横穴洞窟で、溶岩による自然の造形美に見惚れる
河口湖駅
富岳風穴
青木ヶ原樹海の一角、異世界へ誘うように溶岩洞窟が現れる。864~866年(貞観6~8)の貞観大噴火で流れ出た溶岩流は、外側から段々と冷めて収縮。同時に、まだ高熱を保つ内部からはガスが噴出し、外蓋の軟らかい所を内側から押し上げ、やがてガスが抜けると空洞が残ったという。
富岳風穴は、総延長201mもある大規模な横穴洞窟で、国の天然記念物。下りはじめると、真夏でもひんやりとした冷気が地底から這い上がってくるようだ。高さ120cmほどの低い天井部分もあり、時に腰をかがめて深部へ。点々と明かりが灯され、溶岩がさざなみのように押し寄せて縄状の模様を刻んだ岩肌、溶岩棚など、ダイナミックな大地の造形美がライトアップによって闇に浮かび上がる。広い空間に躍り出ると、そこには人工の棚が並んでいる。じつは明治以降、天然の冷蔵庫として活用されていた歴史があり、蚕の孵化の時期を調整するために使ったり、昭和30〜40年代に発芽率を高めるために樹木の種子を保管したりしていた。さらに、洞窟の行き止まりの岩に目を凝らせば、岩肌が銀色に照り輝いている。これは、光り苔と呼ばれる珪酸華(けいさんか)。自ら光を放つのではなく、光を反射して輝く微生物の餌になるもので、一面に見られる、珍しい場所なのだ。
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DATA
富士急行線河口湖駅から富士急バスブルーライン約29分・グリーンライン約49分の「富岳風穴」、「新富士駅」行き約26分の「風穴」バス停下車、すぐ。
9時〜17時受付、無休。
入洞料350円(小学生200円)
鳴沢氷穴との共通入洞料は600円(小学生300円)
山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1
☎0555-85-2300
https://www.mtfuji-cave.com
上記の情報は2022年7月現在のものです。
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