
新宿駅中野駅高円寺駅三鷹駅武蔵小金井駅立川駅立飛駅
中央線沿線のクラフトビールがおいしいタップルーム&ブルワリー7選|中央線沿いで醸造された個性際立つ味を堪能すべし!
着々とその文化が根付く中央線沿線のクラフトビールが、昨今さらなる盛り上がりを見せている! ブルワリーに併設されたタップルームや、店内で醸造する店、そして沿線のブルワリーから直送したビールを味わえる店など、沿線のビールスポットが百花繚乱なのだ。地域に根付いた、その街ならではのクラフトビールを味わいに出かけよう。
この記事の目次
- 中央線ビアワークス[武蔵小金井駅/タップルーム]
元駅員が醸造する一杯で、地域をつなげ盛り上げる起点に - VERTERE Tachikawa Taproom[立川駅/タップルーム]
奥多摩が誇る味を20種類から選ぶ楽しみ - 中野ビール工房[中野駅/ブルワリー]
店内で醸造したできたての味を飲み比べ - Y.Y.G. Brewery & Beer Kitchen(ワイワイジーブルワリー&ビアキッチン)[新宿駅/ブルワリー]
新宿のまちなかブルワリーで、フレッシュなビールを気軽に味わおう - アンドビール[高円寺駅/タップルーム]
高円寺と勝沼、中央線で繋がるブルワリー - TACHIHI BREWERY(立飛麦酒醸造所)[立飛駅/ブルワリー]
飛行機づくりのクラフトマンシップを継承 - OGA BREWING(オージーエー ブルーイング)[三鷹駅/ブルワリー]
クールな「街ビール」で中央線愛を叫ぶ
元駅員が醸造する一杯で、地域をつなげ盛り上げる起点に
中央線ビアワークス[武蔵小金井駅/タップルーム]

自社醸造の3種。左からゴールデンエール780円、ヴァイツェン780円、アメリカンIPA830円。サイズはレギュラー(290ml)。
ここは、2025年8月にグランドオープンしたJR東日本グループ初の直営ブルワリー。ゆかりある醸造所の銘柄に加えて、元駅員のメンバーが醸造したオリジナルの3種を味わえる。
「数カ月間泊まり込みで研修した『宮崎ひでじビール』では、衛生管理の重要性を学びました」とブルワーの木村美祐里さん。同じくブルワーの平野智貴さんも「清掃を徹底しなければおいしいビールはできません。すきま時間を見つけては掃除しているくらい」とうなずく。真摯に向き合って仕上げた3種は、どれも雑味がなく麦芽の香りやホップの苦味を存分に堪能できる。
小金井市では初のブルワリーで、クラフトビールを扱う店自体が近隣には少なかったこともあり、オープン日は近所の住民で大にぎわい。今後は、駅で栽培するホップを使った「ぽっぽやエール」も自社醸造を目指すほか、地域限定の銘柄もつくっていきたいという。「今まではつなげる役割でしたが、これからは作り手の目線で一緒に地域を盛り上げていきたい」と木村さん。沿線のクラフトビール文化を醸す新たな列車の出発だ。

タップルームのとなりの一室にずらりと並ぶタンク。

カウンターの上には、提供している銘柄とその説明が手書きで掲示されている。

駅員がホップを抱えたイラストロゴが目印。左から、ホップ栽培を担う久保さん、ブルワーの木村さんと平野さん。
奥多摩が誇る味を20種類から選ぶ楽しみ
VERTERE Tachikawa Taproom[立川駅/タップルーム]

Magnolia(レギュラー)1100円。
その特徴はなんといっても選択肢の幅広さ。20ものタップが並び、最近はウエストコースト系やサワー系が人気なのだという。この日いただいたMagnolia(マグノリア)はダブルIPAでホップの味わいが際立つ一杯。飲みごたえがありながらも軽やかで、この日提供されていた塩サバのエスカベッシュとも相性ぴったりだ。メニューには他にもおつまみを数種類用意しているが、持ち込みもOK。近所で買ったテイクアウトグルメを肴に楽しむなど、柔軟な楽しみ方ができるのもうれしい。
また、立川のクラフトビールといえば必ず名の挙がる『坂道ブルイング』のタップルームもすぐそばにもあり、オープン当初にはコラボ銘柄をつくるなど交流もしている。「ビールを通して地域とのつながりを作っていけたら」と店長さん。立川のクラフトビールが盛り上がる、新たな起点ができたようだ。

塩サバのエスカベッシュ500円。フードメニューは時期によって入れ替わる。

25種類前後の缶ビールも購入できる。

店は諏訪通り沿い。白い壁と大きな窓が目印だ。
店内で醸造したできたての味を飲み比べ
中野ビール工房[中野駅/ブルワリー]

『koko brew TOKYO』のGrasshopper IPA(左)と店内醸造の黒閃(こくせん)。どちらもハーフパイントで979円。
ここは、できたてにこだわるクラフトビールの店を展開してきた柴田屋グループによる店舗のひとつ。昭和新道から路地を入っていったところにある中野店には常に8〜9種のビールがそろい、店内で醸造したものとグループ会社醸造の「koko brew TOKYO」の銘柄が半々ほど。安達さんが手がけた黒閃はアイスコーヒーに似た香りとコクがあり、黒ビールが苦手という人でもおいしく飲めそうな味わいだ。
また、クラフトビールの店では珍しく飲み放題プラン(60分2680円〜)があり、とりあえずひと通り味わってみたいという飲んべえは見逃せない。「いつでもふらっと気兼ねなく立ち寄ってほしい」と安達さん。フレンドリーなスタッフとのやりとりも楽しみながら、ここでしか出合えない味を堪能しよう。

