個性的なパン屋から行ってみたかった名店まで、中央線沿線のベーカリーが集結する「中央線パンまつり」。
2020年2月に始まり、回を重ねるごとに魅力と楽しさが増し、沿線周辺以外からも多くの集客を誇る人気イベントに成長しつつあります。
第5回を迎えるにあたり、「中央線パンまつり」のこれまでの歩みをおさらい。主催者や沿線で営むベーカリーの思いとともに、「中央線パンまつり」の魅力を紹介します。
沿線の人々に喜んでもらえる最大公約数
第1回はかつて国立駅南口にあったJR国立ビルを会場に、2020年2月17日(月)から24日(月・祝)までの8日間という長い期間での開催でした。初開催にもかかわらず、沿線を中心にした45店舗のベーカリーやショップ、カフェが日替わりで8~16ブース出店。JRの駅社員がおすすめするパン屋や、口コミで人気の高い店が集まり、来場者は延べ18000人を超える大盛況のイベントになりました。
イベントを主催する東日本旅客鉄道株式会社と株式会社JR中央線コミュニティデザインは、中央線沿線のくらしがより魅力的になるよう、2017年から「
中央線コーヒーフェスティバル」を、2018年からは「
中央線ビールフェスティバル」をそれぞれ定期的に開催。いまや中央線を代表する2大イベントに。さらにもう1つの柱を、と選んだのが“パン”でした。
企画をした社員は「ののわマーケットなど、nonowaで定期開催していた物販イベントでもパンが大変好評だったことから、沿線にはパン好きの方が多いのではと感じていました。沿線の多くのみなさまに何が一番喜ばれるだろうかと選び抜き、最大公約数的に“パン”に決まりました」と話します。
第2回は翌年2021年3月13日(土)から14日(日)、コロナ禍期間であることを鑑み、屋外である東小金井の梶野公園で開催。2日間でおよそ8800人が来場し、広い空のもと公園でのんびり過ごしながら、お気に入りのパンを探し、テイクアウトを楽しむファミリーの姿もみられました。
駅間を散策しながら回遊する楽しみへ
第3回となる2021年11月13日(土)から14日(日)は、武蔵境駅と東小金井駅間の高架下にあるコミュニティ広場に場所を移動。密を避けるため、武蔵境nonowa Terrace、武蔵境ぽっぽ公園、コミュニティステーション東小金井の3会場に分散しての開催でした。
日替わりで約30店舗のベーカリーやショップが出店し、2日間でおよそ12500人が来場。3会場をつなぐ高架下の回遊歩行空間「ののみち」には途中に寄り道できるショップや休憩スポットもあり、沿線の景色を眺めながらのんびり巡るとおよそ1時間。まち歩きもあわせて楽しめるような雰囲気づくりも大切にしています。
第4回は2022年11月26日(土)から27日(日)、前回と同じ3つの会場をメインに、約30店舗が日替わりで出店。2日間でおよそ12500人が来場し、そのうち周辺エリア以外からの集客が沿線からの来場客数を上回るなど年々認知度も拡大。
「中央線パンまつり」は朝から行列ができる人気店も多く、「並ばずに買いたい」「売り切れで買えなかった」というお客さまの声に応え、中央線のおすすめのパン5種類を詰め合わせた「中央線パンセット」の予約販売を開始するなど、より多くの方に楽しんでもらえるような試みも増えました。
小さな個人店に寄り添ったイベント
「中央線パンまつり」の特徴は、中央線沿線にある地元密着のベーカリーをはじめ、焼き菓子やジャム、パンにまつわる雑貨の店が一堂に集うこと。そしてなにより、中央線沿線が好きで、沿線の人々に喜んでもらいたいという駅社員たちの思いを共有し、一緒に盛り上げてくれる地域に根差した店舗が多いことです。
沿線にあるベーカリーには小さな個人店が多く、1日に焼ける数量にも限りがあります。そこで第3回からは2部制にし、10時~13時または14時~17時の3時間のみの出店が可能になるなど仕組みを改善。その結果、より多くの個人店が参加できるようになりました。同じブースでも1部と2部で出店者が入れ替わるため、お客さまにとってもパンの選択肢が広がります。
懐かしくて新しい、駅社員がきっぷを切る光景
また、制服を着た駅社員や、コンテンツ内容に“鉄道”が絡むことも「中央線パンまつり」ならではの光景。
第3回の期間中、駅社員がきっぷを切る「入鋏ラリー」が注目を集めました。それはかつて自動改札機に切り替わる前まで実際に使われていた改札鋏で、駅社員が会場を巡るラリーカードを切ってくれるというもの。駅ごとに切れ込みの形が異なる改札鋏でカードを切ってもらえるとは、大人には懐かしく、子どもには新しい体験。「中央線パンまつり」ならではの記念品にもなりました。
