頑張った日の後には、仕事帰りにふらっと寄り道して晩ごはんはいかが?
1人でご飯って少しハードルが高い? 実は、中央線沿線にはソロ客歓迎のお店がたくさんある。メニューの内容だったり、お店の雰囲気も優しい気遣いがいっぱい詰まっている。
毎日の通勤は中央線、きっとそんなあなたに役立つ連載だ。
立川駅
こだわりつまみと地酒と女将が名物! 立川駅のおうち酒場
立川駅南口から5分ほど歩くと出合える『酒歩(しゅほ) たから』は、隠れ家的な風情の酒場だ。ちょいといいつまみと地酒が看板だが、気さくな女将が醸し出す、自宅のような安心感がなによりの魅力。早めの時間帯にまったり静かに過ごすも、遅い時間に常連衆の会話をBGMに過ごすも、好みで楽しめる。
青々と茂った観葉植物がお出迎え
観葉植物が茂る一角は、一見、小洒落たカフェのようないでたち。軒先で揺らめく提灯は、『酒歩 たから』の文字が切り貼りされて、手作り感がなんともかわいらしい。店の奥をのぞけば、せっせと仕込みをしている女将の姿が。誘われるように、店内に歩みを進める。
店主の岡村美奈さんは「私自身、飲み歩きが大好きなの。あまりに好きすぎて『自分でもお店を開いちゃえ!』って思って」と、2008年にオープンした。軒先の観葉植物は、開店当初から植えていたものがうまい具合に育って、演出に一役買っている。
物腰柔らかな岡村さんとの会話に、観葉植物が醸し出す優しい雰囲気、そこかしこに置いてある小物たちの賑やかさが、まるで自宅にいるような心地よさだ。
物腰柔らかな岡村さんとの会話に、観葉植物が醸し出す優しい雰囲気、そこかしこに置いてある小物たちの賑やかさが、まるで自宅にいるような心地よさだ。
朝どれの野菜と冷ややっこでスタート!
ビールにウイスキー、チューハイ、焼酎と、種類も銘柄も豊富で迷うところだが、特におすすめは気まぐれに仕入れる地酒1合680円~だ。これに合わせる一品を尋ねると、「朝どれの野菜と冷ややっこはいかが?」と、岡村さん。この日の朝どれ野菜は枝豆480円。あえて歯ざわりを残した食感と青々とした風味は言わずもがな、酒にベストマッチ。また、北海道産大豆と石川県産の天然にがりで作ったずっしり重たい豆腐を使った冷ややっこ480円は、オリーブオイルと塩で。口に含んだ瞬間、濃厚な甘みが埋め尽くし、自然と顔がほころぶ。
パリパリ食感にハマる。きつねコロッケ
日本酒と前菜のあとは、少しお腹にたまるおつまみも食べたい。ここで外せないのがきつねコロッケ480円だ。裏返した油揚げにジャガイモとひき肉、タマネギをみっちり詰め、揚げるのではなく、焼く。出来たてにかじりつくと、油揚げの衣がパリッと音を立て、ホクホクのジャガイモが飛び込んできてハフハフ。下味がしっかりついていて、ソースなしでも後引く味わいだ。
〆のご飯ものと合わせる、ちょっと珍しいくろもじ茶
〆には、玄米焼きめし780円とくろもじ茶480円を注文。焼きめしは、玄米の食感とネギの芳香、卵の甘みを塩味がしっかり引き立てて、くせになる味わいだ。聞けば、卵も平飼い農家の“ちょっといいやつ”を使っているそう。また、くろもじ茶は爪楊枝の原料となるクロモジをお茶にしたもの。ひと口すするとスパイシーで爽やかな香りが口中にぶわっと広がり、未知の風味に驚愕する。
「自然派食材にこだわってるんですね」と聞くと、「ちょっとだけね。でも、たまにタコさんウインナーみたいなのも出したくなるから、大きな声では言わないようにしているの」と、にっこり。最後までお茶目な岡村さんだった。
「自然派食材にこだわってるんですね」と聞くと、「ちょっとだけね。でも、たまにタコさんウインナーみたいなのも出したくなるから、大きな声では言わないようにしているの」と、にっこり。最後までお茶目な岡村さんだった。
圧倒的ホーム感にやられて、また必ず来たくなる
気配り上手、話し上手の女将に、アイデアいっぱいのつまみの数々。小洒落た店の風情も相まって、心休まる。自分だけの隠れ家にしたい、そんな気分にさせる名店だ。
取材・文=高橋健太(teamまめ) 撮影=鈴木奈保子
DATA
上記の情報は2021年6月現在のものです。
※料金・営業時間・休園(館)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業休止や営業時間・形態の変更、イベントの延期・中止など、掲載内容と異なる場合があります。