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プチ旅コンシェルジュへようこそ。
いつも通勤・通学など、日常の生活で利用する中央線の沿線や中央本線・青梅線。その先の沿線には、日帰りで楽しめるスポットがたくさんある。
この連載では、毎回さまざまなテーマで駅から日帰りで楽しめるおすすめコースを紹介。よく利用する駅にも、少し歩けば知らなかった魅力が見えてくる。
次の休日は中央線に乗ってプチ旅しよう!
四ツ谷駅
四ツ谷で堪能。優雅&クラシックな夢の世界
新宿通り沿いにビルが立ち並ぶ賑やかな四ツ谷駅界隈。一帯は、江戸の武家屋敷、皇居ゆかりの場所など、伝統と格式が大切に守り継がれている地でもある。非日常の優雅な世界に身を浸しに出かけよう。
この記事の目次
目的地までのアクセスと歩き方
新宿駅から中央線快速で約4分、立川駅からは中央特快で約35分。駅を起点に赤坂・紀尾井を周遊するコンパクトなコースだが、それぞれ敷地が広いので履き慣れた靴で出かけよう。また、迎賓館赤坂離宮の入場は西門から。受付の際、空港のように飲料を含む手荷物検査がある。本館内は基本、撮影禁止だ。
1.
迎賓館赤坂離宮前休憩所[四ツ谷駅/休憩所]
陽光そそぐ木造りのフリースペースでランチを
迎賓館赤坂離宮の正門前に、休憩所が隠れているのをご存知だろうか。
景観を損なわぬように円形広場が地下に掘り下げられ、螺旋階段を降りれば、陽光降り注ぐ中、噴水が噴き上がる。
テラス席のほか、ガラス張りの向こうに木造りの回廊が延び、カフェテーブルが並んでいる。
2020年に開館した無料のフリースペースは、ひとときの休憩に使えるうえ、カフェ&迎賓館オリジナルギフトのショップ、迎賓館のインフォメーションも併設。見逃せない場所だ。
景観を損なわぬように円形広場が地下に掘り下げられ、螺旋階段を降りれば、陽光降り注ぐ中、噴水が噴き上がる。
テラス席のほか、ガラス張りの向こうに木造りの回廊が延び、カフェテーブルが並んでいる。
2020年に開館した無料のフリースペースは、ひとときの休憩に使えるうえ、カフェ&迎賓館オリジナルギフトのショップ、迎賓館のインフォメーションも併設。見逃せない場所だ。
ここでランチするのもいい。
『カーブドッチ迎賓館カフェ』の迎賓館カレー(サラダ付き)1320円は、ビーフカレーをカレーポットで供すクラシックスタイル。1日かけて煮込まれ、コク深き味わいだ。
メロンクリームソーダ500円とともに、レトロ気分を高めてくれる。
新潟のワイナリーが直営するカフェゆえ、グラスワイン800円〜も傾けたくなる。
『カーブドッチ迎賓館カフェ』の迎賓館カレー(サラダ付き)1320円は、ビーフカレーをカレーポットで供すクラシックスタイル。1日かけて煮込まれ、コク深き味わいだ。
メロンクリームソーダ500円とともに、レトロ気分を高めてくれる。
新潟のワイナリーが直営するカフェゆえ、グラスワイン800円〜も傾けたくなる。
DATA
2.
