悠久の時が創った神秘の自然造形空間へ
奥多摩駅
日原鍾乳洞 [奥多摩駅]
小川を渡り、鍾乳洞の入り口に立つと、洞内から吹き出す冷気に思わず身震い。盛夏であっても、洞内は通年11℃。長袖じゃないととても入る勇気がもてないほどだ。
中に入れば、早速、鍾乳洞の回廊だ。岩肌がしっとり濡れて照り、ひんやりした空気の中、あちらこちらで水が滴り落ちてくる。
巨岩が右から左から迫り出す洞内を進むと、美しく清涼な鐘のような音が耳に届いた。
水琴窟だ。
弘法大師が修行した場所でもあり、近くの仏像も静かに目を細めて聴き惚れているようだ。
階段を下りて“三途の川”べりを歩き、再び階段を上れば、巨大ホールのように、天井高くだだっ広い空間に出て、声を失った。 “あみだの原”は、青、紫、緑、黄、赤と艶やかな光が色を変えながら岩肌を照らし出す、妖しく美しい世界。
洞内奥の“さいの河原”に上がれば、そばの縁結び観音が訪れた者に微笑みかけていた。
さらに、昭和37年(1962年)に発見された新洞も見逃せない。
50mを一気に上がる狭くて急な階段は、振り返ると脚がすくむほど。けれど、石筍、石柱が乱立する壮大な世界で、探検はまだまだ続くのだ。
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DATA
JR青梅線奥多摩駅から西東京バス「鍾乳洞」行き約31分、「東日原」行き約24分の終点下車。鍾乳洞バス停から徒歩約5分、東日原バス停から徒歩約28分。
9時〜17時(12月〜3月は16時30分)、無休(12月30日〜1月3日休)。
入洞料900円(中学生700円、小学生600円)
東京都西多摩郡奥多摩町日原1052 ☎0428-83-8491
http://www.nippara.com/nippara/syounyuudou/syounyuudou.html
取材・文=林 さゆり 撮影=逢坂 聡
上記の情報は2024年7月現在のものです。
※料金・営業時間・定休(休館・休園)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。