プチ旅コンシェルジュへようこそ。
					 
						青梅駅の地下通路に往年の名画看板が連なり、まるでタイムトンネル。町へ繰り出せば、商店や道端の看板など、何気ない風景に昭和の記憶が刻まれている。2022年10月14日、日本に鉄道が開業して150年の節目を迎えるが、青梅鉄道公園など鉄道を楽しめるスポットもあるのも青梅の魅力の一つ。ノスタルジックな青梅カルチャーを巡りに、さぁ出かけよう。
					 
					
					
						
							
目的地までのアクセスと歩き方 
						
						
						
							新宿駅から青梅行きで約1時間、立川駅から約30分の青梅駅を下車。改札を出たら、線路沿いの商店街を東へ向かい、車道に出たら左折。『夏への扉』を経て、桜見本園地の急坂を登れば『青梅鉄道公園』だ。勝沼神社を経由し、青梅線・旧青梅街道を抜け、『CINEMA NEKO』に立ち寄ったら、旧青梅街道沿いのバス停を眺めて駅へ戻ろう。街歩きなので、履き慣れた靴でお出かけを。						
						
							1. 
							
								青梅駅[青梅駅/駅舎] 
								町の玄関口である駅舎で大正・昭和の息吹を感じる
							 
						 
						
						
							青梅周辺の石灰石を運ぶため、明治末期に敷設された青梅鉄道。1924年(大正13)、開業30周年を記念して、当時はまだ珍しい鉄筋コンクリート造3階建てに改築されたのが現在の青梅駅だ。駅名標やホーム、地下通路などに、大正・昭和な装飾を施し、レトロステーションとして往時の姿を伝えている。						
						
							2. 
							
								夏への扉[青梅駅/喫茶店] 
								窓下の青梅線とスパイシーなカレーに心が弾む
							 
						 
						
						
							青梅駅から線路沿いの商店街を抜け、跨線橋を渡ると、昭和な木造家が立つ。						
						
						
							「ここは1933年(昭和8)建築で、元は眼科医院だったそうです」とは、1989年(平成元)に喫茶店を開業した店主の山田勝一さん。窓辺では、夫婦で骨董市に出かけては見つけた雑器も販売する。						
						
						
							「うちは、隠れ自然食の店なんですよ」と話す山田さんは、かつて河辺駅近くの自然食品店2階で、自然食レストランを切り盛りしていた腕を持つ。人気は、玄米ライスの野菜カレー(サラダ付き950円)だ。旬野菜がゴロゴロで、口に運べば、コリアンダーやクミンなど、スパイスごとに種を剥き、挽いて粉にし、炒った、鮮烈でスパイシーな香りが口中を駆け抜ける。						
						
						
							食後は季節替わりの自家製ケーキ400円を。定番のカボチャケーキは素朴な甘みにほっこりする。コーヒーもいいが、シナモン、ショウガを効かせたチャイ500円(セットドリンクは100円引き)との相性も抜群だ。						
						
						
							アートを飾る店内では、心地よいジャズの音色に紛れて、時折ガタンゴトンと轟音が窓下から湧き上がる。観音開きの木枠の窓の外、草木が風に揺れ、青梅線が駆け抜ける。一幅の絵のような光景につい見惚れてしまう。						
						
						
							3. 
							
								青梅鉄道公園[青梅駅/屋外展示] 
								童心が全開! 迫力満点な夢の車両の数々
							 
						 
						
						
							2022年10月14日、日本に鉄道が開業して150年の節目を迎えるが、ちょうど60年前、鉄道開業90周年記念事業として開設されたのがこの青梅鉄道公園だ。
						
						
							見逃せないのが、クモハ40形電車だ。1935年(昭和10)製で、総武線、山手線を経て、戦後は中央線を走った馴染み深い車両だ。床も壁も木造りのクラシカルな風情を楽しもう。						
						
						
							運転休止が続く新幹線広場のミニSL(100円)も、今後の活躍に向けて準備中。カンカン鳴る踏切音をBGMに、草むらに動物の人形が顔を出す牧歌的な1周約2分の列車旅を満喫しよう。						
						
						
							 丸い団子っ鼻が愛嬌満点の0系新幹線は、大阪万博に向けて製造された1969年(昭和44)製。
						
						
							運転席に座れば、運転ハンドルやあらゆる計器が並び、胸が高鳴る。
						
						
							屋内展示もまた必見。アートとしても素晴らしい特急ヘッドマーク(テールマーク)や、青梅駅周辺を描いた案内図、100円で鉄道模型を走らせられるジオラマなど、枚挙にいとまなし。童心が全開になる。
						
						
							4. 
							
								CINEMA NEKO (シネマネコ)[青梅駅/映画館・カフェ] 
								昭和レトロな建物でお茶と映画を満喫
							 
						 
						
						
							水色の壁が目を引く木造建築は、国登録有形文化財で、昭和初期築の旧都立繊維試験場。「青梅は以前、映画館が3館もあったんですよ」と、広報担当の天野さん。映画文化の灯は50年前に一旦消えたが、都内唯一の木造映画館として2021年に復活した。特徴的な美しき水色の外壁、縦長の大きな窓は、当時の造りを残したもの。対して、フルリノベーションした内装は、表情のあるモダンな佇まいに生まれ変わった。						
						
						
							63席あるフランス製の座席は、2018年に惜しまれながら閉館した新潟県十日町『シネマパラダイス』のもので、シネマネコの設立を知った支配人より無償で譲り受けたという。ゆったり身を預け、上映前にじっくりシアター内部を眺めるのもいい。見事な梁を生かした伝統建築と、最新上映設備が入り混じる個性的なシアターは、稀有な存在だ。						
						
						
							上映前後は、大きな窓から光が注ぐ併設のカフェへ。人気は、シネマネコカラーのブルーが印象的な、CINEMA NEKO SODA 500円。甘さ控えめのラズベリー&ピスタチオのドーナツ500円とセットなら100円引きだ。他にも、地元ベーカリー製のネコパンメニューや、上映作品にちなんだ期間限定メニューがお目見えすることも。一面の本棚には、ネコや映画関連のアートブックがずらり。カフェだけ利用もウェルカムなので、本を読んだり、作品情報を眺めたりしながらのんびり過ごしたい。						
						
						
							50年前まで映画の街だった青梅では、至るところで手書きの昭和レトロの映画看板に出合える。中でも旧青梅街道はシネマチックロードとも呼ばれ、店の看板と並んで名画の映画看板が掲げられ、猫町・青梅らしいネコアートも紛れ込む。「住吉神社前」バス停には、木造待合室も設置され、一瞬、昭和の時代にトリップした心地になる。						
						
							のんびり謳歌する昭和アート 
							
								モノクロ写真を窓辺に飾る旧写真館に、昔ながらの食堂、雑貨店など、昭和期のおっとりとした風情が随所に残る青梅駅周辺。くねくねと折り曲がる横丁や、民家の隙間を縫う細い路地などもあり、街全体がさながらテーマパーク。さまよいながら巡りたい。
							 
						 
						
							INFORMATION 
							
								【青梅鉄道公園おススメイベント】こちら 。
							 
						 
					 
					
					
					
					
					
						取材・文=佐藤さゆり 撮影=加藤熊三