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プチ旅コンシェルジュへようこそ。
いつも通勤・通学など、日常の生活で利用する中央線の沿線や中央本線・青梅線。その先の沿線には、日帰りで楽しめるスポットがたくさんある。
この連載では、毎回さまざまなテーマで駅から日帰りで楽しめるおすすめコースを紹介。よく利用する駅にも、少し歩けば知らなかった魅力が見えてくる。
次の休日は中央線に乗ってプチ旅しよう!

日向和田駅
再生中の梅郷。青梅市・日向和田(ひなたわだ)で梅の香トリップ
吉野梅郷と呼ばれ、関東有数の梅の名所だった青梅市・日向和田駅周辺の地域は、2009年に確認されたウメ輪紋ウイルスにより、ほとんどの梅の木が伐採されるという憂き目にあった。しかし、2016年に再植栽が開始され、現在は梅の若木が健やかに枝を伸ばしている。ようやく、梅郷の風情が戻ってきた。
この記事の目次
目的地までのアクセスと歩き方
新宿駅から青梅特快で約55分、立川駅から約30分の青梅駅で奥多摩行きに乗り換え、約4分の日向和田駅下車。梅の公園へは、多摩川を渡って徒歩約15分。吉野街道沿いのうめがた園、アイムホームを経由し、臨川庭園、宮ノ平駅に向かう約4kmのコースだ。平坦に見えてもアップダウンがあるので、履き慣れた滑りにくい靴で出かけよう。防寒対策も万全に。
青梅市 梅の公園[日向和田駅/公園]
楚々と花咲く丘陵地で梅と眺望を愛でる

写真提供=青梅市観光協会
小高い丘陵地の地形をそのまま活かした公園には約150種1200本の梅が植えられ、青梅市原産の「梅郷」「玉英」、一本の木で紅白が咲き乱れる「思いのまま」など、濃淡入り混じりの梅の花が春の訪れを知らせてくれる。
太鼓橋から見上げれば、しだれ梅の花が滝のごとく見え、丘の尾根道を登れば山あいの町の眺望と梅を一緒に楽しめる。歩くほどに梅景色が変化し、心は浮き立つばかり。

写真提供=青梅市観光協会(吉野梅郷梅まつりフォトコンテスト2024 入賞作品)
梅のみならず、サンシュユ、福寿草なども順々に咲きはじめ、日ごと濃くなる春色を眺めに、何度でも足を運びたくなる。
また、2025年2月15日(土)~3月20日(木・祝)には「吉野梅郷 梅まつり」も開催。
日本庭園につるし梅が飾られ、園内売店で甘酒や軽食も販売。暖を取りながら、いつまでも山里の春を眺めていたくなる。
DATA
うめがた園[日向和田駅/盆栽・山野草販売店]
小ぶりな梅や山野草を自宅に連れ帰る

代々梅農家の青木家では、50年前よりミニ盆栽も手がけるようになったという。

他にも、白梅「月の桂」、梅の公園でも見かけた一本の木から紅白が乱れ咲く「思いのまま」、野生種で楚々と花を付ける「野梅」など、梅だけでも品種はいろいろ。
中には、「長寿梅」と梅の名が付くのにバラ科という花木もある。
「好きな枝ぶりのものを選ぶといいですよ。盆栽は水不足で枯らさないよう、土が乾く前に水をしっかりあげるのがコツです」と、青木隆さん・梅子さん夫妻は口を揃える。
花が咲いたあとは木が疲れないよう、しおれる前の咲き終わりに花を摘み取り、同時に枝を幹から2芽残して剪定を。

根詰まりや根腐れを取り除き、ふかふかの土を作ってから仕立てている。

他にも手乗りサイズの苔玉、枯れ木を鉢にした山野草、桜島の溶岩鉢などが揃えられ、自分好みのミニ盆栽を仕立てるのも楽しみだ。
アイムホーム[日向和田駅/雑貨店・カフェ]
草花に彩られたカフェで旬野菜満載のランチを


ひと目惚れした洋館を夫の淳平さんがDIY。サンテラスやウッドデッキを作り、栄養士の妻・美緒さんがイングリッシュガーデンを丹精した。

ランチは、和と洋、2種ある季節替わりのプレートが人気だ。和プレート1380円にはカニクリームコロッケに、きんぴら、煮物、ライスペーパー包み揚げなど、創作料理も交えて盛りだくさん。
滋味に満ちたやさしい味や、深いコクなど、料理ごとに味わいの緩急があって箸が止まらないっ!

外カリ、中ふわもちのシュー生地風パンケーキに、煮りんご&バニラアイスの甘み、熱さと冷たさのせめぎ合いで心までとろける。
オレンジフレーバーのコーヒー(+350円)と合わせると華やいだ香りに恍惚。
淳平さんは「僕が食べたいと思うものをリクエストして作ってもらっているんです。メニューがどんどん増えちゃって」と目尻を下げる。

しかも、2021年より毎月第3木曜日にクリエイターズミニマルシェをウッドデッキで開催し、雑貨に加え、無農薬野菜、ベーグルやコーヒーの店など、6〜8組が出店するという。
「マルシェが目当てのお客様も増えています」と淳平さん。
キュートな作品との出会いも楽しみだ。
日向和田 臨川庭園(りんせんていえん)[宮ノ平駅/日本庭園]
石畳と古木が織りなす川べりの小さな梅園

写真提供=青梅市観光協会
桜、ツツジ、紅葉と、季節の色をまとい、茶室が情緒を添えた庭園は、代議士として活躍した青梅出身の津雲國利氏が1934(昭和9)年に造営。没後、青梅市に寄贈され、無料開放されている。

石畳を伝い歩けば、手入れの行き届いた庭園が奥へと誘い、50本ほどの紅白の梅が早春を謳歌。「臨川梅園」と津雲氏が呼び愛したという逸話にも納得だ。


コレクションは青梅駅近くの国登録有形文化財「津雲家住宅」に飾られているが、臨川庭園には、木々に隠れるようにお地蔵様や石灯籠が配置されている。山里らしい侘の風景にも心が和む。

小さな庭園ながら、野趣にあふれ、目を移すたびに景色が変幻するよう。
ひと回りしたら、ベンチに腰かけて、風の音、鳥の声とともに梅の芳香をもじっくり堪能したい。
早春の息吹を感じる梅の里
吉野梅郷の梅の見頃は2月中旬〜3月中旬にかけて。公園や庭園に限らず、路地を歩けば、若木の梅林があちこちに現れて紅白の可憐な花を見せてくれる。また、梅まつりに合わせて、2025年3月2日(日)の観梅市民まつり、2025年2月28日(金)〜3月2日(日)の梅酒まつりなどのイベントも開催。のんびり山里の春を楽しみたい。
取材・文=林 さゆり 撮影=逢坂 聡 写真提供=青梅市観光協会
上記の情報は2025年1月現在のものです。
※料金・営業時間・定休(休館・休園)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。
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