かわいいアイテムでピクニックの空間と時間をおしゃれに楽しむ、通称“おしゃピク”が流行中。手作りのお弁当をキュートに盛り付けるのもいいけど、気負わず楽しむならパン屋でおいしいパンを調達するのはいかが? パン屋激戦区でもある中央線沿線で、個性的なベーカリーと、ピクニックにぴったりな公園をご紹介。お気に入りのパンをゲットして、ピクニックに行こう!
ドイツのユニークなパンを携えて、池の周りにあるベンチで気軽に
ベッカライカフェ・リンデ ✖︎ 井の頭恩賜公園
『ベッカライカフェ・リンデ』は、吉祥寺サンロード商店街に1997年4月にオープンしたドイツパンの専門店。畑違いの半導体企業の経営者が、知り合いになったパン職人と協力して新たな事業としてスタートさせた。開業当初にゆかりのあった本場ドイツのマイスターからレシピと技術を譲り受け、ずっとその味を守っている。
「ドイツパンは、ひとつひとつが個性的です。ナッツやポピーシード、ヒマワリの種をトッピングしているものもあります」と話すのは、店長の藤本沙和代(さわよ)さん。藤本さんによればドイツには300種類以上ものパンがあり、そのうち大きなものから小型のパンまで70種類ほどを作っているのだとか。
ミューズリーベッケンは、ゴマやオートミールなどをたっぷりトッピングした小型のライ麦入りパン。270円と値段も手頃でチャレンジしやすい。ドイツパンの代表、プレッツェル189円はやはり人気ナンバーワン。細い部分は繊細で香ばしく、太い部分はかみごたえがあってひとつで食感の違いも感じられる。
プレッツェルの他にも、ベルリーナというベルリン発祥のドーナツや、ドイツスタイルのクロワッサンなど、ピクニックにピッタリのテーブルロールはレジカウンターで注文できる。入り口近くの冷蔵ケースにはサンドイッチ類も。プチプチしたケシの実がたっぷりついたパンのトマトバジルチーズサンドは378円。トマトの飾り方がドイツ的な繊細さで、思わずにっこりしてしまうかわいさだ。
パンの味は日本在住のドイツ人からも「ドイツの味そのもの」と好評。2階にはドイツの山小屋をイメージしたカフェスペースもあって、ドイツの写真やオブジェも飾られていて、ドイツの雰囲気を味わえる。
『ベッカライカフェ・リンデ』から吉祥寺サンロード商店街、吉祥寺駅周辺の賑やかな道を通って徒歩で10分ほど行くと井の頭恩賜公園に着く。野鳥も多い自然あふれる公園の象徴は、やっぱり井の頭池。大きな池を取り囲むようにベンチがたくさんあるので、2~3人で並んで座ればおしゃべりも弾みそう。ベンチの上にお皿やブレッドボードを用意して買ったパンを並べるだけでも、簡単にピクニック気分を味わえるはず。
井の頭恩賜公園は大正6(1917)年5月1日に開かれ、100年以上にわたって愛されている。緑豊かで広い園内には、動物園、水生物園に、三鷹の森ジブリ美術館など見どころが満載。お腹が満たされたあとは、公園内の名所を巡る散歩を楽しんでみては?
ほんわかしたかわいいパンと一緒に、木陰のある芝生でリフレッシュ
もぐもぐベーカリー ✖︎ 武蔵国分寺公園
JR西国分寺駅から徒歩8分ほどの住宅街にある『もぐもぐベーカリー』は朝8時オープン。30種類ほどのパンとほんわかした店内BGM、そして店主の高橋朋芳(ともか)さんが迎えてくれる。
「ワクワクするようなパンが並ぶ、親しみやすいお店にしたいです」とやさしい声で話す高橋さんがひとりでパンを作る。その人柄はパンやお店のあちこちに現れている。
人気No.1はクリームパン216円。ふんわりしたパン生地の中に入ったカスタードクリームもやさしい味わい。動物パンのひとつ、くまちゃん194円はとぼけた表情の中にチョコチップがたっぷり入っている。パティシエの経験もある高橋さんはチョコペンを使ったキャラクターパンが得意。中秋の名月に合わせたうさぎまる194円は秋だけ登場する動物パンだ。
インパクトがあるのはフランクウインナー313円だ。パリッと弾ける皮と中から溢れるような肉の味わいと、じわっと弾力ある生地との相性がよく、ひとくちごとに食欲が湧いてくる。材料は国産小麦や沖縄の塩などにこだわっていて、毎日通いたくなるパンが揃う『もぐもぐベーカリー』。店内には数席ながらイートインスペースも用意されている。小さなお子さんから大人まで、今日もパンを買いに行こうと思わせられる気取らなさが魅力のパン屋だ。
