらに進むと樹木が途切れてパッと視界がひらけた。
東京方面が遠く見渡せ、清々しいこと。ここまでくれば、小仏城山はすぐそこだ。
3.
城山茶屋 [高尾駅/峠の茶店]
登頂のご褒美に、体に沁みるなめこ汁を

小仏城山では2つの茶屋が背中合わせで登山客を出迎える。
その一つで、相模湖側にあるのが城山茶屋だ。天気がよければ、富士山だって望める。
その一つで、相模湖側にあるのが城山茶屋だ。天気がよければ、富士山だって望める。

名物はなめこ汁350円。
各店、なめこ汁の趣向が異なるなか、城山茶屋は醤油仕立てで、麓の峰尾豆腐店で仕入れた木綿豆腐がたっぷり。
「豆腐を仕込む井戸水も分けてもらってるんですよ」と話すのは、3代目の尾嶋典善さんだ。
とろみの付いた汁が胃の腑をじんわり温め、啜った途端、声が出てしまうほど沁みる。
各店、なめこ汁の趣向が異なるなか、城山茶屋は醤油仕立てで、麓の峰尾豆腐店で仕入れた木綿豆腐がたっぷり。
「豆腐を仕込む井戸水も分けてもらってるんですよ」と話すのは、3代目の尾嶋典善さんだ。
とろみの付いた汁が胃の腑をじんわり温め、啜った途端、声が出てしまうほど沁みる。

「お腹が空いてたらおでん、お酒を飲むならモツ煮もおすすめ」と聞いて、両方注文。
しみしみの手作りおでん600円(左)をつまみつつ、味噌仕立てのモツ煮500円(右)を口に入れると、思いのほかパンチのある味わい。あぁ、ビールくださいっ!
しみしみの手作りおでん600円(左)をつまみつつ、味噌仕立てのモツ煮500円(右)を口に入れると、思いのほかパンチのある味わい。あぁ、ビールくださいっ!

他にも、新潟県魚沼市出身のお母さん・かつみさん(左)が郷里の玉川酒造から取り寄せた酒粕と酒で仕込むあま酒300円はほどよく粒感があり、これまた体に染み入るやさしい甘さ。「井戸水で淹れています」というハンドドリップはコーヒー好きの先代こだわりの味だそうだ。
かくいう尾嶋さん(右)は夏場、フワッフワのてんこ盛りかき氷で登山客を喜ばす。
シロップ入れをお客さんに渡して、思う存分かけてもらうスタイルで、「10月ぐらいまで続けますよ」。
2025年で創業100年。
今日も登山客の癒しの場になっている。
かくいう尾嶋さん(右)は夏場、フワッフワのてんこ盛りかき氷で登山客を喜ばす。
シロップ入れをお客さんに渡して、思う存分かけてもらうスタイルで、「10月ぐらいまで続けますよ」。
2025年で創業100年。
今日も登山客の癒しの場になっている。
DATA
4.
小仏峠と旧甲州街道[高尾駅]
山の風情を満喫するうねうねの山道

小仏城山から高尾山を目指すのもいいが、今回は小仏峠へ。
尾根道に入ると、風情はガラリと一変。
林道と異なり、小径に木々の根っこがうねうねと張り巡らされ、針葉樹の森の彼方から鳥声が響きわたる。
尾根道に入ると、風情はガラリと一変。
林道と異なり、小径に木々の根っこがうねうねと張り巡らされ、針葉樹の森の彼方から鳥声が響きわたる。

小仏峠まで下ると、たぬきの置物が出迎えてくれた。
ここは峠の分かれ道。
景信山・陣馬山へ縦走する尾根道、相模湖へ下る道もあるが、ここは旧甲州街道を小仏バス停に向かって進むことに。
先人たちの健脚ぶりに舌を巻きつつ、曲がりくねる細い山道をゆっくり下山しよう。
ここは峠の分かれ道。
景信山・陣馬山へ縦走する尾根道、相模湖へ下る道もあるが、ここは旧甲州街道を小仏バス停に向かって進むことに。
先人たちの健脚ぶりに舌を巻きつつ、曲がりくねる細い山道をゆっくり下山しよう。
5.
高尾ビール KO52ブルワリー&タップルーム[高尾駅/クラフトビール]
極上のビールと手作りフードは下山のお楽しみ