人気かつおすすめという肉盛り4種プレート1859円。

店内は、ロフト席もあるちょっと変わった造りで落ち着く。

カウンターには各銘柄をイメージしたオリジナルデザインのお手製メニューも掲示されている。
DATA
新宿のまちなかブルワリーで、フレッシュなビールを気軽に味わおう
Y.Y.G. Brewery & Beer Kitchen(ワイワイジーブルワリー&ビアキッチン)[新宿駅/ブルワリー]

醸造タンクが目前に迫るカウンターは特等席。
ここはクラフトビールを製造する小さな醸造所(マイクロブルワリー)。
テラス席奥のフロアに進むと、窓ごしに見える銀色のタンク。新宿のまちなかでビールが醸造されているという事実も意外だが、この距離感はさらに衝撃的だ。
10数種あるビールの中から、Y.Y.G.の定番、新宿ペールエール900円をセレクト。柑橘系の香りと麦の味わいがあり、程よい苦味も心地よく、すっきりと飲める口当たり。濃厚なチェダーチーズとサルサのトルティーヤ添え600円(写真手前)、酸味の効いた自家製ピクルスの盛り合わせ400円(写真奥)など、ビールとともに手軽につまめる料理と合わせると、あっという間にグラスが空いてしまう。
1Fはカフェのような雰囲気で、カジュアルにビールを楽しめるタップルームになっている。
しっかりと料理を楽しみたいなら7Fのビアキッチンへ。ビアキッチンは予約で埋まっていることも多いため、事前に確認してから訪れよう。

ビールに合うフードメニューも充実。

テラス席でもビールを楽しめる。

運が良ければ、醸造作業を見られることも。
高円寺と勝沼、中央線で繋がるブルワリー
アンドビール[高円寺駅/タップルーム]

これまでに造ってきたビールは300種類以上!
オーナーは安藤耕史さん祐理子さん夫妻。もともと旅行とおいしいごはん、ビールが好きだった2人。祐理子さんが、『高円寺麦酒工房』を訪ねた際、自分で醸造できると知って開眼。「ビール造りに人生をかけてもいい!」と決意し、2017年に『アンドビール』の旅が始まった。
タップルーム&レストラン『高円寺タップルーム』の店内に3つのステンレスタンクを設置して、2018年3月から醸造開始。1年後には、ブルワリーをすぐ近くの中央線高架下に移転し、タンクは6つに。常に新しいビールを仕込み、これまでに300種類以上のビールを造ってきた。2021年には山梨県勝沼に第2の拠点を築き、木樽で熟成させる「バレルエイジドビール」に着手。
2025年には勝沼に新工場を設立して醸造機能を集約し、勝沼で醸造したビールを東京の自社店舗中心に各地へ提供している。

店舗は中央線の車窓からもよく見える。

代表でブルワーの安藤祐理子さん。

明るい店内で、お気に入りの一杯を探そう。
DATA
飛行機づくりのクラフトマンシップを継承
TACHIHI BREWERY(立飛麦酒醸造所)[立飛駅/ブルワリー]

醸造所併設のタップルームでは常時6〜8種のクラフトビールを味わえる。
ブルワリーに併設された直営店では、常時6〜8種のクラフトビールがオンタップ。ここへ来たら、まずは定番の立飛ペールエール、立飛ヴァイツェン、立飛ピルスナーをオーダーしたいところ。お好みのビール4杯を選べる「ビアフライト」(1650円)なら、シーズナルビールも含めてそのとき販売しているすべてのビールから自由に組み合わせ可能。醸造所で飲む出来たてのビールは香りや泡立ちも格別だ。なかでも一押しは立飛ピルスナー。World Beer Awards 2023やInternational Beer Cup 2024をはじめ数々の受賞歴をもつ。低温でじっくり発酵させ、熟成させたこだわりのラガービールだ。
レギュラービール、シーズナルビールを問わず、製品はすべてボトル瓶(330ml)660円でも販売を行っている。

立飛ヴァイツェン、立飛ピルスナー、立飛ペールエール。

ブルワリーがあるのは戦前に飛行機を設計・製造していた土地。

出来たてのビールを味わえるのは直営店ならでは。
クールな「街ビール」で中央線愛を叫ぶ
OGA BREWING(オージーエー ブルーイング)[三鷹駅/ブルワリー]

シンプルでクールなボトルは手みやげにもぴったり。
さらには、西荻窪から高尾までを「中央線GO WEST」と題し、中央線各駅の街ビールも折々に登場。ポップなデザインで限定醸造をアピールしている。
定番2種に、限定醸造1種の3種セット(1000円)を飲み比べれば、街の個性が目に浮かぶようだ。

ビールに合うフードとともに飲み比べ。

三鷹駅のほど近くにある店舗。

店内は親しみやすい空間で居心地がいい。
取材・文・撮影=中村こより
上記の情報は2025年8月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。
- Tag