頑張った日の後には、仕事帰りにふらっと寄り道して晩ごはんはいかが?
1人でご飯って少しハードルが高い? 実は、中央線沿線にはソロ客歓迎のお店がたくさんある。メニューの内容だったり、お店の雰囲気も優しい気遣いがいっぱい詰まっている。
毎日の通勤は中央線、きっとそんなあなたに役立つ連載だ。
東小金井駅
小金井産が満載! 東小金井駅の比類なき創作そばとガレットの店
湧水に農家直売など、毎朝バイクを駆って小金井産を調達に出かけるのは、創作そば店『スナフキッチン』の店主、岩崎茂雄さん。地元愛を皿の上にたっぷり盛り込み、そばの新たな魅力を発信している。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う東京都の要請に従い、入店人数やアルコール類の提供に制限がございます(2021年10月現在)
白提灯が下がる店は小金井愛がだだ漏れ
地蔵通りで店先に揺れる白提灯を見つけたら、そこが『スナフキッチン』だ。店前には店主、岩崎茂雄さんの愛車も停まる。
そばの前にまずは一献、日本酒550円〜を。純米吟醸の小金井桜880円に、ワインの小金井街道(赤・白)各770円など、地元ゆかりの酒が勢揃い。肴には、日替わりのお惣菜3点盛り500円を。岩崎さんはイタリアンなどでも腕を磨き、ラタトゥイユなどもお目見え。小金井農家を巡って手に入れた朝採れ野菜のお惣菜は、日本酒にもワインにもバッチリだ。
「作りたてが一番」と、追求した作り方
さて、次はいよいよそばだ。地下水が湧出する井戸『六地蔵のめぐみ黄金の水』のまろやかな水を用い、「うちには味の濃いそばが合う」と、ほんのり茶色い山形産や秋田産のそば粉を折々に変えて打つ。「そばは時間との勝負」と、押し出し式パスタマシーンを茹で釜の上に設置。切り立てがそのまま、ぐらぐら沸き立つ鍋へと落ちていく。
洋風から和風へ。そばつゆで変化する味とは
もりそば580円、十割そば800円もあるが、「料理は表現」と語る岩崎さんの真骨頂は、海老バジルそば980円のアボカドトッピング+220円だ。「パスタやラーメンにはいろんな味がありますが、そばは一貫してオーソドックス。だから、そばでいろんな表現をしたくて」と、タマネギたっぷりのヴィネグレットソースで味付けした小金井野菜をオン。「まずはそのままで」と食べてみると、まるでパスタ。華やかな香りに驚く。途中でそばつゆをかけると、ふくよかな和出汁の旨味が加わり、西洋から和へ、シルクロードの如く、味の道がつながった。
このそばつゆは、たっぷりのムロアジに宗田ガツオ、シイタケ、醤油、みりんなどを煮詰めたかえしが決め手。コンフィ、ラタトゥイユなどにも用い、洋と和をつなぐ縁の下の力持ち的存在だ。
外せない締めはガレットと店主の演奏
そば湯を堪能したら、締めへ。生地に味を加えない殻入りそば粉100%のシンプルなガレットは、「行列のできるN.Y.の店よりおいしいと褒めてもらったので、ニューヨークガレットって名付けました!」と、岩崎さん。
はちみつクリームチーズガレット740円をいただけば、薄焼きなのにモチモチ。散らしたそばの実がナッツのような香ばしさで、後からそばの香りがふわりと鼻に抜ける。
また、岩崎さんの手が空けば、ミニライブの幕開けだ。店内に飾られているギターやウッドベースを手にした途端、グルーヴが波打ち始める。オールディーズ、即興音楽など、元バンドマンの奏でるクールな音は、居合わせた者たちの体を揺らす。楽しく賑やかな時間は、まだまだ続くのだ。
小金井名物とのタッグも見逃せない
コロナ禍をきっかけにテイクアウトも開始。元は十割そばのみだったが、「時間が経つと伸びやすいから」と、香りと味が際立つ七割そばにたどり着いた。創作そばは他にもあり、新たな味の世界に興奮。また、『和風ジェラートおかじ』のジェラート、『出茶屋』のコーヒーなどの小金井名物も揃い、味の豊かさにも驚く。楽しいトークや演奏のグルーヴ感も相まり、笑顔の絶えない時間は忘れ難く、足繁く通いたくなる。
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=オカダタカオ
DATA
上記の情報は2021年9月現在のものです。
※料金・営業時間・休園(館)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から変更・中止となる可能性があります。