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あなたはどんな休日を過ごす? 中央線的ピクニックのススメ
少しずつ暖かさが増してきて、ピクニックに絶好の季節が到来! 太陽の日差しやキラキラまぶしい新緑に包まれながらお弁当やパンを食べれば、おいしさもひとしお。子どもと一緒なら、手軽なハイキングを楽しんだあと、大きな公園で思いっきり遊ぶのもいいし、ひとりでのんびりくつろぎたい時は、風情あふれる公園でのんびり静かに過ごしてリラックス。しばらく気軽に出かけられない日が続いていたけど、天気のいい休日があったら、ランチをテイクアウトして、手軽に自然いっぱいの場所へ出かけよう!
この記事の目次
コース1 高尾の自然に囲まれて、親子のピクニック
たまには子どもと思いっきり自然と触れ合いたい!というときにおすすめのコース。高尾駅近くのミハラキッチンで、予約していたお弁当とおにぎりをテイクアウトして出発。森林総合研究所 多摩森林科学園でたっぷり自然のエナジーチャージをしたら、高尾の森わくわくビレッジで心ゆくまで遊ぼう!
旬の味覚を丁寧に調理したやさしい味に癒やされる
ミハラキッチン[高尾駅/和食店]
中央線にのんびり揺られて、到着したのは高尾駅。久しぶりの遠出で子どももご機嫌だ。まずは、予約したお弁当をピックアップするため「ミハラキッチン」へ。北口を出て正面に見えるお花屋さんの2階にある。料理を作るのは、割烹料理店で働いていた相川雅代さん。福祉関係で働いていた菅原由紀子さん(写真)が接客を担当。近隣にある3つの農家から届けられる無農薬野菜をはじめ、八王子の市場で見つけた季節の材料からレシピを組み立てるそう。
店内で食べられる定食もお弁当にしてくれるが、今回はおすすめ料理を盛り合わせたおまかせ弁当1290円。そら豆とゆり根のご飯から、鶏のからあげ、生のあおさを使ったあおさのだしまき卵、黒ゴマで和えたほうれん草和え、白キクラゲとカブと日向夏(ひゅうがなつ)のマリネ、ミハキチポテトサラダなど、旬がぎゅっと詰まっている。野菜の味を生かしたやさしい味付けで、丁寧に作られていることが伝わってくる。おにぎり210円~も驚くほど大きくて具もたっぷり。どちらも大人気で当日だと対応できないこともあるため、週末は3日前ぐらいまで、平日は前日までの予約がおすすめだ。
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散策路が整備され、子どもでも歩きやすいお手軽ハイキング
森林総合研究所 多摩森林科学園[高尾駅/公園]
お弁当を手に入れ、10分ほどゆるやかな坂道を上がっていくと、「森林総合研究所 多摩森林科学園」に到着。大正10年(1921)に宮内省帝室林野管理局林業試験場となったため、約500種類・3500本におよぶ国内外の樹木が植えられているという。園内に入ってすぐ目の前にある森の科学館のエントランスにはムササビの巣が展示されていて、「ムササビに会えるの?」と子どものテンションもアップ!
園内は散策路が整備され、小さな子どもでも歩きやすい。植物の説明パネルが置かれ、ところどころに白い小さな箱「森のポスト」も発見。その中に入っていたのは、なんと下駄! すぐ後ろに立つシラカシの木が下駄の歯の部分に使われているという説明付きで、歩きながら樹木の一面にもふれられる。途中には、木の上のほうにムササビの巣穴も! 第2樹木園を抜けたあたりで、子どもから「お腹空いた~」の声が。平らな道が続く釣船草通りを通ってランチスポットの関山ベンチを目指す。
急な階段を上がった先にあるのが、見晴らし抜群の関山ベンチ。頑張って歩いたから、大きなおにぎりもパクパク進み、大好きな唐揚げも、「おいしい~」といつもよりよく食べる。帰り道は、日本全国の桜の木が1800本植えられたサクラ保存林を通ることに。品種が多彩なので、GWごろも咲いている桜に出合えるという。園内には、チョウ74種類、カミキリムシ約120種類とたくさんの昆虫がいるので、虫探しも盛り上がりそう。まだまだ新しい発見がありそうだ。
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楽しい体験がいっぱいで時間が足りない!
高尾の森わくわくビレッジ[高尾駅/公園]
「もっと遊びたい!」というリクエストに応えて、バスで約15分の場所にある「高尾の森わくわくビレッジ」へ。日帰りでさまざまなプログラムを体験できるほか、宿泊して楽しむこともできる。広々とした原っぱでは、滑り台やネット、ターザンロープなどを合体させたツリーハウスが子どもたちに大人気。中央に張られたみのむしネットは上を跳んだり走ったり、穴に入ったり……。ネットがグラグラ揺れるのも、ちょっとドキドキするけど楽しい!
