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プチ旅コンシェルジュへようこそ。
いつも通勤・通学など、日常の生活で利用する中央線の沿線や中央本線・青梅線。その先の沿線には、日帰りで楽しめるスポットがたくさんある。
この連載では、毎回さまざまなテーマで駅から日帰りで楽しめるおすすめコースを紹介。よく利用する駅にも、少し歩けば知らなかった魅力が見えてくる。
次の休日は中央線に乗ってプチ旅しよう!
東小金井駅
東小金井で巡る、異文化・異世界トリップ
異国のダイナーにいる気分になったり、異世界に誘われる心地になったり。東小金井の街には、スポッと別世界にハマり込む感覚になる場所が点在している。日常のひとときに異文化、異世界、異空間へ。さくっと巡りに出かけよう。
この記事の目次
目的地までのアクセスと歩き方
新宿駅から快速約24分、立川駅から快速約12分の東小金井駅で下車。南口から商店街を経由して野川へ向かう約2.5kmの街歩きコースだ。野川付近でのんびりするなら、虫除け、虫刺され薬があると重宝する。水分持参も忘れずに。
1.
Suzie-Q[東小金井駅/アメリカンダイナー]
思いきりアメリカンな日常に沼る
東小金井駅南口を出たら、まずは路地に佇むダイナーへ。
のどかな商店街の風情と裏腹に、扉を開けるとそこはアメリカだ。
のどかな商店街の風情と裏腹に、扉を開けるとそこはアメリカだ。
見よ、このいかにもアメリカンな組み合わせと豪勢な盛りを。
チキンワッフル1300円は、カリふわな自家製ワッフルの上に、約200gもの巨大フライドチキン2枚がデデンと鎮座。
意外にもしっとりジューシーで柔らかなのは、鶏モモ肉に塩麹を揉み込んでいるから。
コーン油でカリッと揚がり、スパイス、ニンニク、ショウガなどの下味で旨味が濃厚だ。そこにシュガーバターの風味、ワッフルの素朴な甘み、たっぷりかけたメイプルシロップのコクも重なって、甘じょっぱさのトリコになる。
食べきれなければ持ち帰ることもできるが、気づけば皿の上はカラだ。
チキンワッフル1300円は、カリふわな自家製ワッフルの上に、約200gもの巨大フライドチキン2枚がデデンと鎮座。
意外にもしっとりジューシーで柔らかなのは、鶏モモ肉に塩麹を揉み込んでいるから。
コーン油でカリッと揚がり、スパイス、ニンニク、ショウガなどの下味で旨味が濃厚だ。そこにシュガーバターの風味、ワッフルの素朴な甘み、たっぷりかけたメイプルシロップのコクも重なって、甘じょっぱさのトリコになる。
食べきれなければ持ち帰ることもできるが、気づけば皿の上はカラだ。
営むのは、関さん夫妻。
「アメリカ映画に出てくるような世界にしたくて」と、尚太さんはレシピを研究。ハンバーガー用バンズ、サンドイッチ用の食パンやライ麦パンも自家製で、「ほぼパン屋です」と笑う。その甲斐あって、界隈に暮らす欧米人の来店が後を絶たない。
店内には、応援する大谷翔平選手のメジャーリーグのゲームを流し、ロスで観戦した際に手に入れたボールなども陳列。「お客さんからの贈り物も増えているんですよ」と笑みをこぼす。
「アメリカ映画に出てくるような世界にしたくて」と、尚太さんはレシピを研究。ハンバーガー用バンズ、サンドイッチ用の食パンやライ麦パンも自家製で、「ほぼパン屋です」と笑う。その甲斐あって、界隈に暮らす欧米人の来店が後を絶たない。
店内には、応援する大谷翔平選手のメジャーリーグのゲームを流し、ロスで観戦した際に手に入れたボールなども陳列。「お客さんからの贈り物も増えているんですよ」と笑みをこぼす。
朝から夜まで開き、朝10時までのエッグベネディクト以外は、モーニングもステーキも、サンデーやケーキなどのスイーツも、いつだって注文可能。
そんななか、朝食にもおやつにもうってつけなのが、温かいカウボーイクッキー320円だ。サクっとしつつ、しっとりねっとりとした食感で、噛むたび、オートミール、ミックスシード、クルミ、チョコ、レーズンの味わいが口中に広がり、味も食感も表情がくるくる変わるのも楽しい。
さらに、コーヒー560円まで自家焙煎。
「アメリカって何度もおかわりを注ぎに来てくれますよね。そんな感じもいいなと思って」と、お代わりも自由。
アメリカ気分を存分に味わいたい。
そんななか、朝食にもおやつにもうってつけなのが、温かいカウボーイクッキー320円だ。サクっとしつつ、しっとりねっとりとした食感で、噛むたび、オートミール、ミックスシード、クルミ、チョコ、レーズンの味わいが口中に広がり、味も食感も表情がくるくる変わるのも楽しい。
さらに、コーヒー560円まで自家焙煎。
「アメリカって何度もおかわりを注ぎに来てくれますよね。そんな感じもいいなと思って」と、お代わりも自由。
アメリカ気分を存分に味わいたい。
DATA
2.