ほかにも、第4回イベント終了後には、出店店舗を巡るアフターラリーも開催。「中央線パンまつり」をきっかけに沿線の店舗へ足を運んでもらい、イベントで出合ったベーカリーとの縁をつないでいます。
中央線ならではのテーマを発信
「沿線のみなさんに喜んでいただきたい」という駅社員たちの思いから、回を重ねるごとに魅力を増す「中央線パンまつり」。来場者と出店者の双方にとって喜ばれるイベントを目指しており、今後の展開も目が離せません。企画担当者は「ファミリーやお子さま連れもより楽しめる温かい場にしていきたい」と今後の展望を語ります。
2023年11月に開催される「中央線パンまつり2023」は、武蔵境nonowa Terraceとコミュニティステーション東小金井の2会場での開催。中央線ならではの強みを打ち出し、2拠点間を移動できる電車のきっぷが付いたパンのチケットを数量限定で販売します。高架下の雰囲気を楽しみながら歩いて巡るほか、電車で移動することもイベントの一部にしてしまおうという試みです。
また、駅社員が考案したオリジナルのパンの販売も予定しているとのこと。「中央線パンまつり」の2日間には、地域とともに沿線を盛り上げるさまざまな取り組みが満載です。
沿線に点在するベーカリーがより身近に
国立でイギリスとアメリカのホームメイドスタイルの焼き菓子店『
ユニコーンベーカリー』を家族で手がける島澤安從里(あんじゅり)さんは、第1回から出店者として毎回参加。生まれ育ったのは武蔵小金井、縁あって2013年から焼き菓子店を営む場所は国立という、中央線が大好きな一人です。
島澤さんは「『中央線パンまつり』をきっかけに、わざわざ国立駅で降り、店舗へ立ち寄ってくれるお客さまが増えました。人と人のつながりを感じますね」とイベント参加後の反響を実感。
中央線沿線には『ユニコーンベーカリー』のようなこだわりのある個人店が多く点在します。ですが、そのほとんどが駅から離れた場所にあり、通りすがりで見つけられるような好立地にあるわけではありません。同じ街に住んでいても駅の反対側に住む人には知られていないことが多いといいます。そうした事情から、島澤さんは「『中央線パンまつり』を通して多くの方に知っていただけてうれしいですね」と顔をほころばせます。
母親のスーザンさんと二人で焼くのは、マフィンやスコーン、コーンブレッドなど定番商品を数種類ずつ計200個ほど。大量生産できないため、イベントでは1部だけの短時間で無理なく参加できるのがありがたいと言います。
そして、店主や作り手本人が対面で販売するのもイベントの醍醐味。「買いに来てくれた地元の友人にも会えますし、いろいろな方と直接つながれる貴重な機会。参加するのが毎回楽しみなんです」と島澤さん。
中央線がつなぐ豊かなパンのある日常
地域の個人店が主役になれる場であり、地域の人々とつながれる場でもある「中央線パンまつり」は、沿線の人々にとって今やなくてはならない楽しみの一つ。年々出店者やリピーターも増え、顔ぶれもより豊かになりつつあります。「中央線パンまつり」を通して出合ったさまざま沿線のベーカリーへ足を運ぶ楽しみも増し、パンのある日常がさらに豊かになりそうです。
中央線がつなぐ年に一度のパンの祭典
中央線パンまつり2023
地元密着のあのお店から、行ってみたかった名店まで、
中央線のベーカリーが大集合!
地元でおなじみのあのお店から行ってみたかった名店まで、中央線沿線のベーカリーが一同に集まる「中央線パンまつり」を今年も開催! 5回目となる今回は、中央線沿線のベーカリーを中心に、ジャムや焼き菓子、キッチンカーなど約20店舗が日替わりで出店します。中央線の美味しい秋をみんなで楽しみましょう!
【開催日時】
2023年11⽉11⽇(土)・11⽉12⽇(⽇)
1部: 10:00~13:00
2部: 14:00~17:00
※通しで出店するお店は13:00~14:00も販売を行います。
※小雨決行・荒天中止
【武蔵境会場】
武蔵境 nonowa Terrace
(武蔵境駅南口すぐ)
【東小金井会場】
コミュニティステーション東小金井
(東小金井駅北口より徒歩3分)
【入場料】
無料
【特設サイト】
https://chuosuki.jp/event2/chuo_pan/