国宝 迎賓館赤坂離宮[四ツ谷駅/史跡]
めくるめく豪奢な西洋宮殿で夢心地
見よ、この麗しき建物を。
東宮御所として1909年(明治42)に建立され、日本唯一のネオ・バロック様式による宮殿建築物だ。2009年、国宝に指定され、2016年より通年での一般公開が始まった。
玄関前にテラス席が並び、この佇まいを眺めながらのティータイムが楽しめる。
両翼を前に張り出した優美な佇まいを設計したのは、片山東熊(かたやまとうくま)。三菱一号館などを設計した英国建築家 ジョサイア・コンドルの薫陶を受けた最初の日本人建築家だ。
東宮御所として1909年(明治42)に建立され、日本唯一のネオ・バロック様式による宮殿建築物だ。2009年、国宝に指定され、2016年より通年での一般公開が始まった。
玄関前にテラス席が並び、この佇まいを眺めながらのティータイムが楽しめる。
両翼を前に張り出した優美な佇まいを設計したのは、片山東熊(かたやまとうくま)。三菱一号館などを設計した英国建築家 ジョサイア・コンドルの薫陶を受けた最初の日本人建築家だ。
正面玄関の上に阿吽の鎧武者が守り神の如く鎮座し、その両側では天球儀を囲む4羽の鳳凰が羽を広げる。
日本の芸術や産業をリスペクトするように、和楽器や歯車を彫り出した石壁が嵌め込まれ、西洋宮殿建築といえども和の意匠がちりばめられているのも特徴的だ。
日本の芸術や産業をリスペクトするように、和楽器や歯車を彫り出した石壁が嵌め込まれ、西洋宮殿建築といえども和の意匠がちりばめられているのも特徴的だ。
本館に入れば、素晴らしき空間が待ち受ける。
賓客がまず通される正面玄関ホールは、真紅の絨毯が誘う階段の先で、白亜の天井が金の菊の御紋で彩られ、きらびやか。
賓客がまず通される正面玄関ホールは、真紅の絨毯が誘う階段の先で、白亜の天井が金の菊の御紋で彩られ、きらびやか。
晩餐会が催される「花鳥の間」では誰もが一度、立ち尽くす。
16世紀後半フランスのアンリ2世様式ながら、木曽産シオジ材やケヤキ材の木張り空間がまるで森林にいるような心落ち着く風情だ。
豪奢なシャンデリアの灯りに照らされ、フランス人画家による油彩の天井画や、30枚の七宝焼に、和洋の花鳥の姿が浮かび上がる。
16世紀後半フランスのアンリ2世様式ながら、木曽産シオジ材やケヤキ材の木張り空間がまるで森林にいるような心落ち着く風情だ。
豪奢なシャンデリアの灯りに照らされ、フランス人画家による油彩の天井画や、30枚の七宝焼に、和洋の花鳥の姿が浮かび上がる。
窓辺にも注目を。さりげなく客人を出迎えるのは、小さな人魚だ。
調印式や賓客の控えの間として使用される「彩鸞(さいらん)の間」は、10枚の大鏡が広間を奥深く見せる。
大鏡の上で羽を休めているのが“鸞(らん)”。国が平和で栄えている時にしか姿を現わさない、古代中国の想像上の鳥だ。
ナポレオン1世の帝政下で流行した華やかなアンピール様式の広間は、野営テントをイメージし、鮮やかな赤の調度品、装兜や日本刀にサーベルなどの装飾が興味深い。
大鏡の上で羽を休めているのが“鸞(らん)”。国が平和で栄えている時にしか姿を現わさない、古代中国の想像上の鳥だ。
ナポレオン1世の帝政下で流行した華やかなアンピール様式の広間は、野営テントをイメージし、鮮やかな赤の調度品、装兜や日本刀にサーベルなどの装飾が興味深い。
2年の改修を経て、2019年に公開再開したのが、館内で一番格式が高い「朝日の間」だ。28人の修復師により鮮やかな色彩をとり戻した天井画は必見。朝日を背にした女神の神々しいこと。
ほかに、手織り敷物の緞通(だんつう)、ビロードのカーテンなどを新調し、ルイ16世様式で設えられている。
ほかに、手織り敷物の緞通(だんつう)、ビロードのカーテンなどを新調し、ルイ16世様式で設えられている。
舞踏の間として、オーケストラボックスを備えた「羽衣の間」も絢爛だ。
和洋の楽器のレリーフが金であしらわれ、館内最大のシャンデリアが3基、華やかに照らしだす。
据えられているのは、菊花紋様を施したフランスのエラール社製のピアノで、本来のピアノが88鍵のところ、90鍵ある。
このピアノによる演奏会が不定期に催されているという。室内に響く音色も堪能したい。
和洋の楽器のレリーフが金であしらわれ、館内最大のシャンデリアが3基、華やかに照らしだす。
据えられているのは、菊花紋様を施したフランスのエラール社製のピアノで、本来のピアノが88鍵のところ、90鍵ある。
このピアノによる演奏会が不定期に催されているという。室内に響く音色も堪能したい。
建物の南に広がる主庭では噴水の意匠にも注目。
水盤をイルカが支え、手を広げて空を仰ぐシャチが愛らしい。縁石には、カメ、グリフォン、ライオンもいて、5種のいきものが飛沫と陽光を浴びて、つややかに光る。
振り返れば、雑木の森。都心とは思えぬ豊かな自然が息づいている。
水盤をイルカが支え、手を広げて空を仰ぐシャチが愛らしい。縁石には、カメ、グリフォン、ライオンもいて、5種のいきものが飛沫と陽光を浴びて、つややかに光る。
振り返れば、雑木の森。都心とは思えぬ豊かな自然が息づいている。
DATA
3.