尾花屋(おばなや)[東小金井駅/古書・雑貨]
目線を転じるたびに世界観が一変
さらに南下すると、魚屋や肉屋などが軒を連ねるレトロな商店街に、古書店が顔をだす。
中に入れば、絵本、洋絵本が並び、なんだか欧州の旅先で本棚を眺めている心地だ。
古いポストカードをはじめ、アンティーク雑貨もあり、気分は宝探し。
奥に進めば、今度は本の森が現れた。
背表紙を眺めていくと、歴史コーナーに欧米、日本のものが混在し、民族、社会派、文化論も加わって、さまざまな視点で語る専門書が数知れず。
カルチャーコーナーをさまよえば、国内外の音楽、映画、演劇が一緒くた。
漫画エリアに立てば、大島弓子の横に妖怪話など、多様な世界が肩を並べ、うれしいめまいにくらくらくる。
「学生さんもいれば、年配の方、子連れの方も通る商店街。店の中で長く楽しんでいかれる姿を見ると、うれしくなります」と目じりを下げるのは、店主の尾花雄馬さんだ。
背表紙を眺めていくと、歴史コーナーに欧米、日本のものが混在し、民族、社会派、文化論も加わって、さまざまな視点で語る専門書が数知れず。
カルチャーコーナーをさまよえば、国内外の音楽、映画、演劇が一緒くた。
漫画エリアに立てば、大島弓子の横に妖怪話など、多様な世界が肩を並べ、うれしいめまいにくらくらくる。
「学生さんもいれば、年配の方、子連れの方も通る商店街。店の中で長く楽しんでいかれる姿を見ると、うれしくなります」と目じりを下げるのは、店主の尾花雄馬さんだ。
本の森を通り抜けると、知人のスタイリストさんがセレクトした古着&雑貨もあり、コーナーごとに異次元に没入するような感覚になる。
本目当てのはずが服を買ったり、雑貨目当てのはずが本を探し当てたり。
思いもよらぬ出合いに心が躍り、小さな店ながらいつまでもゆるゆる回遊したくなる。
本目当てのはずが服を買ったり、雑貨目当てのはずが本を探し当てたり。
思いもよらぬ出合いに心が躍り、小さな店ながらいつまでもゆるゆる回遊したくなる。
DATA
3.
笠森稲荷神社[東小金井駅/神社]
連なる赤鳥居は異界への入り口?