『もぐもぐベーカリー』でかわいいパンを買ったら、武蔵国分寺公園でピクニックを。JR武蔵野線の線路を越えて9分ほど歩いたところだ。JR西国分寺駅からは徒歩7分ほどの道のりだ。
この公園は旧国鉄の「中央鉄道学園」などの跡地に2002年に開設した。住宅街にある公園としては広く、敷地は東京ドーム2.5個ほどもある。道路を挟んで南北にそれぞれ芝生の広場があり、北側の円形芝生広場はピクニックする人も多い場所だ。芝生の手入れも行き届いた広場は高低差がほとんどなく、大きな木が気持ちのいい木陰を作ってくれる。
円形芝生広場の周りには武蔵の池や霧の噴水、南側のこもれび広場内にはいつでも体験できる井戸もあるので、水とたわむれる楽しみも味わえて、束の間の滞在でも存分にリフレッシュできそう。
キュートなカップケーキやマフィンを持って広〜い原っぱへ
Unicorn Bakery ✖︎ 国営昭和記念公園
JR中央線国立駅南口から西へ6分ほど歩くと、右手に古い木造の建物が現れる。生い茂る葉と看板、レトロなガラスの引き戸が絵本に登場するお店のよう。足を踏み入れるだけでもワクワクする店内もやはり外国のような雰囲気があって、物語に迷い込んだような気持ちにもなれる。
アメリカ育ちのイギリス人である塩原スーザンさんと娘の島澤安從里(あんじゅり)さんが2013年から営むマフィン、スコーンなどの焼き菓子がメインのお店だ。
「外国のお母さんが出すおやつの味、そのままです」と安從里さん。つまり甘さやスパイスを控えるといった日本向けのアレンジは一切していない。その象徴的存在が冷蔵ケースにあるカップケーキ320円。繊細に絞り出されたバタークリームの美しい色合いに目が釘付けになる。クリームは砂糖の粒を感じるように甘く、ふわふわの生地はどこか懐かしさも感じてしまう。
パン生地を使うシナモンロールは500円。シナモンのスパイシーさがはっきりしていて食べ応えもある大きさだ。マフィンは各350円で常に数種類用意されている。ナッツやチョコ、フルーツなどの組み合わせに興味をそそられて、どれを選ぶか迷ってしまう。週末を中心にベーグルサンドなどのサンドイッチ、フォカッチャ、発酵を伴わないクイックブレッドの一種、ビールブレッドなどが並ぶこともある。海を超えて家族が受け継いだ味を楽しみたい。
国立駅のそばには「HELLO CYCLING」の大型ステーションがある。『Unicorn Bakery』を訪ねる前後に借りて、国営昭和記念公園まで15分ほどサイクリングしては?
1983年に開かれた国営昭和記念公園は東京都内でもトップクラスに広い公園。なんと総面積約180ヘクタール、東京ドーム約39個分という広大さだ。ピクニックができる広場も複数ある。いちばん広いみんなの原っぱは、開放的な空間。ピクニックシートを広げたり、簡易テントを立てたり、バドミントンやボール遊びをするなど広い敷地を生かして思い思いに過ごすこともできる。
周辺には季節の花が咲く花畑も。季節感満載の写真も撮影できそう。大きな空の下で季節や自然を感じながら、ピクニックタイムを楽しんでみよう。
中央線がつなぐ年に一度のパンの祭典
中央線パンまつり2023
地元密着のあのお店から、行ってみたかった名店まで、
中央線のベーカリーが大集合!
地元でおなじみのあのお店から行ってみたかった名店まで、中央線沿線のベーカリーが一同に集まる「中央線パンまつり」を今年も開催! 5回目となる今回は、中央線沿線のベーカリーを中心に、ジャムや焼き菓子、キッチンカーなど約20店舗が日替わりで出店します。中央線の美味しい秋をみんなで楽しみましょう!
【開催日時】
2023年11⽉11⽇(土)・11⽉12⽇(⽇)
1部: 10:00~13:00
2部: 14:00~17:00
※通しで出店するお店は13:00~14:00も販売を行います。
※小雨決行・荒天中止
【武蔵境会場】
武蔵境 nonowa Terrace
(武蔵境駅南口すぐ)
【東小金井会場】
コミュニティステーション東小金井
(東小金井駅北口より徒歩3分)
【入場料】
無料
【特設サイト】
https://chuosuki.jp/event2/chuo_pan/
取材・文=野崎さおり 撮影=オカダタカオ・野崎さおり
撮影協力=ピクニックレンタルMimi
上記の情報は2023年9月現在のものです。
※料金・営業時間・定休日などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。