高尾駅まで戻ったら南口へ。早速、下山ビールとまいりたい。
KO52 TAKAO 2階は広いカフェスペースを挟んで『高尾ビール』とコーヒーショップ『BOREDOM(ボアダム)』が入る。
下戸の人やノンアル気分の人とともに、疲れを解く一杯が味わえる場所だ。
KO52 TAKAO 2階は広いカフェスペースを挟んで『高尾ビール』とコーヒーショップ『BOREDOM(ボアダム)』が入る。
下戸の人やノンアル気分の人とともに、疲れを解く一杯が味わえる場所だ。

カフェスペースの最奥で存在感を放つのはビールの醸造タンクだ。
2017年、高尾山の麓の町・恩方地区で始まった醸造所が、2024年、高尾駅北口にあったタップルームを移転させ、小さな醸造所も新設。
山好きはもちろん、地元客も喉を潤しに訪れる。
2017年、高尾山の麓の町・恩方地区で始まった醸造所が、2024年、高尾駅北口にあったタップルームを移転させ、小さな醸造所も新設。
山好きはもちろん、地元客も喉を潤しに訪れる。

「農産物が豊かな場所です」と話すのは代表の池田周平さん(左)。
八王子を中心に、山梨、多摩エリアなど、周辺農家から仕入れる農産物は年間40〜50種。
山梨のワイン文化とビールが合流したフルーツビア、自家栽培ホップも用いたビールなど、常時約6種類をタップにつなぐ。
恩方で仕込んだボトルビール、高尾で仕込んだ缶ビールを持ち帰れるのもうれしい。
八王子を中心に、山梨、多摩エリアなど、周辺農家から仕入れる農産物は年間40〜50種。
山梨のワイン文化とビールが合流したフルーツビア、自家栽培ホップも用いたビールなど、常時約6種類をタップにつなぐ。
恩方で仕込んだボトルビール、高尾で仕込んだ缶ビールを持ち帰れるのもうれしい。

迷ったら、Sサイズ3種を飲み比べられるBeer Flights 1800円を。
左から、爽やかな苦味の「ホッピーセゾン」、米や山ぶどう、桑の葉茶など8種で仕込むゴールデンエールの「8 GEMS」、パッションフルーツを用いたトロピカルIPAの「森は生きている」。
タップビールが月に3〜4種入れ替わるのも楽しみだ。
フードにも力を注ぐ。
スモークトラウトのタルティーヌ1000円(左)、ドイツハムが旨味濃厚なたかおサンドB 1200円(右)はビールにドンピシャ。
「パンとビールは、原料が同じですから」と、パンも手作りし、パテに用いるニジマスも池田さんの釣果。
「川にニジマスを仕入れに行くのも、仕事のうちです」と、ニヤリ。
トークイベントやライブも随時開催。
ビール片手にアート&カルチャーが渦巻く夜も楽しみだ。
左から、爽やかな苦味の「ホッピーセゾン」、米や山ぶどう、桑の葉茶など8種で仕込むゴールデンエールの「8 GEMS」、パッションフルーツを用いたトロピカルIPAの「森は生きている」。
タップビールが月に3〜4種入れ替わるのも楽しみだ。
フードにも力を注ぐ。
スモークトラウトのタルティーヌ1000円(左)、ドイツハムが旨味濃厚なたかおサンドB 1200円(右)はビールにドンピシャ。
「パンとビールは、原料が同じですから」と、パンも手作りし、パテに用いるニジマスも池田さんの釣果。
「川にニジマスを仕入れに行くのも、仕事のうちです」と、ニヤリ。
トークイベントやライブも随時開催。
ビール片手にアート&カルチャーが渦巻く夜も楽しみだ。
裏高尾は歩く場所で風景も変化
沢沿いの林道、尾根道、旧街道の山道など、実はルートが多彩な場所。高尾山から小仏峠、景信山を目指すもよし、逆ルートもよし。大混雑の高尾山とは違い、人はまだ少なめで、植物も虫も鳥も賑やか。山上にも下山後にも、極楽の補給スポットが待っている。
取材・文=林 さゆり 撮影=逢坂 聡
上記の情報は2025年9月現在のものです。
※料金・営業時間・定休(休館・休園)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。
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