連雀通り沿いで目を引くのが赤鳥居だ。
大願成就を感謝する約30基が連なり、訪れた人を御神木へと誘っている。
大願成就を感謝する約30基が連なり、訪れた人を御神木へと誘っている。
この御神木は鴨下桜だ。
徳川吉宗公の幕命により採取した山桜の一つを接ぎ木したもので、地主の名前から命名。樹齢300年余りと伝わる古木で、小金井市内の3カ所にしかない希少種だ。
春、境内では、濃紅の関山(かんざん)、白緑の欝金(うこん)といった八重桜が色とりどりの花で謳歌する。「4月中旬はさながら桜の森といった風情です。夏は葉桜ですが、木陰が涼を呼ぶので昼寝する方もおられますよ」と笑みをこぼすのは、氏子総代で、代々神社をお守りする大久保家12代目の徹さんだ。
もともと、元文元年(1736)創建時は大久保家の屋敷内社だったが、天保11年(1840)に京都の伏見稲荷で分霊。御神体入りの石の祠を持ち帰り、屋敷と伏見稲荷に向かう西向き社殿を現在地に建立したという。
徳川吉宗公の幕命により採取した山桜の一つを接ぎ木したもので、地主の名前から命名。樹齢300年余りと伝わる古木で、小金井市内の3カ所にしかない希少種だ。
春、境内では、濃紅の関山(かんざん)、白緑の欝金(うこん)といった八重桜が色とりどりの花で謳歌する。「4月中旬はさながら桜の森といった風情です。夏は葉桜ですが、木陰が涼を呼ぶので昼寝する方もおられますよ」と笑みをこぼすのは、氏子総代で、代々神社をお守りする大久保家12代目の徹さんだ。
もともと、元文元年(1736)創建時は大久保家の屋敷内社だったが、天保11年(1840)に京都の伏見稲荷で分霊。御神体入りの石の祠を持ち帰り、屋敷と伏見稲荷に向かう西向き社殿を現在地に建立したという。
月に1〜2回、社殿の扉が開き、御朱印やみくじ、境内で育つ榊の頒布もあるが、普段はひっそり静か。
とはいえ、氏子さんたちによる草取りや掃除が行き届き、手水鉢にひっそりと飾られる季節の花が、参拝客の目を和ましてくれる。
とはいえ、氏子さんたちによる草取りや掃除が行き届き、手水鉢にひっそりと飾られる季節の花が、参拝客の目を和ましてくれる。
ご祭神は五穀・食物を司る倉稲魂神(ウカノミタマノミコト)。社殿周辺に無数に居合わせる奉納キツネが人々を静かに見守っている。
DATA
4.
はけの森97階段と野川[東小金井駅]
階段を下りて、牧歌的な里へタイムスリップ
住宅地を抜けていくと「はけの森97階段」がある。
「はけ」とは、野川の北側にある高低差15~20mほどの崖(国分寺崖線)。
ぜひ、てっぺんで一度立ち止まってほしい。ケヤキの大木の脇から目を凝らせば、山並みの上に、運がよければ富士山がひょっこり顔をだす。
そしてゆったりした斜度の木製階段の先、樹木の隙間に緑の土手がチラ見え。手招きしているようだ。
「はけ」とは、野川の北側にある高低差15~20mほどの崖(国分寺崖線)。
ぜひ、てっぺんで一度立ち止まってほしい。ケヤキの大木の脇から目を凝らせば、山並みの上に、運がよければ富士山がひょっこり顔をだす。
そしてゆったりした斜度の木製階段の先、樹木の隙間に緑の土手がチラ見え。手招きしているようだ。
階段を下りれば、そこは野川の土手だ。
点在する土手のベンチで憩うのもいいが、土手下に広がる半湿原の草むらへ小径が通じていて、ため池、とんぼたんぼ、どじょう池へと誘う。
点在する土手のベンチで憩うのもいいが、土手下に広がる半湿原の草むらへ小径が通じていて、ため池、とんぼたんぼ、どじょう池へと誘う。
草むらを歩くと、ベニシジミ、キアゲハなど、色柄多彩なチョウがヒラヒラ舞い踊り、ウスバネトンボ、シオカラトンボなど、大小さまざまなトンボが水辺の上をスイスイ飛び回る。カモが遊び、カワセミの狩りもよく見かける情景。
「ね、昔の里とか、どっかの田舎にでも迷い込んだ気分でしょ」とは、草いきれのなか昆虫観察に励む年配者の言葉だ。
東京とは思えぬほど、豊かに息づく生きものたちの楽園で、しばし時を忘れてしまいそうだ。
「ね、昔の里とか、どっかの田舎にでも迷い込んだ気分でしょ」とは、草いきれのなか昆虫観察に励む年配者の言葉だ。
東京とは思えぬほど、豊かに息づく生きものたちの楽園で、しばし時を忘れてしまいそうだ。
東小金井にいることを忘れる瞬間の数々
東小金井は、日常を過ごす住宅街だ。けれど、一歩中に入れば、いつもの日常とは少し違う、旅にでも出たような心地になるスポットが随所に紛れている。他にも、イタリア気分を満喫できたり、中近東のロマンを感じさせるミュージアムがあったり。身近な場所で、気軽なプチトリップを楽しみたい。
取材・文=林 さゆり 撮影=逢坂 聡
上記の情報は2024年6月現在のものです。
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