思いっきり走り回って遊んだあとは、館内でクラフト系のプログラムを体験。当日参加もできるけど、人数に限りがあったり、混み合ったりすることもあるので予約が確実だ。30以上揃うプログラムから選んだのは、「すぐにとばせる竹とんぼ」330円と「プロペラ凧」550円。スタッフによるつくり方の説明をきいたあとは親子で力を合わせて完成まで頑張ろう。
絵のテーマは、竹とんぼは虫、凧は森の中にいる鳥とお昼に食べたおにぎり。プロペラ凧は切ったり、貼ったりが大変だったけど、40分ほどで無事に完成。帰る前に、原っぱで少し飛ばしてみたら、見事にぐんぐん上がって「やったー!」と嬉しそう。ハイキングから外遊びまで、最後はものづくり体験でおみやげもゲットして、盛りだくさんの一日で大満足! 調理系のプログラムでは丸鶏を使った料理が目を引くほか、手ぶらでバーベキューができるメニューもあるらしい。暖かい時期にはテント泊も楽しめるらしいので、次に来るときは泊まってじっくり楽しみたい。
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コース2 自分の時間をのんびり過ごす、大人なピクニック
忙しい日が続いた後の休日に静かな公園でのんびりしたい、というときにおすすめのコース。西荻窪駅近くの古本屋に寄りお気に入りの1冊を見つけて、手軽に食べられるパンをテイクアウト。日本庭園がきれいで静かな大田黒公園公園で、自分だけのゆったり時間を過ごそう。
心がくすぐられるセンス抜群のラインナップ
にわとり文庫[西荻窪駅/古本店]
ピクニックのお供に持っていく本を探すため、西荻窪駅南口から徒歩2分の「にわとり文庫」へ。小さな間口で見過ごしやすいが、青い看板が目印だ。窓際におしゃれな絵本がディスプレイされたかわいらしい雰囲気で、ふらっと入りやすい。入り口付近が絵本のコーナーで、絶賛活躍中の作家の人気作品やロングセラーのほか、ジャケ買いしたくなるような海外の絵本も充実している。文芸や旅もの、美術系などさまざまなジャンルの本が揃うが、奥のほうには店主の田辺浩一さんが得意とする昔のジュニアミステリーやSF、探偵ものもあり、なかにはマニア垂涎の稀少本もあるそう。
本だけでなく、古いポストカードやマッチの箱、商品ラベルなど年代を感じる雑貨類も幅を利かせている。「好きなようにやっていいよと言われているんですけど、どんどん楽しくなって年々数が増えていますね」とは、古い紙モノや絵本の仕入れを担当する奥さまの博子さん。東北の伝統こけしや関連書籍にも力を入れていて、こけし目当てのお客さんも多いとか。じっくり見れば見るほど、掘り出しものがザクザク出てきそうだ。
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北海道産小麦を駆使したこだわりパンがずらり
KUU-空-[西荻窪駅/パン屋]
カフェやショップが並ぶにぎやかなエリアを抜けて、10分ほど歩くと閑静な住宅地の中に「KUU-空-」が現れる。自宅の一角を改装し、ご夫婦で切り盛りするパンとケーキのお店だ。ご主人が定年退職後にパンマイスターの資格を取得したのがきっかけ。その後はほぼ独学で小麦粉の配合や焼き方などを試行錯誤しながら、現在のスタイルにたどり着いたという。
パンにはすべて北海道産小麦粉を使い、白神こだま酵母で10時間以上かけて低温冷蔵長時間発酵。ご主人曰く、「低温で時間をかけて発酵させることで、小麦の風味が引き出されておいしさが増すんです」。稀少な小麦粉のキタノカオリを100%使ったリッチ食パンは1日8本の限定で、半分は予約でなくなってしまうことも。春よ恋100%で作った真っ白なクリームパンも人気で、有機の砂糖や黒糖、天日塩など、小麦粉以外もできるだけ体にやさしい材料を厳選している。ハード系や総菜パンを食べたいときは、焼き上がり予定の13時30分から14時頃以降に訪れよう。
お会計後に奥さまとお話しすると、以前は店内にイートインスペースがあり、パスタランチを提供していたそう。お店が休みの日には、和小物やトンボ玉などの教室をやっていたことも。「パンやケーキを売るだけじゃなくて、ご近所さんの憩いの場にもなっていたんですよ」と奥さま。ランチが復活したら、ぜひまた足を運びたい。
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風光明媚な日本庭園で季節の趣に浸る
大田黒公園[荻窪駅/公園]
「KUU-空-」を出てからさらに東へ。まるでお屋敷のように立派な家が多い住宅地を20分ほど歩くと、大田黒公園の格式高い正門が見えてくる。ここも音楽評論家として活躍し、欧米音楽の普及に努めた大田黒元雄氏の屋敷があった場所。中に足を踏み入れると一瞬で空気感が変わり、樹齢100年を越えるイチョウ並木を歩くと、すがすがしさに満たされる。その先に広がるのが、ケヤキやアカマツ、シイノキなどの巨が立ち並ぶ、風情あふれる回遊式庭園。ぐるりと歩けば、鳥のさえずりや水音が響き、どこか遠くまで旅に来たような気分に。
ゆっくりと園内を散策したら、「KUU-空-」で買ってきたパンをいただこう。とろけるクリームパン160円は、ほかで味わったことがないほどやわらかくてふわふわでもちもち。中にたっぷり入った自家製のカスタードクリームも、卵やバターが贅沢に使われた濃厚な味わいに感激! このほか、無塩せきベーコンエピ260円や北海道産枝豆チーズ170円、ダークチョコ&有機レーズンパン160円も。ちょっと多いかと思ったら、食感が軽くてペロリと平らげてしまった。
庭園が見渡せるあずまやでは、池の向こうに和館と洋館が立ち並ぶ、趣たっぷりの風景に癒やされる。「にわとり文庫」で購入した本を読みながら、ほっとひと息。日常の喧騒から解き放たれて、こんなにも静かな心地になるのは久々だ。心ゆくまでゆったりとリフレッシュして、また明日から仕事をがんばろう。
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取材・文=井島加恵 撮影=園田昭彦
上記の情報は2022年4月現在のものです。
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