ホテルニューオータニ[四ツ谷駅/ホテル]
深谷の風情をまとう江戸期以来の庭園へ
紀尾井坂を通って次に向かうのは、1964年開業のホテルニューオータニ。
築城の名手・加藤清正によって築かれ、その後、井伊家、伏見宮家へと受け継がれた日本庭園が見事だ。「スタッフにより、毎日手入れされています」と、広報担当の保田環さん。
6mの高低差を生かし、1974年のガーデンタワー開業とともに新設された大滝がナイアガラの滝の如くダイナミック。点在する庵、灯籠が和の情緒を添えている。
その周りで春を謳歌するのは、早咲きから遅咲きの八重桜まで種類さまざまな19種58本の桜だ。
この庭園を窓越しに一望できるカフェが『ガーデンラウンジ』だ。
築城の名手・加藤清正によって築かれ、その後、井伊家、伏見宮家へと受け継がれた日本庭園が見事だ。「スタッフにより、毎日手入れされています」と、広報担当の保田環さん。
6mの高低差を生かし、1974年のガーデンタワー開業とともに新設された大滝がナイアガラの滝の如くダイナミック。点在する庵、灯籠が和の情緒を添えている。
その周りで春を謳歌するのは、早咲きから遅咲きの八重桜まで種類さまざまな19種58本の桜だ。
この庭園を窓越しに一望できるカフェが『ガーデンラウンジ』だ。
15時以降なら、7種から選べるペストリーセット(コーヒーか紅茶付き)2700円(税込・サービス料15%別)で、ティータイムと参りたい。
おすすめは2タイプあるショートケーキ。
創業以来の正統派を味わうならイチゴのショートケーキを。
対して、スーパーメロンショートケーキは糖度14度以上の果実を厳選。日々、シェフパティシエが果実の状態を見極め、もっとも美味しく食べられるように、スポンジ、生クリームも計算したショートケーキだ。
どちらもポットサービスのホテルブレンド紅茶と合わせると、フルーツの香味が際立つよう。
おすすめは2タイプあるショートケーキ。
創業以来の正統派を味わうならイチゴのショートケーキを。
対して、スーパーメロンショートケーキは糖度14度以上の果実を厳選。日々、シェフパティシエが果実の状態を見極め、もっとも美味しく食べられるように、スポンジ、生クリームも計算したショートケーキだ。
どちらもポットサービスのホテルブレンド紅茶と合わせると、フルーツの香味が際立つよう。
ゆったりお茶を楽しんでいると、庭の景色が変化を始めた。
ライトアップの時間だ。
しかも2024年3月1日〜4月14日には期間限定「東京夜桜ライトアップ」を開催し、桜色に染めあげる。ドラマティックな景色は、春だけのお楽しみだ。
ライトアップの時間だ。
しかも2024年3月1日〜4月14日には期間限定「東京夜桜ライトアップ」を開催し、桜色に染めあげる。ドラマティックな景色は、春だけのお楽しみだ。
光に誘われ庭園へ散策に出れば、昼と打って変わって灯りが艶めきロマンティック。
朱塗りの太鼓橋を渡り、大滝を下から眺め、足元に気をつけてゆっくり巡りたい。
朱塗りの太鼓橋を渡り、大滝を下から眺め、足元に気をつけてゆっくり巡りたい。
DATA
4.
四谷見附橋[四ツ谷駅]
駅前を彩るフランス式クラシック橋
四ツ谷駅に戻ると、駅を跨ぐように外堀に掛かるアーチ橋にうっとり目が吸い寄せられた。しかもこの橋灯、迎賓館赤坂離宮のものにそっくり。
それもそのはず。
迎賓館をはじめとした周辺の風情との調和を考慮し、橋灯、欄干などにフランスの手法を用いた古典的意匠が施されているのだ。
1991年に架け替えられたが、1913年竣工の旧橋デザインを継承。流麗な灯りが夜の四ツ谷をしっとり優雅に照らしていた。
それもそのはず。
迎賓館をはじめとした周辺の風情との調和を考慮し、橋灯、欄干などにフランスの手法を用いた古典的意匠が施されているのだ。
1991年に架け替えられたが、1913年竣工の旧橋デザインを継承。流麗な灯りが夜の四ツ谷をしっとり優雅に照らしていた。
現代にいながら、夢心地なハイカラな世界へ
駅からほど近い山手は、空が広く、四季の色をまとう歴史と伝統が凝縮した優雅な空間。和の心意気と西洋文化が織りなす日本特有の様式美の数々に、うっとり心が奪われてしまう。陽光が照らす鮮やかな世界に加え、灯りが彩る夜の情景もまた一興。刻々と変化する風情とともに、いつまでも味わいたくなる。
取材・文=林 さゆり 撮影=逢坂 聡
上記の情報は2024年2月現在のものです。
※料金・営業時間・定休(休館・休園)日、イベント内容・期間などは変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。
※表記されている価格は税込みです。